301 :名無しさん:2006/06/12(月) 00:17:00 ID:kzRbvdYg
『……起きて……遅刻するよ…』
「うーん」
頭が徐々に覚醒する。と思ったら脇腹を蹴られた。あまりの痛みでパッと目が覚める。
「いでででで」
『わざわざ起こしに来たのだから………早く起きる…』
「ちなみ姉、もう少し優しく起こしてよ。」
『十分……優しくしてる…』
時計を見ると、まだ登校にはかなり早い。ちなみ姉も制服の上にエプロンを付けている。
状況が理解出来ない。まだ夢を見ているようだった。
「まだずいぶん早いよ!」
『……朝ご飯……できてる………』
ようやく状況を把握する。昨日、お袋が単身赴任中の親父が風邪をひいたとかで、
看病に行くとか言っていた。その時にお隣さんにもよろしく言っておいたから、
安心しなさいとか言い残していたっけ。
なるほど、だから、ちなみ姉がエプロンなんか付けて起こしに来てくれるわけだ。
起こしてくれるのはいつものことだが、朝ご飯までとは、サービスのいいことだ。
『……どうせタカシ一人じゃ…ろくに料理なんてできないから……仕方なく作った……』
「ありがとう。ちなみ姉、嬉しいよ。」
『…早く支度しないと……食べる時間がなくなる…(//////////) 』
302 :名無しさん:2006/06/12(月) 00:17:29 ID:kzRbvdYg
素早く着替え、食卓に着くと、美味そうな朝飯が並んでいた。
「いただきまーす。でも、なんか悪いね、大変だったでしょう」
『…おば様に頼まれたので……仕方なく…』
「うん、美味い!それにしても、エプロンも似合ってるよ。
こうして、向かい合って、朝飯を食べてると、新婚さんみたいだよね。」
『ごほっ、ば、バカなこと言ってないで……早く食べないと……遅刻するよ…(//////////) 』
ちなみ姉がむせて、俺の牛乳を飲む。なんか動揺してるようだ。
「ちなみ姉、それ、俺のコップ。姉さんのは、こっちだよ。
あ、これって間接キスだよね。」
俺がそういうと、ガタッと椅子から立ち上がり、
『あ、呆れた………タカシに付き合ってたら…私まで遅刻しちゃう……先に行く…』
と言い残し、本当に先に行ってしまった。いったい何がそんなに、ちなみ姉の気に障ったのだろう。
その日の晩、
『…朝来るのが……めんどくさい…』
と言って、お袋が帰ってくるまで家に泊まり込むことになるのは、また別の話だ。
ダウナーな姉も良いと思うんだ。
最終更新:2011年10月25日 17:12