851 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/07/11(水) 08:23:25 ID:WcNbK3qg
ピピピ・・・ピピピ・・・。
「ん……むぅ……」
耳障りな電子音に呼び起こされ、私は目覚まし時計を睨みつけた。うん……大丈夫。まだあと10分は寝ていられる。
「おや……すみ……」
――。
「ホントにいいんですか?」
「いいのよ。どうせ、このままじゃいつまで起っても起きないし! じゃ、私は仕事行くから、あの子の事よろしくね!!」
……誰かの話す声が聞こえてくる。しかし眠りのもやにさえぎられ、私には一体何を喋っていたのか、把握できなかった。
(どうでも、いい……ねむい……。ふとん……きもちぃ……。たかしのゆめ、みれるかな……?)
再び……いや三度眠りの縁に落ちようとする私の耳に、「コンコン!」というノックの音が届いた。もちろん無視。
「コンコン! コンコン! ……もういいや、遅刻するし入るぞ!」
……? どこかで聞いたことのある声だ。えっと……と、私が答えを導き出す前に扉が開き、そいつが姿を現した。
「よ! 起きてるか、ちな……み……?」
「たか……し……?」
事態が把握できない私。本当にたかしの夢を見ているのだろうか? 正夢という奴だろうか。違う、あれは夢が現実になるというものだ、この場合は当てはまらない……。
などと呆けきった頭が詮無いことを考えている私に対し、当のタカシといえば私の方を言葉もなく見つめていた。
「……?」
たかしの目を追って、私は自分の体に視線を落とした。瞬間、顔が真っ赤に燃え上がる。なぜなら……生まれたままの姿だったからだ。
「な……っ!」
「あっ! いやっ!! その、これは、そそそそそう不可抗力ってヤツで、俺は別にそんなつもりで来た訳じゃ……!!」
「……じっくりたっぷり……見てたくせに……。その言い訳は……通用しない……よ……っ!!」
……かくて、一方的な虐殺が始まった。
――。
「イタタタタ……あ、朝からなんて災難だ」
「その台詞は……私の……。君みたいな下種に見られて……もう、今日一日ブルー……。……真っ青」
背中を合わせて座り込む私たち。窓の外を見れば、初夏の青が空一面に広がっていた。
「……ブルーだから……今日は、学校お休み……。……君は私の御機嫌取りになれ……拒否権は、ない……」
「へいへい、この不良娘め。なーんでもさせて頂きますよっ。……はぁ、おばさんになんて言やいいんだよ」
――蝉の声が聞こえだす。新しい季節が始まったみたいだ。
規制とか勘弁してくれ。数ヶ月ぶりに電波が来たのに……。
最終更新:2011年10月25日 18:02