492 :ツンデレと満員電車で密着ktkr タカシver.(1/5):2006/07/21(金) 15:29:37 ID:naIt/5nk
電車って好きなんだ。つっても別に鉄ちゃんっていう域には行ってないけどな。
先頭車両に乗って…運転席の窓から見る視界が俺のお気に入りな訳で。
あの景色を見るためなら、朝の通勤ラッシュだって耐えて行けるんだから面白いよな。

≪――…3番乗り場に到着の電車は…――≫
「ふぃ~~。」
 毎度毎度の通勤ラッシュ。働き蟻は今日もわんさかと。…でもこの国を支えてるんだよな。
 大勢の中の一人でいることに抵抗はないけど、超密度の電車は気持ち良くは無い。
「まぁ、それに……なw」
 混雑する電車にも、それなりの魅力はあったりするわけで。…例えばそう、
 そこの お 姉 さ ん 。夏場だけあって露出度が高いって…男にとっちゃ有難い。

冬場は長袖な上着も、夏場はノースリーブになってたり。
スカートだって、丈は短く生地は薄く。…ホント、必然的に密着しちゃう電車って…なぁw

「でも、な…)……」
 最近は女性専用車両なんかが出来ちゃって。女の子はそっちへ集団疎開。
 残された車両には暑苦しいオサーンやらニイチャンやら…なんともまぁ…
「…せちがれぇ…)……」
 女性専用車両の両隣の車両に、しかも専用車両側に詰めて乗る男共って…。
 こうやって少し場所を外せば、ほら…あんな風に制服の女子高生だって…――
「って…)……あれ…尊じゃないか。」
『誰だっ!? 気安く私の名前を呼ぶn……な、タ、タカシではないか…』
「奇遇だな? いつもこの時間の電車に乗ってるのか?」

出会っtt…いや、遭遇したのはなんとかの家元とか言ってた、尊。…同級生。
面倒見というか、ぐうたらは見逃さないというか、とにかく真面目なんだよな、彼女。

『…今日はいつもにも増して気分が悪くなってきたぞ?』
「疑問詞に答えてないって。 ってか大丈夫か? 電車酔いでもしたんじゃないの?」

493 :ツンデレと満員電車で密着ktkr タカシver.(2/5):2006/07/21(金) 15:30:27 ID:naIt/5nk
そしてこの尊は、なぜか”俺にだけ”冷たい。
俺が男だから?…いいや、違うね。クラスの他の男子には優しいもんな。
恨まれたり嫌われたりするようなことをした覚えはないのに、なぜか…冷たいんだよ。

『…お前は…それなら私は毎日電車酔いしていることになるな。』
「…違う、ってことだな。」
 …減らず口、憎まれ口。せっかくの可愛い顔もこれで台無しなんだけど…
『…………。』
「で、実際はどうなんだ?」
『ああ、やはり少し汗b……いいいや、違う、違うぞ? 通学時間の話だったな?!』
「…なにテンパってんだよ。 尊らしくない…」
 …こりゃ珍しい。いつも冷静沈着な尊が分けのわかんないことを口走って。
 おまけに尊の周りのおっさん達のせいか、普段のような毅然さが感じられないし…
『う、うるさい。 スシ詰め状態なんだ、気が昂ぶっtt…て、は、なくて…荒れてるんだ。』
「…じゃあ、毎日カリカリしながら登校してることになるな?」
 カルシウム、足りてますか?……とか言ったらヤバイ事になる気がしたので、
 誰かさんのマネをして切り返す俺はどう見てもチキンハートです、本当に(ry
『おい…それは誰かのマネか? ん?』

案の定ご立腹。四方八方からぎゅうぎゅうに押されて、怒りゲージも真っ赤っかなのかね。
今なら武器破壊or武器飛ばし技も………って破壊・すっ飛ばされる自分を想像した俺ってorz

「のぞみより早く前言撤回します。 …ってかここで尊に会えるとは思ってなかったからさ。」
『…ふん、まぁいい。』
「……(調子悪いのか? なんか覇気がないってゆーか…」
『…………』
「…尊? 急に黙り込んで…どうしたんd」
≪――…間もなく電車少々揺れますので、手すり・吊り革などをお持ちに…――≫
『ガクンッ)…うわっ…!?』グラッ
「ガクンッ)ってあわっ!?」グラッ

494 :ツンデレと満員電車で密着ktkr タカシver.(3/5):2006/07/21(金) 15:31:15 ID:naIt/5nk
電車が揺れて、人も揺れて。
手すりに掴まる人、吊り革を2本持っちゃう人、…根性で耐えようと踏ん張る人。
限られた空間でギリギリのバランスを保っていた人達が一斉に同じ方向に傾いて…

『くっ……もっと早く言わないか、車掌の馬鹿者め…!』

そんな中、尊の口からは真っ先に車掌の悪口が出てきて。…デリカシーに欠けるぞ?

