249 :ツンデレバレンタin関西1:2009/02/15(日) 00:35:50 ID:???
い「さ~て、勢いで作ったはええけど……」

 大きなハート型のチョコを見下ろして溜息一つ。

い「どうやって渡すか、なんっっっにも考えてへんかった……!」

 時にバレンタインデー前日深夜。

い「う~、ウチとしたことが、こんな基本的なこと忘れるやなんて……。
  柄にもなく空気に流されてみたんが失敗やったんかなぁ~。  
  よくよく考えたら、本命チョコなんて初めてやしなぁ……。もっと慎重になるんやったかなぁ……。
  いやいや、それもこれも『バレンタインにチョコ送ろ~』なんてイベント作った奴が悪いねん!
  こんな甘っ々な雰囲気、そこらじゅうで醸し出されたら、ウチかてあてられるゆうねん!
  そもそも、バレンタイン司祭は戦時に男女の仲を取り持ったがために殺されたんやで!? しかも撲殺や!
  そんな日にチョコを贈って愛の告白て……! 不謹慎ここに極まれりやん!?
  ……まぁ、せやけど? こういうイベントでもないと告白する勇気なんて出ぇへんし?
  あのバカもニブチンやから、普段にアプローチしても絶対に気づけへんやろし?
  やから、これはしゃぁないねん、渡りに船やねん! いつの間にか肯定してもうとるけども!」

 深夜の台所に響き渡る一人ノリツッコミ。

い「はぁ、グダグダ悩んどってもしゃぁないな、何個かプランでも考えてみよか……」

250 :ツンデレバレンタin関西2:2009/02/15(日) 00:36:42 ID:???
 プランA・下駄箱に入れる
い「ベッタベタやな! いつの時代の手ぇやねん!
  いや、逆に一回りして新しいかも……?
  いやいや、待て待てぇ、下駄箱に入れるんやったら、差出人書かなあかんやろ?
  それって、つまりラブレターやろ?『好きです(キリッ』って書いてあるやつやろ?
  そ、そそそ、そんなん無理やん! 恥ずかしい! ていうか、あのバカにラブレターて!
  それ以前に文面考えるだけで朝になりそうや!
  却下却下! 同様の理由で、机の中に入れるって案も却下や!」

 プランB・友達に渡してもらう
い「友子に頼めと? 出来るわけないやろ! あいつに話したら次の瞬間に地球の裏まで噂が広がってるわ!
  そんなことになったら、黒板に相合傘とか描かれて『ヒューヒュー、お二人さ~ん、式はいつなの~?』
  みたいに、からかわれるのが目に見えとる! 次次! 次の案行こ!」

 プランC・郵送する
い「バレンタインは明日やろ! アホか! いや、案出してるのウチやけども!
  ていうか、プランAと同じ問題が残るやん!」

 プランD・体育館裏に呼び出して手渡し
い「少女漫画か! しかも古いわ! ていうか、なんで体育館裏限定やねん!
  ……まぁ、場所はともかく、手渡しが一番確実なんやろなぁ。うぅ、想像するだけで顔熱いわ……。青春ストライクど真中やもんなぁ……。
  あっ!『義理なんだから勘違いしないでよね!』言うて渡せば……!
  って、あかんやろ! 告白するんやろ! しっかりしぃ、ウチ!
  つか、こんなバカでかいハート型のチョコが義理で通るわけないやん! さすがにあのバカでも気付くわ!
  ホワイトチョコで『LOVE』って書いてもうとるし!」

