374 :(1/2):2009/05/16(土) 20:28:41 ID:6ub2saBA
お嬢とメイドと男
お嬢こと神野さんが風邪ひいて休んだってので担任がこれ届けとけっていう白羽の矢
で、道に迷ったり犬に吼えられ死闘を繰り広げたりはあったもののやっと着いたと思ったら…
「なにこの大豪邸……リナって本当にお嬢様?」
ええい!こうしていても埒があかん!と意を決してチャイムチャイム……チャイムドコー?
『あの、神野邸に何か御用でしょうか?』
「へあ!?ど、どちら様で?」
いきなり声を掛けたらびっくりするでしょ!もう!
…だが俺はどちらかと言えば大人なのでそういう不満は胸の内にしまっておくナイスガイ
『失礼致しました。わたくし、この神野家に仕えている使用人でございます。
見たところお嬢様と同じ学校の制服のようで、リナお嬢様のご学友でございましょうか?』
「こ、これはご丁寧にどうも…え、えーっと…そうです。神野さんとはクラスが同じでして…あの
今日は神野さんが風邪という事で休んで…あーいや、お休みになられたので…」
『ふふっ、普通に喋って下さって構いませんよ?わたくしの話し方は御気になさらずに』
ああっ、なんか優しいよ!神野さんとは大違いだよっ!何これ惚れそう
「あ……すみません、何分貴方のような麗しい女性に接する機会があまりないもので…
少しあがっているようですね。あ、よろしければ携帯の番号とかスリーサイズなど…」
『……あの、会ったばかりの女性を口説くのは如何なものかと……
わたくし、軽い男の人は大嫌いです』
おおぅ…好感度が奈落の底へ…選択肢間違えたか?ロード…ロードしなきゃ…
などと戯れている場合ではない!速やかにみっそんを遂行せねば…
「えっとですね。つまり神野さんが今日欠席したので届け物がてら見舞いに馳せ参じた次第です」
『ああ、そういうことでしたらどうぞ。お嬢様もきっとお喜びになると思います』
そうかなー…あの神野さんが喜ぶ?ないない、むしろなんで来ましたの?このゴミがとか言いそう
そしてメイドさんに連れられ神野邸へ招かれる俺だった。うわ、あの絵高そー
375 :(2/2):2009/05/16(土) 20:29:16 ID:6ub2saBA
神野さんの部屋の前でメイドさんがノックする。緊張するやないかい
『リナお嬢様。メイです。ご学友がお見舞いに来ていらっしゃいますが
入ってもよろしいでしょうか?』
そういえばこの人の名前訊いてなかったな…というかメイってあんた…安直すぎるだろjk
………しょうがないだろメイドさんの名前なんて考えてなかったんだ!俺は悪くねぇ!by親善大使
『……いいわ、入りなさい』
ややあって神野さんのお言葉。あ、俺そういえば女の子の部屋入んの初めてじゃね?うわー
『失礼します。さぁ、タカシ様もどうぞ』
「し、失礼します。じ、神野さん!おみ、お見舞いに…」
これ以上なく緊張して言葉がうまく出てこない。なにこいつかっこわりぃwwww……orz
『た、タカシさん!?ご学友って貴方ですの!?なんで貴方が私のお見舞いに…』
「いや、あのね…センセがこれ届けろって、まぁ、そのついでというかね」
『あぁ、そういうことですの……まぁ、とりあえず感謝はしておきますわ』
「で、どうよ調子は?風邪って聞いてたけど具合はよさそうだな」
『……元々大した事なかったんですのよ?なのにメイったら大事をとって休んでくださいって…』
なんにせよ、元気そうでお兄ちゃん何より。
『リナお嬢様に何かあったら旦那様に示しがつきませんから。たかが風邪でも万全を期すべきです
…まぁ、お嬢様はタカシ様と会えなくて寂しいでしょうけども』
「…は?」
『めっ、メイ!?な、ななにを言ってますの!!わ、私は別にそんなこと…!
タカシさん!?メイの言う事なんか真に受けては駄目ですからねっ!!』
「いや、俺は別に……っていうか、普通そんな焦って否定するほうが怪しいと思うぞ?」
『あああ、怪しくないですわ!べっ、別に私はタカシさんの事なんか……』
『…ならばわたくしが頂いてもよろしいでしょうか?お嬢様』
そう言って俺に腕を絡めてくるメイさん。……いや、ちょっと待て。何やってんのあんた!?
「へ?ああああのメイさん?急に何を……」
『そ、そうですわ!何をやっていますの!メイ!!』
『いえ、お嬢様がタカシ様を要らないと言うのでそれならば僭越ながら
わたくしが貰い受けましょうと、そう言ったのですが?』
言いながらさらに腕に力を込めるメイさん。ああっ!当たってる!当たってるよメイさん!
柔らかふにょんなアレが当たって俺のジョニーが大瀑布しようとしているよ!ええい…静まれ俺の邪気眼…
「え、えっとメイさん?さっき俺のような軽い男は嫌いとかなんとか……」
『ええ、言いました。…ですが人の心は移ろい易いものです。先程からタカシ様を見ているうちに
きゅんときてしまいました。わたくしはもう貴方にめろめろです』
『んなっ!!みみ、認めませんわ!認めませんわよメイっ!貴方にタカシは不釣合いですわ!
タカシのような男にうちのメイドを任せられません!分かったらその腕を放しなさい!』
なにこれ?どうなってんの?ただ見舞いに来ただけなのになんでこんな事になってんの?
教えておじいさん、教えてアルムのもみの木よ(現実逃避)
『わたくしの交際にお嬢様が口を挟む事はないのでは?タカシ様がお嬢様の想い人…
というなら別ですが』
『うっ…!そ、それは…でもおかしいですわよ!二人とも今日会ったばかりのはずでしょう!?』
『愛に時間など関係ありません。それはお嬢様も知っているはずでは?
なんといってもタカシ様にひとめぼ…』
なぬ?逃避の世界から帰ってみると何やら聞き逃せぬ一言が飛び交ったような…
「…リナが俺に一目惚れ?」
『うぅぅぅ…違いますわ違いますわあ!私はタカシの、タカシのことなんかぁぁぁ!!』
あ、やべ、なんかリナ泣きそ
『……ま、ここまでですかね。ではタカシ様、色々面白かったです』
「は?」
戸惑っているうちにメイさんの腕が解かれリナのもとへ背中を押された
「え、えーっと…リナ?俺はお前の事…その…結構嫌いじゃないぞ?」
うわ、俺ヘタレ。泣きそうというかもう半泣きのリナの頭を撫でる。
するとリナはメイさんがやっていたように腕を絡めメイさんに向かう。あ、こっちの胸もなかなか…
『たっ、タカシは、タカシは渡しませんからねっ!!』
なんかもう直球じゃね?ちょっとこれ壊れすぎだろ修理屋もお手上げだぜ。
『はい、わたくしもお譲りする気はありません』
ちょっと!メイさんも何焚きつけてんの!?アンタ絶対面白がってやってるだろ!なんてメイドだ
その後もう泣いてるリナをあやすやらメイさんにその事をからかわれるやらなんか疲れた一日だった まる
最終更新:2011年10月25日 19:14