297 :俺と(ry another1/2:2006/04/15(土) 22:38:34 ID:oCc9cRRc
さて、今俺は何時毛虫が落ちてくるか分からない花びらの散りきった桜の木の下に居ます。
理由は言うまでも無く、クラードという迷惑極まりないなんちゃって生命体なマターによる強引な命令です。
そう、事の発端は午後六時の天気予報の夜桜という単語・・・

「わが下僕よ、夜桜とは何ぞや?」
日本の風流を理解できそうに無いゴスロリ吸血鬼、クラードが起き掛けにテレビを見ながら聞く、
どうやらテレビで花見の話でもしていたらしい。
「夜にする花見の事・・・まあ、家の近所じゃもう花が散っちゃったから・・・」
無理だね、と言おうとしたところですさまじい爆音と共に台所辺りが消し飛んだ。

「えーと、ニシキさん? 一体全体どんなバイオハザードな兵器が?」
台所辺りから流れてくる冷たい空気と焦げ臭い臭いを感じつつ、
俺とニシキさんはソファに向かい合わせで座っている。
「そのですね、実はお料理してたらガス爆発がですね」
ニシキさんはかなり真面目な顔で言う、言ってる事はとんでもない事だが。
「何処をどうしたらそうなるのか見当も付きませんが」
「えーとですね、小バエをプラズマカッターで殲滅してたら元栓のゴムチューブを切っちゃいまして」
小バエ・・・俺は頭を抱える、ニシキさんは幾らバージョンアップしても手加減だけは覚えないようだ。
「おい!わが下僕!夜桜とやらを見に行くぞ!」
クラードがリュックを背負い、片手にビニールシートをぶら下げつつリビングへ入ってくる。
「いや、もう近所は・・・」
「そうですねーそういえばお花見もお買い物の帰りにタカシさんと見ながら歩いただけですし」
俺の言葉を遮ってニシキさんは言う、と言うかその言い草だとまた・・・
「貴様!今なんと言った!」
「お花見もお買い物の帰りにタカシさんとやっただけですし、って言ったんですよー、耳カス溜まってるんじゃないですかぁ?」
案の定クラードが怒り、って言うかニシキさん、クラードを露骨に挑発しすぎ。
「よく言った、では死ね!ポンコツ!貴様をネジと半導体にまで分解してくれるわ!」
「やーん、タカシさーん、クラちゃんが苛めるぅ」
「我の下僕から離れろ!」
結局、家が全壊したので、晴れてクラードの願いは叶う事になった。

298 :俺と(ry another2/2:2006/04/15(土) 22:39:52 ID:oCc9cRRc
「何だ?日本人と言う物はこんな物を見て楽しいのか?」
そんなこんなで俺たち三人(?)はホームレスもとい夜桜を見るためにビニールシートに腰掛けている。
「そうですねー、こんな散ったお花なんか見て楽しいんでしょうか、ねぇタカシさん?」
「そもそも桜の満開前線が既に三百キロメートル以上北へあるんだから、日本人でも楽しくありません」
俺は至極つまらなそうに、不機嫌に答えた、今からここで一晩明かす必要があるというだけで憂鬱になる。
「む、なんだわが下僕、全く楽しそうではないな」
さっき自分が言った事も忘れてクラードは言う。
「そんな事無い、ただ桜の木の下ってさ、毛虫がよく落っこちてくるから警戒してるだけ」
適当な嘘を言ったが、その後で、俺は発言に後悔する。
重い金属と金属が擦れ合う音、その後には、焦げた臭いしか残らないのを俺は知っていた。

「わが下僕よ」
まっ平らになった桜並木を見ながらクラードは聞く。
「何か?」
「その、だな、我よりも咎めるべきはあの・・・」
「分かってるから言わないでくれ」

他スレで書いてたSSがスランプだったので気分転換に書いた
最終更新:2011年10月25日 17:12