480 :ツンデレ観察記  1/4:2006/07/17(月) 18:12:28 ID:rVmd/ETs
あらすじ
宇宙人の長田優希(ながた ゆうき)が
ツンデレを観察、研究する話だよ


パターン2:ダウナー型ツンデレの場合

彼女との出会いはとある同好会。
部員一名にもかかわらず存続している同好会、オカ研が彼女の場所だった。

そのとき私は、前回紹介したアッパー型ツンデレ「椎水かなみ」以外のツンデレを探している最中だった。
野球部、サッカー部、水泳部…一通り部活を体験してみたが、やはりツンデレは簡単に見つからない。

そしてその「同好会」なる存在を知ったのは、一通り体験入部を終えた後だった。

同好会…部員数5名に満たない、又は顧問の教師が存在しない部活動がそう呼ばれる。
この学校はクラブ作りにはけっこういいかげんで、生徒会に書類さえ提出すれば審査は殆ど無しで通る。
…だがSOS団はない。お前は面白いかもしれないがそれ言ったのはお前で100万人目だ。

種類の多い同好会になら一人ぐらいいるのではないのかと思ったのだが…なかなか「ツンデレ」は見つからない。
軽く溜息などつき同好会のリストを見ながら歩いていると、
曲がり角で一人の少女とぶつかってしまった。

私は何とかバランスを保っていたが、少女のほうは見事に転び、抱えてる荷物を散乱させてしまった。
「おっと…スマンな」

「気をつけろ…あと…荷物に触るな…」

荷物を拾おうとしていた手を止めた。
よく見れば彼女の荷物は紙袋に押し込められた黒いシート、蝋燭、黒く蠢く何か…
待て、何かってなんだ。
…まあとにかく、彼女がオカルト研究会の部員であることは予想がついた。

481 :ツンデレ観察記  2/4:2006/07/17(月) 18:13:17 ID:rVmd/ETs
「荷物から察するにオカルト研究会の方か?」
「…お前に…関係ない…」
「ま、今のところは無関係だが、これから関係者になるかも知れんのだ」
「…?」
「見学、させてもらえるか?」

私が次に目指そうとしている同好会は、オカルト研究会だった。

「どうせ…冷やかしでしょ」
「いや、魔術には少し興味があってな…」

嘘。しかし実際、「悪魔召還の類には興味は無い。実を言えば興味があるのはお前だ」
…などと言えるわけが無い。

「昔、いくつか成功させたこともある。仲間がいたほうが研究もはかどるかと思ってな」
「…本当…?…」
「ああ。信じられんか?」
「…………信じてやっても…いい…」

こういった顛末で、私はちょくちょくオカルト研究会(略称オカ研)に顔を出している。
理由は、彼女が「ツンデレ」であると分かったから。
彼女の名はちなみ。ときどきたいそうな召還術などを実験しているが、大体失敗している。
彼女もまた最近は私に対し、どことなく冷たい。本当に何故だろう?

482 :ツンデレ観察記  2/4:2006/07/17(月) 18:13:57 ID:rVmd/ETs
「……ユウキ…聞いてる…?」
「……ん?…悪いな。聞いていなかった」
「今日…傘…持ってきた…?」
「いいや。天気予報じゃ快晴と言っていたからな」
「…………人の話は…ちゃんと聞けって…毎日…言ってるのに…呪われなきゃ…分かんないの?」
「スマン、謝るから呪いだけは勘弁してくれ」

彼女は怒ると私を呪ってくる。本気でやるのだからタチが悪い。
しかも召還はよく失敗するくせに、呪いだけは百発百中の腕なのだ。
この前などは一週間寝込む羽目になってしまった…

「今日は…雨…降らせるから…傘…用意しろと…あれだけ…」
「スマン。本当にスマン。勘弁してくれ」
「…ま、困るのは…ユウキだから…いいけど…」

今回は雨を呼ぶらしい(それすら忘れていた)。いわゆる雨乞いというやつだろうか?

彼女はいつも使用している黒い魔方陣に怪しげな文字を描き、ヨーロッパあたりの発音で呪文を唱えてゆく。
一心不乱に呪文を唱えつづけるその横顔は、なかなか魅力的と言えるだろう。
以前、そのことを話したら怪しい薬をビンごと投げつけられたが。

そんなことを考えてるうちに呪文の詠唱が終わった。
本当の事を言うとあまり成功して欲しくは無かった。
なぜなら、傘を持って来ていないから。

483 :ツンデレ観察記  4/4:2006/07/17(月) 18:14:31 ID:rVmd/ETs
人間、Aであれと思うと結果はB、Bであれと思うと結果はAになるものだ。
それは宇宙人である私も同じらしい。彼女が呼んだ雨は十五分もしないうちに降り出した。

「……成功してよかったな」
「………助手が…ユウキじゃなかったら………もっと早く成功した……」
「……はいはい。私は…なんとも妙な気分だよ。どうやって帰ればいいのだろうな」

なぜか雨はとんでもない勢いで降り、いつ雷が鳴ってもおかしくない状況だ。

「…話……聞いてなかった…ユウキが…悪い…」
「ああ。全くその通りだ」
「………」
「あのな、ちなみ」
「………」
「傘、入れてくれないか?」
「なんで…私が…」
「無理は承知の上だ。頼むから…」
「……………
 今度…新しい道具を…買いに行く」
「?」
「…でも…その道具…かなり…重い…だから……」
「運んでやるよ、その道具。そのかわりさ…」
「……じゃあ…しょうがないけど…入れてあげる……その代わり…傘…持って……」
「ああ。了解」

こうして私は無事、濡れないで帰宅することが出来た。

「…ところで、さっきから周りの視線が私達に集中している気がするのだが…」
「…?」
「推測するに…私達はいわゆる「恋人」という関係に見えているのではないか?」
「……調子に…乗るな……(////)」

どこから取り出したのか小さなビンに入った液体をかけられた。
ああ、なんか体の力が抜けていく気がする…

今回の観察結果
  • ツンデレは恋人扱いされることを嫌う
  • ダウナーツンデレを怒らせてはいけない。絶対に
最終更新:2011年10月25日 17:29