834 :1/7:2007/06/09(土) 18:07:47 ID:9rP.Av7g
(自炊)寝起きの悪いツンデレが起きないとキスするぞって言われたら
毎朝、私は寝坊する。目覚ましはもちろん掛けるし、それで起きようと思えば起きれる
けど、敢えて起きずにベッドでもうひと寝入りする。
何故なら、毎朝、お兄ちゃんが起こしに来てくれるから。
布団の中で、私は耳を澄ます。時計をチラリと見ると、7時ちょうど。そろそろお兄ちゃ
んが来る頃だ。
そう思ってワクワクしていると、ギシギシと階段を誰かが上ってくる音がする。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
そう思って私は嬉しさを堪えきれず、思わず顔を綻ばせた。ああ、ダメだダメだ、こん
なんじゃ。お兄ちゃんに私の気持ちを気付かれちゃいけない。
ドンドン!!
「おい。未来起きろ!!」
ドアをノックされる。もちろんこんな事くらいで起きるつもりはない。お兄ちゃんには
たっぷり苦労して貰わないと。
そんな事より、このニヤついた顔を何とかしないと。すぐにお兄ちゃんが部屋に入って
来てしまう。
ガチャリ、とドアが開く。私は咄嗟に布団を被った。お兄ちゃんが近づく気配がする。
私の胸は緊張して、トクトクと鳴った。
と、不意に私の体が揺さぶられた
「おい。いい加減しろよな、未来。学校遅刻すんぞ」
すぐ傍でお兄ちゃんの声がする。私はわざと、眠そうな声で返事をした。
『う~…… まだ眠い……』
すると、お兄ちゃんは呆れたように答えた。
「甘えた事言ってんじゃねえ。そんなもん、誰だって眠いわ。ほれ、起きた起きた」
まだまだ。こんな事で起きるなんてもったいなさ過ぎる。私は強気にお兄ちゃんに抵抗した。
『やかましい…… って言うか、乙女の部屋に勝手に入ってくんなって……いつも言って
るでしょ……』
「俺に部屋に入られるのが嫌なら、毎朝目覚まし鳴ったらきちんと起きろ。ったく、止め
て二度寝してたら意味ねーだろが」
835 :2/7:2007/06/09(土) 18:08:44 ID:9rP.Av7g
『この時間が……一番気持ち良いし…… っていうか、さっさと出てけ。邪魔だから』
「そういう訳には行かないんだよ。このミッションに失敗したら、俺まで朝飯抜きになるんだぞ」
『それは良い事聞いた。なら絶対に起きてやらないから』
うん。時間のないお兄ちゃんを拘束するのは申し訳ないけど、私の楽しみの為には犠牲
になってもらう。
と、お兄ちゃんがその時、布団に手を掛けた。
「分かった。なら布団はがすぞ。いいか」
私は咄嗟に、布団の端っこを掴むと、怒鳴った。
『何すんのよ。バカ!! スケベ!!』
胸の鼓動が大きくなる。あーびっくりした。私はそっと、布団の中で手を動かして、自
分の体を確かめる。
そう。
実は、今日は下着以外、何も着けずに寝ているのだ。もちろん、そう言ったらお兄ちゃ
んがどんな反応するのか見てみたかったから。もちろん、思い立ったのは、昨日布団を引っ
ぺがされて、ベッドから転げ落とされるという非道な扱いを受けたからなのだが。
照れて出て行っちゃうかな? それとも違う手段に訴えるのだろうか。気にせずに強行
されたりして……
あああああ!! もしこんな姿を見られたらどうしようどうしようどうしよう。恥ずか
しくて嬉しくて死んじゃうかも。お兄ちゃんはどう思うかな。私はちょっと子供っぽいか
ら、こんな体ではダメだろうか? それとも少しはエッチな事とか、考えてくれるのかな?
「は? 何で布団引っぺがそうとしたくらいでスケベ呼ばわりしなくちゃいけないんだよ。
意味わかんね」
お兄ちゃんの声がする。口で言うのは恥ずかしいので、私はそっと掛け布団をずらして言った。
『…………こ、これ……見なさいよ』
左の肩をむき出しにする。
「はぁ?」
と言ったお兄ちゃんが、次の瞬間、固まった。やった。大成功。少なくともお兄ちゃん
は意識してくれた。後は挑発するだけだ。
『……こ、これでも、布団はがすって言うの? やれるものならやってみなさいよ。変態』
836 :3/7:2007/06/09(土) 18:09:42 ID:9rP.Av7g
「もしかして、お前……今、下着だけしか着てないのか?」
私は布団の中で小さく頷いた。
『そうよ。こうすればお兄ちゃんに布団はぎ取られないもん。考えたでしょ?』
お兄ちゃんをそっと窺ってみると、難しい顔をして考え込んでいる。私は嬉しくて、つ
い抑えきれずにニヤニヤしてしまった。さて、どうするのかな? お兄ちゃんは。どうや
ら撤退する気配は無いようだ。悪いけど、まだまだ私は起きるつもりは無い。お兄ちゃん
を困らせるのも妹の特権だし。
もし、強硬手段に訴えられたら……
それはそれで、多分怒って叩き出すだろうけど、けどお兄ちゃんに下着姿見られるって
のもいいなあ…… 明日から、また違う展開が期待出来るかもしれないし。
しかし、お兄ちゃんは、私が全く予期しない事を、突然言い出してきた。
「未来。今すぐ起きろ。出ないと…………お前に、キス、するぞ」
――――え?
