68 :名無しさん:2005/10/01(土) 14:03:42 ID:lo33z49.
目が覚めたとき、どこの部屋か分からない天井を見ていた。
まだ頭がぼうっとして、すごく身体が重たく感じる。
ここはどこだろう?
大きく伸びをすると、上半身をなんとか持ち上げてあたりを見回す。
そして気が付く。なんてことはない、ここは学校の保健室じゃないか。
滅多に来たことはないけど、たしかにここは保健室だ。
この、消毒液の匂いは好きじゃない。とにかく、ここを出ることにしよう。
起き上がってみて気が付いた。ベッドの下にも靴が無い。
誰かの下らないイタズラかとも思ったが、辺りを探しても見つからない。
それよりも、やけに静かだ。
カーテンの締め切られた白い保健室が、なんだか不気味に感じてくる。
「ああ、やだやだ」
奇妙な静寂に耐え切れなくなり、ついつい独り言を口走ってしまう。
独り言なんてものは、一人で言うものだ。だから返事なんてものはない。
普通はそうだ。でも、この時は違っていた。
「何が嫌なの?」
「うわっ!」
声に驚いて振り向く。どうやら、目の前の女性が声の主らしい。
この人は誰だ?辺りを見回したとき、この部屋には確かに誰もいなかった。
それに、どうしてこの人は軍隊みたいな格好をしているんだろう?
どうも妙な違和感を感じる。
じっと彼女の服ばかりを見ていたせいだろうか。
しかめっ面をしながら、服を面倒そうに引っ張り、黒い瞳をこっちに向ける。
「これ?拾い物だから、サイズ合わなくて。男物だしね」
ああ、そうか。
さっきからの違和感は、そういうことか。
最終更新:2011年10月25日 16:29