747 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/05/01(火) 19:51:25 ID:nwN3WK9M
 事件はある晴れた放課後の帰り道に起こった。
 いつも通っている神社のわき道を歩いていると、俺と幼馴染のツンデレは
なにか紙切れのようなものが木に引っかかっているのに気が付いた。
「何だアレ」
 好奇心からその紙切れを拾った俺は、さっそく隣にいるツレにその紙切れ
を見せびらかした。
「見ろよ、なんかのお札みたいだぞ」
「はいはい。良かったわね」
「オマエなあ。もっと『きゃあ怖い!なにかの祟りよ』とか『お札を大事に
 しない奴は地獄に落ちるわよ』とかのリアクションは無いのかよ」
「……なにそれ。そんなもの迷信よ」
 この女は、小さいときからこういう心霊とか神秘とかいうものをちっとも
信じていない。いつだったか、オバケ屋敷のオバケにダメ出しをしていた事
もある。だから、次の瞬間彼女が起した行動も納得のいくことだった。
「いい?バチなんて当たるわけないのよ。ほら」
 そう言うと、彼女は得意げに俺が拾ったお札をビリビリに破りだした。
 次の瞬間。
 夕暮れの神社の境内が、本当にしんと静まり返った。真っ赤な日の光が
やけに強く射し込み、神社の木影が真っ黒になる程、濃さを増していく。
 ヤバイ。直感的にそう感じた俺は、迷うことなく幼馴染の後ろに隠れる。
呆れたように俺を一瞥する幼馴染。そんな俺たちの耳に誰かの、いや、何か
の声が聞こえてきた。
「おい……」
「き、きゃあ!」
 俺は反射的に叫び声を上げていた。幼馴染はじっと声のするほうをいつもの
仏頂面で睨んでいる。
「そこの女、お前はいま自分が何をしたか分かっているのか……」
「薄汚い紙切れを破り捨てただけよ。なにか問題だったかしら」
「それは我がこの世に形を留めるための大事な札じゃ」
「そんなに大事なら、銀行の貸金庫にでもしまっといたら?」
「女……我はこの神社に奉られておる神。それを知っての行いか」
「神様っていってもねえ。ヤオヨロズもいるんだから、ひとやまいくらの
 サンピンくらいじゃ怖くも無いわ」
 黙って聞いていると、俺のツレは神様相手にとんでもなくバチ当たりな
暴言を吐きまくっていた。まずい、このままではとばっちりで俺まで何か
変な祟りがあるかもしれない。この女を止めようと、俺は一人と一柱の間に
分け入ろうとした。
「か、神様!こいつだって悪気があったわけじゃ…」
「いや、悪気十分!よって恐ろしい呪いをかけてやるっ!」
 いつのまにか半泣きのベソ声になっていた神様が宣告する。
「お、恐ろしい呪いだって?!」
「一応そんな力もあるんだ。ふーん」
「バカかお前は。いいから謝れ!」
 この期に及んで、まったく神経が太いというか狂犬というか…。しかし
良く考えるとコイツのお陰で、帰り道で神様と遭遇なんて気が変になりそうな
状況にも対応できているのも事実だ。
「もう遅いもんね!とびっきりのやつをおみまいしてやるもんねー!」
 もはやガキの喧嘩レベルになった神様の一声が、重く俺たちに圧し掛かった。
一体、どうなってしまうのか!?

                            つづく

748 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/05/01(火) 20:34:36 ID:nwN3WK9M
「では選ぶが良い。一番、女体化。二番、マッチョ化。三番、若年化。
 どうじゃ?恐ろしくてションベンをちびりそうじゃろ?な?な?」
「ほんと。あー、こわい」
「……あぅ…ひ、ひどい……」
「泣かなくてもいいじゃない、あんたほんとにカミさまなの?」
「あんだって?!あたしゃk……」
『それが言いたかっただけか!』
 ほぼ同時に俺たちは突っ込み、そのまま帰路へと……。

749 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/05/01(火) 20:35:17 ID:nwN3WK9M
「いやちょっと待ってよ。とりあえず何番かだけでも選んで下さいよ」
「じゃあ三番」
 俺は迷うことなく三番を選ぶ。これで、あの小さくて素直だったときの
あいつに戻ってくれれば言うこと無しだ。
「何であんたが選んでるのよ」
 いやまてよ?こいつ、たしか小さいときからこんな調子だったっけ?
「一番じゃな!?ヒッヒッヒ!!」
 ブキミな笑い声が境内に響き、同時に今までの周囲の静けさが抜け
夕暮れの喧騒があたりに戻ってくる。
「安心しろ!もう大丈夫だぞ!」
「だから、なんで一番にしなかったの?あれなら別に……」
「おやぁ、呪いとか信じてないんじゃなかったんですかぁ?んっふっふ!」
「……」
 こうしてこの日は強烈な右フックをお見舞いされて終わったのだった。
しかしこの後、予想だにしない出来事が!