い「はぁ…はぁ……なんか、どっと疲れたわ……。ええわ、もう寝よ!明日は明日の風が吹くやろ!」

251 :ツンデレバレンタin関西3:2009/02/15(日) 00:37:43 ID:???
 そしてバレンタイン当日……。

い「う~、モンモンとして、よう眠れんかった……。結局、なんっも思いつかんし……。いつもの通学路が緊張で歪んで見えるわ……。
  意外と意気地なしやったんなぁ、ウチって……アハハ、冬の空気と同じで笑いも乾いとるわ……」
タ「おっはよう、いずみ!」
い「おわあああああああああああああああああ!? なんや、やんのかコラァボケェ! 今のウチは手加減なんて上等なもん出来へんぞ!?」
タ「待て待て待て待て、落ち着けギブギブ、苦しい苦しい! 締まってる締まってる!」
い「ハッ? なんや、タカシか……。びっくりさせんなやアホォ!」
タ「肩叩いて挨拶しただけで、びっくりして殺されかけるとは思わんだろが!」
い「あ、あはは、すまんすまん、ついうっかり……。
 (う~、こんな朝一番で会うとは思わんかった~! ど、どうしよ、いま渡した方がええんかな? あぅぅ、でも、ウチにも心の準備っちゅうもんが……)」
タ「ん? 顔赤くないか、いずみ。風邪か? ちょっとおでこ貸してみ?」
い「(いや、でも、せっかく二人っきりやし……)……って、ふぇ!?」
タ「う~ん、熱はないか……?」
い「あ…あぅ……ぁ……(タ、タカシの手、手ぇが……お、おでこに……!)」
タ「気分悪かったりはしてないか? 大丈夫か?」
い「き、気分!? む、むしろ気持ちい……いやいや! 別に風邪とかは無いで? うん、ほんまに!」
タ「あぁ、あれか、女の子日か?」
い「ア、アホかああああああああ!? 往来でデリカシーの無いこと言うなやぁぁぁぁぁ!」
タ「痛い! 痛い! もげる、首もげる! 死んじゃう!」
い「まったく、乙女心の分らんやつやなぁ……。 ……なんで、こんなんに惚れたんやろ……」
タ「ん、何か言った?」
い「な、なんも言うてへんよ? あ、ウチ、野暮用があるから先行くな? ほな、学校でな~!」

252 :ツンデレバレンタin関西4:2009/02/15(日) 00:38:23 ID:???
 →教室

い「って、逃げてどうすんねん! つか、いきなりスキンシップはズルイわ! はぁ~、にしても、せっかくのチャンスがぁ……」
友「おっはよ! ……どしたの? 朝から暗い顔して」
い「お~、友子か……。なに『人生とは何や~!』って思てなぁ……」
友「別府君にチョコを渡しそびれたとか?」
い「エスパーか、お前は!」
友「カマかけてみただけなんだけど、見事に釣れたわね……」
い「はぅあっ!?」
友「ふ~ん、別府君ねぇ~。やっぱりねぇ~。前から怪しいとは思ってたのよねぇ~(ニヤニヤ」
い「ち、ちゃう! ちゃうねん! チョコ作ったはええけど、渡して告白する手順を考えるのをすっかり忘れてて四苦八苦なんてわけないやん!
  しかも、あんなウスラトンカチ相手に! い、いややなぁ、もう! アハハハハ!」
友「語るに落ちてるよ~?(ニヤニヤ」
い「に、にやにやしぃな! う~、ええねん、ウチが恋なんて似合わんのは分かってるねん……」
友「いやいや、そんな事ないよ~? 女の子は恋する生き物だもんね! そして私は、そんな恋する乙女の味方!」
い「な、なんや? 味方て、なんか手伝うてくれるん!?」
友「全身全霊で影ながら見守ってあげる!」
い「いらんわ! アホか! なんや、いつものパパラッチ根性か……。期待して損したわ……」
友「え~、ジャーナリスト魂って言って欲しいな~」
い「言うか! もうええから、席着きぃな、授業始まるで!」
友「はいはい、じゃぁ、頑張ってね~ん、応援してるわ~ん!」
い「余計な御世話や!」