いきなり、心臓の鼓動がマックスに跳ね上がった。私は慌てて、寝返りを打つと体を
ギュッと縮みこませた。
何で何で何で? どういう事? 何でいきなりこんな展開になってんの?
全く訳分からず、私は動揺した。
お、お兄ちゃんが私にキスするって、ホントに? いやそれはその……う、嬉しい……
けど、でも何で?
はっきり言って、お兄ちゃんが何考えてるのか、さっぱりだ。
すると、お兄ちゃんがさらにこう言った。
「おい。いいのか、未来。すぐに起きるって言えば、俺は大人しく部屋から出ていくけど……」
それで読めた。実力行使が無理だと踏んだからには、私が絶対嫌がる事をすると言って
脅しに来た訳だ。甘い。甘すぎる。だって私は、キスされても全然平気だし、むしろして
欲しいし、どうせするんなら濃厚なキスにしたい。初めてなんだし。
けれど、お兄ちゃんは多分、こう言えば私が怒って起きるだろうと踏んでて、自分はキ
スする気なんて無いのだろう。だったら、徹底的に抵抗して、挑発して、何としてもキス
を実行に移さなければ。
『……フン。どうせ、脅しでしょ。そんな事であたしを起こそうったって……そ、そうは
行かないんだから……』
837 :4/7:2007/06/09(土) 18:10:44 ID:9rP.Av7g
私は強気を装って、こう答えた。これでお兄ちゃんは引っ込みが付かなくなるはず。兄
の威厳って物もあるだろうし、実行しなかったら思いっきりバカにしてやる。
「脅しじゃねえぞ。起きないって言うんなら……その、マジでやるからな」
そう言って、お兄ちゃんはベッドに腰掛ける。
「今ならまだ間に合うぞ。素直に起きるって言えば、許してやるから」
最後通告が来た。これを突っ撥ねれば、ホントに……本当に、キス、されるのだろうか?
緊張しつつ、私は答えた。
『許すとか……バカみたい。絶対に……起きて、やらないんだから……』
言ってやった。これでもう、お兄ちゃんは実行するしかない。けれど、する以上は、ちゃ
んと口にして貰わなければ困る。ほっぺだけで終了とかマジ勘弁だし。
私は即座に、布団から手を出すと頬を押さえた。
「あ。ちくしょう、この野郎。手をどかせよな」
お兄ちゃんが文句を言う。やっぱりそのつもりだったかこのヘタレ。
『お兄ちゃんの考えてる事くらいお見通しなんだから。こっちにだって考えくらいあるわ
よ、バーカ』
さらに挑発する。妹相手だから、頭の中は倫理観だとかなんだとか、そんな物が渦巻い
ているに違いない。けど、関係あるか。だって好きなんだから。好きな人がキスしてくれ
るって言うんだから。遠慮なんてぶち壊して貰わないと。
すると、お兄ちゃんがゆっくりと顔を近づけてくるのを感じた。手の甲に息が掛かる。
まさか手の甲だけで済ませようと言うのだろうか。そんなのは許さない。
慌てて私は言った。
『どーせ、手でもいいか、とか思ったでしょ。ヘタレ』
その瞬間、いきなりお兄ちゃんが私を仰向けに押さえつけた。何が怒ったのか考える間
もない。気づいた時には、私の上に馬乗りに跨り、肩を押さえつけられていた。
『な……何すんのよ。ビックリ……するじゃない……』
反射的に私は言った。激しく胸が鼓動を打つ。体を動かす事が出来ない。いよいよ、お
兄ちゃんとキス、するのか。お兄ちゃんの顔を、私は真っ直ぐに見つめた。お兄ちゃんは
私を睨みつけて、そして言った。
「い……今すぐ起きろ。でないと俺も……遠慮、しないぞ……」
遠慮なんてしないで欲しい。ここまでしておいてしないなんて有り得ない。
だから私も、お兄ちゃんを睨みつけて、言い返した。
838 :5/7:2007/06/09(土) 18:11:41 ID:9rP.Av7g
『…………絶対……起きてやらない……もん……』
来る。ついに……来る。お兄ちゃんの顔が、私の顔に覆い被さってくる。私は目を瞑り
たかったけど、必死で我慢した。こんな時に、ただ黙って目を瞑って、されるがままとか、
そんなのはダメ。どんどんお兄ちゃんの顔が近づいてくる。頭がクラクラする。すぐ近く、
息の掛かる所でお兄ちゃんの顔が止まった。
もうダメ。我慢出来ない。
お兄ちゃんがキスをしようと顔を下ろそうとしたのと同時に、私は自分から、強く唇を、
お兄ちゃんのそれに押し付けた。
「んんっ!?」
