188 :1/6:2009/01/01(木) 17:58:50 ID:???
前にスレで出たお題

  • 実は男がすきだったショタ山田
  • と思ったら女だった山田
  • 山田はボクっ娘に進化した!

「タカシ…ボク、実は女の子だったんだ…。」

山田に突然そんなことを告白された。
―山田が…女の子?

確かに山田は男らしくないとは思っていた。
背はちいさいし…

「山田って小せーなーw中学とかから全然伸びてないんじゃないのか?w」
「うー!!ボクはこれから大きくなるんだよ!!」
「俺は別に小さいままでも良いぞ?扱い易いしなw」
「扱い易いってなん…わっ…お、降ろせぇ!!」
「軽いなーお前w」

189 :2/6:2009/01/01(木) 17:59:18 ID:???
趣味も妙に家庭的だし…

「うーさむさむー…お、山田そのマフラー暖かそうだな。どこで買ったんだよ。」
「買ったものじゃないよ。ボクが編んだんだよ。」
「え?お前編み物できるのか?」
「そうだよ?あ、変な趣味だって思っただろ?」
「別に。珍しいとは思うけど、良いな。今度俺のも編んでくれよ。」
「な、なんでボクがタカシのなんて編んでやらなきゃいけないんだよ!」
「冗談だよ。男友達から手編みのマフラー貰ったなんて周りに知れたら変な噂が立っちまうよw」
「あ、当たり前だバカ!」

妙に世話焼きだし…

「ほらタカシ、ネクタイずれてるぞ。」
「良いよ、自分で直すから。」
「自分で直すより他人に直してもらった方が良いんだよ。ほら、じっとしてろ。」
『ふふっwタカシ君ったら山田に世話になりっぱなしねw」
「なっ…なんで俺がこんなチビに世話になんなきゃいけないんだよ!」
『小さいのは関係ないでしょ。実際授業中寝てばっかりでノート取らないから山田に世話になりっぱなしのクセに。』
「うっ…」
「友ちゃん、あんまタカシをいじめちゃダメだよ。こいつ図体はでかいクセに意外と気はちっちゃいんだから…。」
「にゃろー、言ったな!!」
「ちょっ…やめろよ人が見てるところで!!」
『あははw山田ってあんなに軽々持ち上がるのねw」

190 :2/6:2009/01/01(木) 17:59:43 ID:???
それに…顔も…可愛いし…

「すぅ…すぅ…」
『あら、山田ったら珍しく居眠りしちゃってるわ。』
『ねぇ、山田って…可愛いと思わない?」
「は?何言ってんだよ。」
『だってさ、ちっちゃいけど、明るくて、顔も…まるで女のk…』
「待て、それ以上言うな!!」
『…どうしたのよ?』
「それ以上言ったら…山田の顔真っ直ぐ見れなくなりそうだ…。」
『あら、タカシ君ったら実は既にけっこう意識しちゃってたんだ?山田のこと。』
「べ、別にそういうわけじゃ…」
『私は別に良いと思うわよ?愛ってのはそれぞれにそれぞれの形ってのがあるから、別に男の子同士でも…。』
「勘弁してくれよ…第一山田はそんな気無いだろ。」
『わからないわよ?実は山田も…』
「それは無いだろ!あーもう友子はどうしてそういう話に持っていこうとするんだ!?」
『だって面白いじゃない。クラスの男の子同士が好き合ってたら、なんてさ。』
『こうして話してるうちに、実はその気なっちゃったりしてない?タカシ君?』
「な、なんでだよ!!」
『だって赤いわよ?顔。』
「え、うそ・・・!!」
『あははw冗談よ冗談。』
「くっそー…」