い「(あっ、そや、昼休みに飯に誘おう! んでデザート代わりに出すってどうや? うん、これなら口実も出来て一石二鳥や。よし、これで行こ!)」

友「(あ~、もう可愛いなぁ、いずみってば! これは、今日一日、目が離せないぞ~!)」

253 :ツンデレバレンタin関西5:2009/02/15(日) 00:39:00 ID:???
 →昼休み

い「な、なぁ、タカシ。天気もええし、中庭で優雅なランチと洒落こまへん?」
タ「お、いいねぇ! 朝に比べて温かくなってきたしな! 付き合うよ!」

 →中庭

タ「……んで、山田が『俺はイソギンチャクだ! ひれ伏せ下郎!』ってパンツ一丁で……」
い「あっはははははは! 相変わらずアホやなぁ、あいつw」

い「……っ宇宙飛行士か! それはないわ~。それよりは虚無僧の方が……」
タ「え~、そうか~? それならフラミンゴでも同じじゃん?」

タ「……ピューマに襲われた時にどうするかとか大真面目になぁ……」
い「あ~、猛獣系はキッツイなぁ。かといって、海牛類やと意味ないし……」

い「……それがドリルやったんやて!……」
タ「マジで!? 干物じゃなくて!?」

タ「……おっと、そろそろ昼休み終わるな。戻ろうか?」
い「せやね。次は教室移動せなあかんし」

 →5時間目授業中

い「(普っ通~に食い終わってど~すんねん! ダベってただけやん! あ~、もう、ウチのアホ~! アホ~!)
  (う~、でも、楽しかったなぁ……。やっぱり、あいつの事…好きやねんなぁ、自分……)
  (なんとか……! なんとか渡したい……!)」

254 :ツンデレバレンタin関西6:2009/02/15(日) 00:39:46 ID:???
 →放課後

い「なんともならへんかった……」
友「惜しい所までは行ったんだけどねぇ~」
い「ウフフ……もうええわ……ウチみたいなもんは、このままチョコと一緒に土に還ればええんや……。それがお似合いや……」
友「本当に、いいの……?」
い「…………」
友「頑張って作って、思い伝えるって決めたんだよね?」
い「…………」
友「諦めて、後悔しない?」
い「…………せや…せやよなぁ。諦めたら、そこで試合終了やもんなぁ……!」
友「そうそう! それに、いずみに諦めるなんて言葉は似合わないって!」
い「よっしゃ、吹っ切れた! 当たって砕けろや! ちょっと行ってくるわ! ありがとな、友子!」
友「砕けないように祈ってるよ~w あ、お土産はノロケ話でいいから~。
  …………まったく、世話の焼ける子だこと。ま、そこが見てて面白いんだけどねw」

い「(この時間なら、あのバカはまだコンピューター室でダベっとるはずや。よ~し、ウチはやるで~!)」

 →廊下

い「あ、タカシ!」
タ「ん、いずみ?」
い「あのな、その……あ~、なんというか……」
タ「どうした? 珍しく歯切れが悪いな。やっぱりあの日……」
い「ちゃうわぁ! 今日は、その…バ、バレンタインやん? せやから……」
タ「うん?」
い「チョコを……って、タカシ? その手に持っとるのって……」
タ「これ? あぁ、これは……」
い「もう、立派なの…貰ってたんやな……」
タ「いや、これは……」
い「えぇい、みなまで言うなぁ! お前みたいなモテ男は、これでも口に詰め込んで糖尿にでもなってまえばええんやぁ!(ブンッ」
タ「痛っ!? お、おい、いずみ、これって」
い「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんンンッ(ドップラー効果」
タ「はやっ!?」