750 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/05/01(火) 21:12:51 ID:nwN3WK9M
 朝起きると、俺の目の前に小さな女の子が立っていた。
 中学生くらいだろうか。丁度、あの生意気で向こう見ずでおてんばで
毒舌でヘソ曲がりの幼馴染の若いころにそっくりだ。
「さっさと起きなさいよ、能無し」
「というか本人ですか。あれ、なんで中学の制服着てるの?」
「呪いのせいよ。これはかなり厄介ね」
 俺はベッドに腰掛けたまま、小さくなった幼馴染の話を聞く。ひと段落した
ところで、ぽんと膝を叩く。
「ふむ。本当に呪いみたいだな」
「信じたくないけどね」
「しかし……今は若返りが進行していないようだな。何かきっかけがあるのか?」
「分からないけど、ほんといい趣味してるわね。あのバカ神」
 すとん、と音がすると幼馴染のスカートが床に落ちる。
「おっ!?いま若年化したな。ふむ、どうやらあの神様の悪口を言うたびに
 若年化が進むみたいだな」
「……どこ見てるのよ」
「お前のぱんつ」
「あんたって最低ね」
 そう言うと同時に、また若年化が進む。もはや袖から指先くらいしか
見えていないくらいに体は小さくなっている。
「そうか。お前が憎まれ口を叩いたり、素直じゃない発言をするたびに
どんどん体が小さくさっていくのだな!」
「……成る程ね。それはそうかも」
 うっとうしそうに上着の袖を捲くりながら、幼馴染は頷く。
「しかしここまでとはな。よっぽど悪態をついたのか?」
「家を出るまではそこまでじゃなかったけど」
「おいおい!お前の家から俺んちまで10mもないだろ!」
「仕方ないわ。アンタの家の玄関先でちょっと愚痴ってたから」
「ふぅ……ん?じゃあ逆に素直な発言をすれば本に戻るんじゃないか?」
「たとえば?」
 そう言われた俺は、すこしいたずらしてやろうと思い立つ。
「そうだな、俺への恋心を打ち明けるとか」
「それはないわ。アンタなんて虫唾が走るほど嫌いだから」
「……」
「……」
「言っちゃ悪いが、もう幼稚園児ほどになってるぞ」
「…な、なによぉ……」
「諦めて素直になるんだな。胎児になったりしたら大変だぞ」
「……」
 こうしていろいろあって、幼馴染は元の大きさに戻ることが出来た。
 なお、この後俺は強烈な左アッパーを食らうことになるのだが、それはまた
別のお話。

                            おわり

755 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/05/02(水) 23:22:27 ID:nwN3WK9M
そうですね、たしかにいろいろの部分をはしょり過ぎましたか。
とりあえず「好き」とか「愛してる」とか言えばOKみたいな
状況になったわけですな。

「というわけで、素直に俺の事が好きだといえば元のお前の体に無事
 戻ることが出来るというわけだ。おおっと!これ以上ツンツン態度
 とってると、幼児化が進みすぎてハーイとかバブーとかしか言えなく
 なるのは分かっているな?さ、自分に素直になれ!」
「……」
「早く!早く!」
「……すき!」
「ウヒョー!あ、あの…こう言っちゃ何だが、言われるこっちも
 かなり照れるものがあるから小声で頼む」
「すき!すき!すき!すき、すき!」
「ウヒャー!なにこの『好きの連打(デレデレのラッシュ)』!
 も、もうわかったからその変でやめとけーデヘヘー」
「あいしてる~」
「と、おもったら一休○んかよ!どんだけ使い古されたネタだ」
「……なによっ!ぜんぜんもとにもどらないぢゃないの、もお!!」
「あ、バカ。そんな憎まれ口叩いたら」
「あわわー!あうー…」
「ふぅ!これでお前はもう一生幼女のままだな。可哀想だが
 そうなってしまっては素直に感情を吐き出すことなぞできまい。
 気にするな。世間には小さいのがスキって変態もいることだ。
 諦めろ!!もうお前は元には戻らん!」
「……(ぶんぶん)」
「なに?戻れるって?やってみろよ、ほら」
”ちゅ”
「!!??」
「……あら、戻ったわね」
「い、いま何を……あ、なあ!!これって直接キスだよな?!」
「もう一度同じこと聞いたら殴るわよ」
「なあ、これって直接キ

みたいな流れだな、きっと。
最終更新:2011年10月25日 17:53