「み、尊…。 その…悪態つくのはいいけど、なんだ、……当ってる…///」
『何がだっ!? ……って…おい、貴様、何をしている。』
「あ…いや、不可抗力?」
『……………離れろっ////////』
「…無理」
『無理でも離れろっ!!/////////』

つまり、傾いた勢いで尊の身体が俺の身体にもたれかかる格好になったわけで。
彼女の顔が俺の顔のすぐ下にあって、決して小さくは無い胸があたっあたっ当って…///

『な、な、なんで私がこんな目に遭わなければならないんだっ!?///////』
「そ、そんな事言われても…なぁ?」
 どうしようもない罠。…ってか正直ごめん、ふたつの柔らかい感触を堪能してます…w
『こ、こんな屈辱…耐えられると思っているのかっ?!』
「つっても動けないし……!!」
 ってか動きたくないしwww あ、いや、じゃなくて、尊の髪の匂いがしてきて…
 暑さのせいでなんだか汗の匂いが混じってるような…っていや俺何言って――
『ぬく……ぐ、むむ…』
「も、もうちょいの辛抱だからさ…!」
 ――く、口でこんな風に適当なこと言っちまったけど…この状況…ちょっとアレなんだが…
 む……息子よ、息子よぉォォォッッ!!!頼む!今はうそつきになってくれっ!!頼むぅっ!!
『……っ!/////////』ギュ…

495 :ツンデレと満員電車で密着ktkr タカシver.(4/5):2006/07/21(金) 15:32:04 ID:naIt/5nk
「み…尊…?!」
『//////だ…黙れ! 体勢が悪くて倒れそうなんだ、せめてしっかり支えろっ!』ギュゥッ
「…で…でもよ…//////」
『///////黙れ、バカ……/////////』

な…んで、抱き着いて来るんだ?そんな空気じゃないだ…ろ?
こんなの…流石の息子も、驚いて…反応しなくなっちまったじゃねーか…、俺…ED…ってアホか!

≪――…お待たせ致しました、この電車間もなく○○駅に到着致します…――≫
「………//////」
『………//////』
「………電車、もう着くって/////」
『……お、男なら最後までしっかり面倒みるのが普通だろう…?!///////』ギュッ
「………//////」
 今のこの瞬間、この場を支配してるのはきっと尊だ…。だって…逆らえないし。
 …いや、逆らえないんじゃなくて…逆らいたくないって思ってる…?なんで…俺…
『……それでいい//////』

≪――…左側の扉が開きます、ドア付近のお客様から順序良く…――≫
「プシュー)…尊、着いたよ? 行こう。」
『な、なに、もう着いたのk……ではなくて、や、やっと着いたか。』
「…なんか残念そうだけど?」
 電車が駅に着いて…ドアが開くまでの間、ずっとしがみついてただろ?…なんで?
 もう分けわかんない事だらけだよ。尊が俺に抱きつく理由なんて全然無いだろ?
『/////ばっ…馬鹿者! これで開放されると思って気が動転しただけだっ!!/////』
 ほら、好きだとかそんなんじゃないって。ってか勘違いするからやめれって。
 嫌な気はしないけどさ、一瞬でもその気になった俺がバカらしく思えるから、なぁ!
「ふーん…ま、いいけど。 …ほら、行こう?」スッ
 …なのに、何言ってんだ俺?何してんだ俺??こんなの偶然の事故だろ?
 なにその気になっちゃってんだよ、そんなの尊にだって迷惑だって分かってんだろーが!

496 :ツンデレと満員電車で密着ktkr タカシver.(5/5):2006/07/21(金) 15:32:56 ID:naIt/5nk
『…何のマネだそれは。 まさか私にお前と手を繋げ、とでも言うつもりなのか…!?』
「あ…はは、調子に乗り過ぎっすかね?」
 自分の意思に反して話す口。…ちくしょう、誰のおかげでそこまでデカくなったと思ってやがる。
 ちょっと女の子に抱きつかれたからって、そんくらいで勘違いとか…情けないって。
 そーゆー早とちりな奴がどうなるか…いままで何人か見てきただろっ!?

『当然だ。 そんな事をするくらいなら…そう、あのおやぢと腕を組むほうがまだマシだぞ。』
「(゚д゚ ;)…――」
 うんちく♪ 種族:(多分)霊長類、ヒト科 性別:♂ 年齢:推定50代 特徴:バーコード、和木香
 …仮になんとか補完計画が発動されても、一緒になりたくない御仁であることは間違い無い。
「――…アレ、とか?」
『お前の価値などその程度と言う事だ。 ……………だが。』

尊があの御仁と腕を組んで歩いている姿なんて…想像した俺はカルく氏ねる。
そんな俺の心を知ってか知らぬか、電車を下りた尊はしっかりと組んでいた両腕を崩して…

「…ん?」
『スッ)……電車に酔ってしまったようなんだ。 だから…その、男なら……な?///////』
 手を、差し出した。
 …ゆっくりと整理しよう。尊は電車に酔ったと言っている。…これは多分嘘だ。
 そして、世間一般的に今のセリフは”手を繋げ”というように解釈できる。…つまり、
 俺と手を繋ぎたい、でFA?…なんだ、結構しおらしいところもあるじゃないか……はははh
「はいはい――」
 くぁwせdrftgyふじこlp;@:!!ってか勝手に喋ってんじゃね絵よなんなんだよ!?!?
 なんだよこれ、自分の身体が自分のものじゃ無いみたいで…どうすりゃいいんだよ…――

――しっかり握った手に、意識が集中し過ぎて…恥ずかしいったらありゃしない。
   なのにこんなに優しい気持ちになちまって…俺、もしかしかて尊の事…好き…?
   って、まさか、な。…俺もきっと電車に酔っちまったんだよ、うん…――
最終更新:2011年10月25日 17:34