255 :ツンデレバレンタin関西7:2009/02/15(日) 00:40:27 ID:???
 →屋上

い「失恋して屋上て……。ウチもベタやなぁ……。
  ていうか、最低や、自分……。あんなみっともなく取り乱して……」

い「うぅ……。あかん、泣きそうや……。泣いたらあかん、銭の花は白いけど、その根は血のように赤いんや。やから、泣いたらあかん……」

タ「……見~つけた!」
い「タ、タカシ!? な、なんやねん、何しに来たん!? あのチョコくれた子ぉと、よろしくしとったらええやん!」
タ「はぁ……お前、勘違いしてるぞ」
い「か、勘違いて?」
タ「あれは山田に渡してくれって、後輩の女の子に頼まれたもんだ」
い「へ!? や、山田に!?」
タ「あぁ、あいつ、あれで意外に面倒見が良くてな。それに、あの明るい性格だから、部活の後輩に慕われてるんだよ」
い「そ、そうなんや……」
タ「んで、だ……」
い「ん、んぅ?」
タ「さっき、いずみがくれたチョコ」
い「はぁ!?」
タ「さっそく食わせてもらったけど、スッゲ~美味かった! お前の気持はしっかり受け取ったぞ!」
い「あ、う、ちゃうねん! あれは義理やから! 勘違いせんで!」
タ「あんな巨大なハート型にホワイトチョコで『LOVE』って書いてあるのに?」
い「あぅ!?」
タ「ていうか、あれだ、俺もいずみのこと、す…好きだし……」
い「ほ、ほんまに!?」
タ「あぁ、インディアン嘘つかない」
い「お前、インディアンちゃうやろ! あ…いや、その…こんな時にボケんでもええやん……。うちも…その…好きや…タカシのこと、大好き……!」
タ「いずみ……」
い「ちょ、ちょう、顔近い……」
タ「もっと近くしたいけど、嫌……?」
い「い、嫌なわけあるかい…どんと来い、ボケェ……!」
タ「ん……」
い「ぅん……ちゅ……」
タ「いずみの唇、チョコの味がする……」
い「ぅぅ…恥ずかしいこと、言いなや…ぼけぇ……」
タ「もう一回、いい……?」
い「ちょ、待って……ぁ……んむ……ふぁ……いつもはニブチンの癖にぃ、あほぉ……」

256 :ツンデレバレンタin関西8:2009/02/15(日) 00:41:34 ID:???
 →帰り道

タ「いずみと手をつないで帰れるなんてなぁ……」
い「うぅ、恥ずかしいわ……けど、なんか夢みたいや……」
タ「そういや、あのチョコ、本当に美味かったけど、いずみって料理上手だったんだな」
い「あぁ、ウチ、鍵っこやから、自分で飯作ってたんや。家庭料理は一通りできるで」
タ「じゃあ、弁当も自分で?」
い「せや。まぁ、夕飯の残り詰めたりも多いけどな」
タ「すげ~な! あ、じゃぁ、今度ごちそうしてよ!」
い「調子乗んな! と言いたい所やけど、特別に作ったろ! 何がええ?」
タ「そうだな……ハンバーグとか唐揚げとか?」
い「お子ちゃまか! あ、でも、そのメニューなら、冷蔵庫に入っとる材料で作れるな……。ほな、良かったら今から家に食べに来ぉへん?」
タ「いいの!? でも、急にお邪魔して迷惑じゃない?」
い「遠慮なんてタカシに似合わんで~w それに、両親とも共働きやから、今夜は誰もおらんし!」
タ「家に誰もいないって……大胆だな、いずみ……!」
い「はぅ!? ちゃ、ちゃう! ちゃうねん! そういう意味で言ったんやなくて! あ~、もうこのスケベ! スケベニンゲン!」
タ「冗談だってw いずみが嫌がる事は絶対しないよ」
い「い、嫌ってわけやないけど……うぅ、そういうのは…まだ早いやん、あほぉぼけぇ……」



1か月以上規制が解けないのでムシャクシャしてやった。
反省?なにそれ、新種のチョコ?

あと、関西弁はキチンと調べたわけじゃないので、関西在住の人、間違ってても石投げないで貰えると助かりますw
最終更新:2011年10月25日 18:53