393 名前:1/3[] 投稿日:2011/05/05(木) 01:44:28.85 ID:zPR1OafgO [3/34]
纏「ほう、上手いもんじゃな」
男「あ、纏。コイントスなんて誰でも出来るだろ」
纏「たまに誉めてやったのじゃから、素直に喜べばよかろうに」
男「誰かさんと同じでひねくれてるの、俺」
男「……そういえば、ガキのころこんな約束したの覚えてるか?」
纏「む? 何か約束なぞしたかえ?」
男「ほら、あん時俺、ギザ十とか集めまくっててさ。纏にも持ってたらくれっつったら」
『この十円を大人になるまで持ってたら、タカ坊をわしの恋人にしてやろう』
男「……とか言ってたじゃん」
纏「そんな事も言ったかのぅ……しかし、それを律儀に守れる主でもあるまい」
男「ところがどっこい、案外守れちゃうから人って不思議だよなぁ」
纏「……なんじゃと?」
394 名前:2/3[] 投稿日:2011/05/05(木) 01:45:29.50 ID:zPR1OafgO [4/34]
纏「わわっ……こりゃ、お足を粗末にするでない!」
男「その十円、よく見てみ」
纏「……ぬ? ペンで儂の名が書いてある」
男「昨日部屋の掃除してたら見つかりまして。机の引き出しに大事にしまってあったよ」
纏「う、嘘じゃ。おおかた主がでっち上げたのじゃろう」
男「まぁ、信じる信じないは勝手だけどさ。問題は、高校生が子供か大人かってことなんだけど」
纏「……もし大人じゃと言うたら?」
男「纏に交際を申し込むよ」
纏「……そんな風に言われたら、首を縦に振ることなぞ出来ようはずがあるまい」
男「あっそ。じゃあ成人するまで持っとくから、返してくれ」
纏「い、今さらこのような古い約束を持ち出されても無効じゃ!!」
男「駄目。約束は約束だぞ」
纏「……主と儂は、もう恋人のようなものではないか」
男「それでも、ちゃんとしたケジメはつけときたいの」
纏「……」
396 名前:3/3[] 投稿日:2011/05/05(木) 01:46:56.70 ID:zPR1OafgO [5/34]
男「おっと」
纏「ならば言うてみよ。儂にどうして欲しいのか、主の気持ちはどうなのかを」
男「承知。えーと、纏さん。よろしければ俺と、正式にお付き合い願えませんでしょうか?」
纏「……馬鹿の一つ覚えのように約束を守った主じゃ。応えねば、儂が卑怯者になってしまう」
男「さっきは誤魔化そうとしてたのに、よく言うよ」クスクス
纏「ぬぅ……今日は何を言うても、主に勝てる気がせぬ」
男「約束、守ってくれてありがとうな、纏」
纏「そ……それはこっちの台詞じゃ……」ボソッ
男「聞こえないように言ったんだろうけど、全部聞こえてるぞ」
纏「うう、うるさいわ!!」
最終更新:2011年05月10日 00:51