284 :俺と吸血鬼と殲滅兵器 another1/2:2006/03/17(金) 01:32:50 ID:oCc9cRRc
爆音が鳴り響き、俺は覚醒する。
「あ、おはようございますタカシさん」
スパッツにティーシャツを併せたシンプルかつボディラインの目立つセクシーな服を着た
『家庭用殲滅兵器弐式・女性型』のニシキさんが朝の挨拶をしてくれる。
因みにあの爆音はゴキブリ一匹倒す為の物だ、はっきり言って近所迷惑極まりない。
「おはようのキッス~」
「ちょ、ちょっとニシキさん!」
俺はキスを迫るニシキさんの顔を抑えて起き上がる。
「あん、いけずぅ~」
手の甲を頬に当ててニシキさんは言う。
しかし、いけずって・・・先日のバージョンアップで辞書に新しい言葉が追加されましたね。
「クラードは?」
「分かってるでしょ?寝・て・ま・す・よ、じゃ、遠慮なくキッスを・・・」
もう一度顔を近づけてくるニシキさんをかわして言う。
「だーめーでーす」
「・・・分かりました」
くるっとニシキさんはそっぽを向く、不機嫌そうだが何処かで楽しんでいるような仕草。
「これで我慢しますね!」
不意打ちで頬に柔らかい感触が・・・
「ちょ、ちょっとニシキさん・・・」
「ほらほら、もう大学に行く時間ですよ」
取り敢えず注意したかったが、大学の講習に間に合う為にはもう出発しないと間に合わない時間だった。

大学から帰ればもう夕方、地平線が太陽を食べているところだった。
いつも通り、俺はニシキさんに多いお茶(濃い口)と俺とクラードの為に古野屋の豚丼を買って家に帰る。
確かトマトジュースはまだあったはず。
日が完全に沈み、俺はそろそろクラードは起きるな、と思った、その矢先。
轟音と共に自宅の二階屋根が吹き飛んだ。
ああ、またか・・・
そう考えながら、黒煙をもくもくと上げる我が家に俺は向かっていく。

285 :俺と吸血鬼と殲滅兵器 another1/2:2006/03/17(金) 01:33:13 ID:oCc9cRRc
「で、今回の件で言いたい事は?」
取り敢えず星が見え始めた青天井の下、二人を正座させる。
「む、我は悪くないぞ!この殲滅兵器が我が下僕に口付けをしたと言うから制裁したまでだ!」
コテコテのゴスロリスタイルで貧しい胸を必死に隠している外見上は同年代程度の吸血鬼
クラードは強い口調で力説する、反省の色は無しですか。
「え~クラちゃんにとってタカシさんは唯の下僕なんですしキッスくらい良いじゃないですか~」
制裁を加えられた割にはニシキさんは傷一つ負っていない、流石は殲滅兵器。
「だ、駄目だ!」
「二人とも、静粛に」
溜息混じりに二人を黙らせる。
「もう、どうでも良くなったので夕飯にしましょう」
と言うか今度は二階の床が抜けるかもしれないし・・・
「は~い、じゃ、クラちゃん、行きましょうか」
「我はどうでも良くないぞ!だいたいだな、貴様は我の下僕という自覚をだな・・・」
「そもそも下僕じゃありませんから」

「う~」
クラードは未だに怒っているようだ。
「クラード、豚丼の玉は?」
「三つだ!」
「クラちゃん、太るよ?」
「ええい、煩い!我は貴様と違って好きなところだけ出っ張らせないのじゃ!」
あ、やっぱり貧乳って気にしているんだ。
「どうせならクラちゃんもおっぱいミサイルにしちゃう?」
「で、できるのか?」
半分以上期待を込めた声でクラードは訊く。
「できませーん」
ニシキさんは両手をひらひらさせてお手上げのポーズを取る
「き、きっさま~」
一階からも夜空が見えるようになったのは三秒後だった。
最終更新:2011年10月25日 17:10