547 :初体験ツンデレ(1/4):2006/11/09(木) 01:14:37 ID:d.TTIqxo
私はあの人が嫌い。
自分勝手で、自由奔放で、人の気持ちを考えてくれない彼が嫌い。

「よっ! 今日、帰りに遊びに行ってもいいか?」
『……何を…いきなり……』
「今日は予定ないって言ってたじゃん、だから遊びに行ってもオッケーかな、って」
『……予定は無いけど…だからって……キミと遊ぶ理由も…ない……』
「でも俺は遊びたい。 いーよね、ちゃんとお土産にケーキ買って行くからさ」
『……だから…何で勝手に話を……!』
「という事で! ちゃんと部屋の掃除しとけよw じゃ、また後でっ」タッタッタッ…
『……あっ……――』

こんな感じで。
私のプライバシーは無いに等しくて、いつもいつも、嫌になる。
それなのに、私は……

『――……えっと……雑誌はちゃんとしまったし…あとは……』

……なんで、言われたままに掃除なんかしてるんだろうね。
ホント……嫌になっちゃうよ。
だから私は……、ある時考えたんだよ。

「ピンポーン)ちゃーす! 遊びに来たぞー」
『ピッ)……今…開けてやるから……少し静かにしてて……』
「ほいよー」
『…………(……何も知らないで……!』

私の自由を脅かす彼に、復讐する事を。
未だかつて体験した事のないような、とんでもなくビックリするような出来事をあの人に。
……嫌われたって、構わないんだから……

548 :初体験ツンデレ(2/4):2006/11/09(木) 01:16:10 ID:d.TTIqxo
「ガチャッ)……おー、本当にキレイに片付けてたんだなー」
『……これくらい…女の子は……当たり前……』
「俺の部屋とはえらい違いだw ……ほい、約束のケーキ」
『……お礼…言わないから……』
「いーよ。 ……そのかわり、なんか飲み物宜しくね?」
『……最低。……それくらい…用意してくるべきだよ……』
「財布が暴落中でねw じゃあ待ってるんで」
『……信じられない……バカ……――』パタン

そう言って、部屋を出る。
……いいんだよ? どうせこの後酷い目に遭うんだもん、今だけは言うこと聞いてあげるよ。
余裕たっぷりのその顔が、驚愕に満ちるその時の為に……我慢してあげるよ……。

『――……お待たせ……』
「サンキュ! おっ、コーヒーじゃん。 甘いケーキにはぴったりだよな!」
『……大人ぶるな…ガキ……』
「はいはい同い年同い年。 まー頂きますよ」
『……ふんっ……』
「ゴクッ…ゴクッ…)……んー、やっぱここのケーキは美味いよなー」
『………………それで?』
「…ん?」
『……何しにきたの?……何をして…遊ぶつもりだったの……?』
「ん……、ああいや、別段これといってしたいことがあったわけじゃなくて……」
『……だったら…何で……』
「ただお前と一緒の時間を過ごすのもいいかなーって……」
『……そんな事…言われて喜ぶとでも思う?……――』

そう、今更そんな事言ったってもう遅いんだもん。
もう私は止められないよ。 キミにも覚悟を決めてもらわなきゃ……
ケーキを食べた後。 その時が、私の決戦の時……!!

549 :初体験ツンデレ(3/4):2006/11/09(木) 01:17:36 ID:d.TTIqxo
「――……っぷは、美味かった、美味かったwww」
『……役にも立たないのに…食べるのだけは一人前……』
「ちょwww自分が殆ど食ってないからって俺に当たるなよw」
『……別に……――』

さあ。 いよいよその時はやってきた。
私の……初めての、復讐。
今までの関係を根底から刈り取る、決意の復讐……

「――……なんだよ、人の顔ジロジロ見て。 なんか付いてるか?」
『……別に。……不細工なのは…変わってないけど……』
「いちいち刺があるのな。 ……で、何?」
『……私、キミに復讐しようと思って……』
「ふく…復讐? 俺はなんか恨まれるような事してたっけ?」
『……した。……私の自由を奪って…好き勝手……もう…うんざりだよ……』
「……真剣みたいだな。 本当にそこまで邪魔者だと思ってたのか?」
『……それ以外の…何者でもない……』
「そ……っか。 そこまで思わせていたんなら、調子に乗ってたのかも知れないね」
『……今頃謝っても…もう遅いよ……。……覚悟して……』
「よく分かんないけど、ここで言い訳するのは男らしく無い気がする。 なら、言う通りにするよ」
『……いい覚悟…。……じゃあ…痛いかもしれないから……歯を食いしばって……』
「………っ!!」キュッ…

ついにやって来たこの時。
目の前のあの人は歯を食いしばって、私の言うがままになっている。
積もった気持ちを晴らすには、まさに絶好の機会。

『…………!!』

深呼吸をして、高鳴る心臓を押さえながら、私は右手を振り上げて……――

550 :初体験ツンデレ(4/4):2006/11/09(木) 01:19:01 ID:d.TTIqxo
ギュッ……

「?! …ちっ……、な、何をっ…」
『/////……黙れ…!……復讐してるんだから……大人しくしてて……!!/////』
「で、でもこれっ……」
『/////…うるさいっ……、うるさい…うるさいっ……!!/////』

私が1番分かってるんだから。
この心臓の高鳴りも、キミの肩から回した腕が震えてしまっている事も、
全部全部私が1番良く分かってるんだからっ……//////

「ふ、復讐って……///」
『/////…キミなんか嫌いだもん…!……私の自由なんか考えもしないで……!/////』
「い、いや……」
『/////…私の言いたいこと、一つも真面目に聞いてくれなくて……!/////』
「け……ど、よ……/////」
『/////だから……今は私がキミの自由を奪うんだもん…!!/////』
「た…確かに身動きはできんけどっ……」
『/////それが……私の復讐…!……そ、それからっ……!/////』
「ッ?!/////」
『/////も、もう二度と今日の復讐を忘れられないようにっ……!///////』
「んむっ…」
『/////わ……わふれたら…///ゆ…ゆるははいんらからっ……///////…―――』


――それが私の復讐。 そして、復讐の最後を締め括る、私の初体験。
なるべく印象に残るように頑張ったのに、キミはあの後言ったよね……
「――……好き? …………知ってたよ、俺もなんだからさ……――」
……だからキミなんか嫌いなんだよ。 私の一歩先を歩いているんだから。

復讐という名の初体験。……いいよね?私らしくて。 
これから先、キミが私の歩調に合わせて歩いてくれるなら……
また違う初体験も、……き、キミにあげちゃうんだから……//////
                                              終。
最終更新:2011年10月25日 17:38