驚いて声を上げるお兄ちゃんの口に、そのまま無理矢理舌を捻じ込んだ。構わずに、舌
を思いっきりお兄ちゃんのと絡ませる。
『ん……ふぁ……ん……』
ざらざらした舌の感覚が、私の舌先から伝わってくる。そのまま舌を裏側に回し、なぞ
りながら舌先へと動かしてから、また奥へと入れ、私はたっぷりとお兄ちゃんの舌を堪能
した。それから今度は、ちょっと舌を引っ込めて舌先で歯の裏を触る。そのまま口腔内を
舐め回してから、もう一度舌を存分に絡み合わせた。お兄ちゃんももう、私の動きに合わ
せて舌を絡め、私の舌を舐め回す。
今度は、お兄ちゃんの方から入れて欲しいな……
そう思って、名残惜しいのを我慢しつつ私は舌を絡ませながら徐々に引っ込めようとし
た。しかし、お兄ちゃんは私の口に舌を入れようとして来ないので、私はもう一度お兄ち
ゃんの口に舌を入れ、今度は絡ませずに舌先でチロチロとお兄ちゃんの舌先を舐め、引っ
込めてはまた舐めて、それを数回繰り返した。
すると、ようやく私の意図を理解してくれたのか、お兄ちゃんの舌が、私の口の中へと
侵入してきた。
『んんっ……ん……ふ……』
小さく声を上げ、私は唇で挟んでお兄ちゃんの舌を吸い、舐め回した。両腕をそっとお
兄ちゃんの首に絡ませる。もう離したくない。ずっとこうしていたい。
839 :6/7:2007/06/09(土) 18:14:07 ID:9rP.Av7g
後はもう夢中だった。唾液を絡ませ、舌を交互に行き来させる。お兄ちゃんは私の口を
存分に吸い、舐め回し、私もまたそうした。溢れ出る唾液で頬がベトベトになっても気に
何てしない。しかし、しばらくしてお兄ちゃんが私の口に舌を入れて来なくなって、よう
やく、終わりにしたがっていることに気付いた。そういえば、学校だったんだっけ。そん
なの、もうどうでもいいのに。あ、でもお母さんが来ちゃうか。
仕方なく、私はこれを最後とお兄ちゃんの口に舌を捻じ込み、一通り舐め回してから、
舌を引っ込めた。けど、まだ唇までは離したくなくて、しばらく吸い続けて、それからやっ
と、私はお兄ちゃんの唇から、自分の唇を離した。
ポフッ、と頭を枕に預ける。お兄ちゃんと私の交わりあった唾液が、二人の唇の間に橋
を掛けて、やがてそれが途切れた。
しかし、これだけやってもまだ、私はちっとも満足していなかった。もっとキスしたい
し、違う事もしたい。けど、きっかけは作ったんだから。後は……責任を、取ってもらうだけだ。
「未来…………」
お兄ちゃんが小さく呟く。その顔は若干不安そうで、私を窺うように覗き見ていた。こ
こまでしたのに、やっぱりこんなに顔を寄せるのは恥ずかしくて、私はそれを隠そうと、
お兄ちゃんを睨みつける。
『わ……分かったでしょ………… あたし……お兄ちゃんの……思い通りになんて……な
らないんだから……』
そう。私は、お兄ちゃんの思い通りになんてならない。私が……お兄ちゃんを、思い通
りにするんだから。
私は、両手でお兄ちゃんの肩を軽く押して言った。
『どいて。起きるから』
体を起こそうとすると、慌ててお兄ちゃんがベッドから下りた。
「お、おい。服」
お兄ちゃんがそう注意する。けれど私は構わなかった。むしろ見て貰いたいくらいだ。
けど、今、全部見せると自分が抑えられなくなるかもしれないから、さすがに前は布団で
隠した。お兄ちゃんが視線を逸らす。照れてるんだ。可愛いな。
ちょっと苛めてみたくなって、私はお兄ちゃんを睨み付けた。
840 :7/7:2007/06/09(土) 18:14:41 ID:9rP.Av7g
『着替えるんだから、さっさと出て行ってよね。スケベ』
「あ、ああ……」
そう頷くと、大人しくお兄ちゃんは部屋を出て行こうとする。まだお兄ちゃんがいるの
にもかかわらず、私はベッドから出て腰掛けた。今、声掛けたら見られちゃうかな。それ
ならそれで……
我慢しようとしたけど、やっぱり抑えきれず、私は声を掛けてしまった。
『お兄ちゃん』
「な、何だよ」
振り向こうとして、お兄ちゃんはまた前を向いてしまった。気付いたか。残念。だけど
まだ機会はある。だって、これからずっと、お兄ちゃんには責任を取ってもらわなきゃい
けないんだから。
私の、ファーストキスを奪った責任を。
終わり
妹の性格がちょっと怖くなった気がするが気にしない。
最終更新:2011年10月25日 18:01