305 :お嬢様ツンデレと貧しい男1/3:2006/06/29(木) 01:50:04 ID:Vq0ymivY
『で、あなたはこんな所でなにをなさってるんですの? というかアルバイトの時間じゃないんですの?』
「あはは…アルバイトクビになっちゃってさ」
『まあ、どうせ鈍くさいあなたのことです。なにかヘマでもしたんでしょう?』
「うーんとねぇ…借金取りの人たちがバイト先に来ちゃったんだ」
サラリととんでもないことを言う彼。一応説明しておきますか。彼、別府タカシさんはとんでもないくらいの不幸体質ですの。
中学生の時に両親が多額の借金を残して他界。その借金の為に親戚からも見放され現在は奨学金とバイトの収入で暮らしている。
そんな境遇に置かれているというのに性格は明るく前向きで誰にでも優しく、常に笑顔を絶やさない…健気やー、ほんま健気やー。
『それで草むしりのアルバイトですか? あなたもお馬鹿ですわね。もう少し割の良いものがいくらでも…』
「え、違うよ。これは食料確保のためだよ」
『へ…? もう一度いって貰えませんか…?』
「だから、この草を食べるの」
『え、えええええええええええええええええええ!?!?』
いきなり黄金伝説!? もしくはまほらばの黒崎親子!? そんなテレビか漫画の中でしか見たことの無いようなことが今、目の前で…
『あ、あなたねぇ! いくら生活が苦しいからって雑草食べるなんて…あなたに人間としての尊厳はあるんですの!?』
「リナちゃん、そう言う言い方は無いと思う」
ハッ…いけませんわ…ワタクシまたあんな言い方を…そりゃ「人間としての尊厳はあるのか」なんて言われたらいくら彼でも怒りますわね…
ホント…嫌になりますわこの性格…
「雑草を馬鹿にしちゃいけないよ」
そっちかい! 怒るところはそっちなのかい!
「例えばこのノビル、軽く湯通しして酢味噌を付けて食べると美味しいよ♪ あとカラスノエンドウ、油炒めにすると美味しいんだ♪」
「タンポポなんかも凄いよ! 葉っぱを生でサラダとして食べたり、茹でてあえものにしたり、あと花は天ぷらにすると凄く美味しいよ♪
根っこはきんぴらにしたり、根を焦がしてものを焙じればコーヒーにもなるんだよ♪ えへへ、凄いでしょ♪」
ああ…何でしょう…やけに嬉しそうに語るその姿が…所々にちりばめられる「♪」が…あまりにも…あまりにも悲しい…。
306 :お嬢様ツンデレと貧しい男2/3:2006/06/29(木) 01:50:31 ID:Vq0ymivY
『へ、へぇ…なかなかの知識ですわね。貧乏人の知恵、と言うやつですか?』
そしてこんなことを言ってしまう自分に激しく…激しく自己嫌悪。
「うん、まあそんなもんだねw」
悪口をほとんど気にせずに彼。だからこそ罪悪感が大きいわけで…orz
「それでも今月分払えるかちょっと怪しいかも…。待ってもらえるかなぁ…」
…ちょっと待ってください…もし…もし彼がこのまま今月分の借金を支払えなかったら…
~妄想開始~
「おうおう別府さんよォ、まだ今月の分、払えねえのか? あ?」
「ご、ごめんなさい…今月お金無くて…あと少しだけ…」
「何回目だその台詞、あ!?」
「ご、ごめんなさい!」
「なんならよォ…身体で払っても良いんだゼ?」
「そ、それはどういう…」
「ククク…こういうことだ!」
「え、あ、やめて…だめ…ひぁ、あぅ、く、ひゃぅ…」
~妄想終了~
『きゃあああああああああああ! だだだだだだだだだだだだ駄目ですわ! それだけは…それだけはなんとしてでも阻止せねば!!』
「ど、どしたのリナちゃん!?」
『…ハッ! べ、別になんでもありませんわ!(////)』
「?」
『自惚れないでくださいね! あなたの事を考えていたとか言うことは一切ありませんから!(////)』
「???」
なんかいらんこと発言しまくりんぐですわね…落ち着きなさい神野リナ。
うーん、しかし妄想みたいなことにまでも彼の身になにかあるのは確実ですわ。一体どうすれば…………………………そうですわ!
307 :お嬢様ツンデレと貧しい男3/3:2006/06/29(木) 01:51:13 ID:Vq0ymivY
『よし、決めました! あなたを執事として雇いますわ! ちなみに拒否権は無しですわ!』
「え…ええええええええええええええええええ!!」
そうすれば彼の身柄を保護できつつ、愛しの彼とずっと一緒に居られる。そして二人の中も急接近…あんなことやこんなことも…♪
ああ、我ながら超絶にナイスアイディア。ありがとう畑健次郎先生。ありがとうハヤテのごとく。やっぱ読むべきものは漫画ですわ。
『もちろん給料もちゃんと支払いますわ。そして部屋も提供します。あなた如きには勿体なさすぎるほどの好条件だと思いますが』
「つまりは…リナちゃんちで執事として住み込み働くってこと?」
『そのとおりですわ』
「……ホントに…ホントにいいの…? 迷惑じゃない…?」
彼はワタクシよりちょっと背が低いため話すときは必然的に上目使いになります。しかもこの子犬みたいな瞳…やっべテラモエスwwwwwww
『』
「あ、ありがとうリナちゃん!! 僕、一生懸命頑張るよ!!」
『契約成立ですわね。ま、せいぜい他の方の足を引っ張らないようにしてくださいね』
フフフ…さあ…さあさあさあ! みなさんお待ちかね! 神野リナと別府タカシのめくるめくL・O・V・Eライフの始まりですわ!!!
体験版はここまでです。続きは来月発売の製品版でお楽しみください
つーかツンデレ視点テラムズスwwwwww
最終更新:2011年10月25日 17:13