191 :4/6:2009/01/01(木) 18:00:18 ID:???
「…ボク、実は女の子だったんだ…。」
俺はすぐに答えることが出来なかった。
ずっと男だと思ってた山田が、女だったなんて。
確かに俺は山田を恋愛感情に近い感情で見ていたかも知れない。
こいつが女だったらどんなに良いだろうって何度も思った。
「…どうして、今まで男のふりをしてたんだ?」
俺が捻り出せた精一杯の問い。
どうして男のふりをしていた、いや、どうして女では居られなかったのか。
「昔…嫌なことが有ったんだ…。」
山田は俯いて答えた。
嫌なこと。それだけで、なんとなく想像出来た。
何か女で居ることが嫌になるような目に遭った、いや、遭わされたんだろう。
「…わかった。それ以上は言わなくて良い。」
うん、と小さく答えて山田は黙ったが、やがてまた口を開いた。
「その、嫌なことのせいで…女の子であることを辞めて男として生きるつもりだったけど…。」
「やっぱり自分の気持ちに嘘は付けないや…。」
山田の目からつー、と頬に涙が伝う。
「ボク…タカシが好き。ひくっ…女の子として…えぐっ…男の子の…タカシが…好きです…。」
堰を切ったように山田の目から涙が溢れる。
拒絶されるかも知れない。もしそうなれば、自分はまた独りになってしまう。それが不安で山田は泣いているのだろう。
ならば、俺がするべきことは一つ。

192 :5/6:2009/01/01(木) 18:00:40 ID:???
「山田…。」
「ふぇ…あっ…」
俺は山田を抱きしめた。
小さい身体だ。当たり前だよな。女の子なんだから。
「今まで辛かったな…大丈夫。俺は全部受け入れるから。な?」
そう言って山田の頭を撫でる。
「タカシぃ…ひっく…良かった…嬉しいよぉ…。」
それともう一つ、言わなきゃならない事。
「それと…今だから言えるんだが…俺、ずっと山田のこと好きだったみたいだ…」
「…へ…?」
「その…つまりだな…俺はお前のことずっと男だと思ってたわけで…それなのにお前を好きになるなんておかしいだろ?
 確かにお前のことは前から気にはなってたんだが…つまりなんだ。そういうことだ。察しろ。」
山田はすっかり泣き止んで、恥ずかしそうに弁解する俺をじっと見つめていた。
「…ふふふっ…あはははははっ!」
「な、何がおかしいんだよ。」
「はははっ…だって、恥ずかしそうに言い訳してるタカシ、おっかしいんだもん。」
「なんだよ、せっかくお前のこと好きだって言ってるんだからもうちょっと嬉しそうにしろよな!」
「…嬉しいよ…?」
「すっごく嬉しい…。生まれてきてから今までで、一番嬉しいよ…。」
山田はそう言って俺に微笑みかける。
ああ、確かに可愛いな。
「ねぇ、タカシ…。」
「ん?」
「キス…して欲しいな。」
「…良いよ。目、つぶって。」
「ん…。」
山田は目を瞑ってその時を待つ。
そして俺は、
山田のおでこにキスをした。
「え…なんで…こういうときはふつー唇だろ!?」
「さっき俺を笑ったおかえしだ。」
「もう!タカシのいじわるー!!」

193 :6/6:2009/01/01(木) 18:01:04 ID:???
そして…

「タカシ!」
「おう、おはよ、山田…って…。」
振り返ると、そこには女子の制服に身を包んだ山田の姿があった。
「へへへ…どう?似合うだろ?」
「女子の制服…大丈夫なのか?」
「…うん。なんかタカシに話したら、吹っ切れちゃった。」
「…そっか。」
「まだちょっと怖いけど…。」
「もしもの時は…タカシが守ってくれるよね?」
山田は俺を子犬のような眼差しで見つめて言った。
「…もちろんだ。」
「って言ってもタカシじゃイマイチ頼りないけどねー…今までだってボクに世話になりっぱなしだったしさぁ…。」
「んにゃろ、折角決まったと思ったのにそんな言い草あるか!!」
「わっ、ちょ、ちょっと持ち上げんな!今ボクスカート履いてるんだからなあ!!」



「…ところで山田。」
「なに?」
「ボクってのは直さないのか?」
「これはずっと昔からそうだから今更直せないなぁ…。」
「そっかー。じゃあこれからもボクっ娘で通すわけだな?」
「ボクっ娘って言うなー!!」

おしまい
最終更新:2011年10月25日 18:50