464 :1/3:2009/06/12(金) 17:08:17 ID:6ub2saBA
まさか俺が誰かに告白される日がくるとは思わなんだ。
『べ、別府先輩!好きです!わ、私とつきっ、付き合ってくだしゃい!』
噛んだな。いや、かわいいけど。噛んだな。
「…えーっと…どうして俺?自分でもそんなイケてる方だとは思わないんだが……」
『はい!別府先輩は全然かっこよくありません!!ですけど、ほら…なんというか…その…』
なんだ…フォローできないんじゃないか。だとするとなんかの罰ゲーム?そっちのほうがしっくり来るな…。
「あー、ほら。罰ゲームとかで嫌々だったら別に無理しなくてもさ……」
『ば、罰ゲームとかじゃないです!えっと、上手くは言えないんですけど…一目惚れ……ってやつですかね』
いまどき一目惚れとかする人いたんだ…しかも相手俺かよ。どんだけ悪食なんだアンタは。
「ほう…一目惚れ…とな?それはつまり知りもしない相手を見た瞬間に何故か恋に落ちたと錯覚するアレだな?」
『わ、私は錯覚なんかしてません!確かに一目惚れですけど、この恋心は多分本物です!!』
多分で付き合って間違いがあったらどうしょうもないからなぁ…。そもそも俺はこの子の事何も知らないし…。
「あの、さ。返事は保留ってことにしてはもらえないでしょうか…?いきなりそんなこと言われても、ねぇ?」
『はっ、はい!全然、構いません!で、でも…できるだけ早くしてくださいね?』
「あ、はい。それでは……ごきげんよう?」
『え?はぁ…ご、ごきげんよう?』
これは由々しき事態だ。家に帰って早急に今後の事、ひいては世界の情勢について検討せねばなるまいて…。

家だよ!

嗚呼、今日も無事帰れたよ我が家。我が家かわいいよ我が家。
「ただいまー、そしてただいまー」
『おかえり愚弟、……あんた告白されたんだってね』
情報の漏洩が速過ぎやしませんか?どんだけ速いネットワーク持ってんだよ……。
「それについてはノーコメントとさせていただきます」
『ふーん、あんたがあたしに隠し事できるなんて偉くなったもんねぇ…』
なんなのこいつめんどぃ。俺はこれから一人オセロやるっていう壮大な使命があるってのに。
「あーもう!姉ちゃんが言った通りだよ!後輩の子に告白されました。これでいいんだろ?」
『んなこたーわかってんのよ。で?受けたのか断ったのかって訊いてんのよ。この馬鹿』
「…なんで姉ちゃんにんなことまで教えなきゃならんのよ?」

465 :2/3:2009/06/12(金) 17:08:44 ID:6ub2saBA
『せっかく弟が、彼女なんて一生どころか来世まで出来そうになかった弟が告白されたっていうのよ?
 これを訊かない姉はいないでしょ!で、どうよ?可愛い子?』
なんだそれ…単なる野次馬じゃねぇか…。親父かお前は。そっちこそ彼氏の一つでも作ったらどうなんだ。
「ん、まぁ…俺にはもったいないくらい可愛い子……だと思うよ。…でも俺こんなの初めてだしさ……。
 返事はまた今度ってことで…とりあえず保留にしてきた」
『バッカじゃないのあんた?そんだけ可愛い子なら付き合っちゃえばいいでしょうが!
 あー、こうしてる間にもその子が心変わりしちゃっても知らないぞー?』
「うっせぇな…。姉ちゃんには関係ねぇだろ!そっちだって俺のこと
 とやかく言う前に彼氏の一人でも作ったらどうなんだよ!」
『うっさい、そっちこそあんたには関係ないでしょ!あたしが彼氏作らないのはね…。
 昔からそれはもう一途に好きな人がいるからよ!あんたにはいないんでしょ?そういう人』
「う…お、俺だって!ずっと前から好きな人くらいいるさ!姉ちゃんこそ
 そいつにさっさと告白でもなんでもして彼氏にしちまえよ!姉ちゃんならいけるだろ!」
『ふーん、いけると思う?本当に?あたしが告白したらOKしてくれる、と?』
「ああ、姉ちゃんはさ…その、俺と違ってか、可愛いと思うし……まず断られないだろ……」
『……あんたは?どうなのよ、あたしに告白されたら付き合うの?』
「そ、それは……俺達姉弟だし……」
『そんなこと訊いてるんじゃないの。あんたは姉とか弟とか抜きにして
 それでもあたしと付き合いたいと言えるの?』
「……うん、付き合いたい、かな。姉ちゃんはそれくらい魅力的だと思うよ…。だから……」
『わかった、じゃあタカシ。あたしと付き合いなさい!』
「えっ!?は、はぁあぁ!?じょ、冗談だろ!!」
『………ほら、付き合えないんじゃない…。この嘘つきめ』
「いや、嘘じゃない…けど…。な、なぁ、姉ちゃんの好きな人って……」
『………なによ?悪かったわね……しょうがないじゃない。好きなものは好きなんだから……。
 でも、あんたも好きな人いるんでしょ?迷惑だろうしさっさと断っていいよ』
「め、迷惑なんかじゃねぇよ!俺も、俺も姉ちゃんが好きだ!姉ちゃんと付き合いたい!」
『………は?』
「え?…いや、だから…俺も、前から…姉ちゃんのことが…だな」
『え、冗談?』

466 :3/3:2009/06/12(金) 17:09:09 ID:6ub2saBA
「…まっさかー」
『な、なんなのよ…じゃあ、あたし達……』
「うん、両思い……だったみたい、だな」
『……あんた今日告白された子、どうするのよ……』
「…ハーレムルーt……いや、明日断るさ。ちょっと気が重いけど…」
『ふ、ふん…別にあたしはどうでもいいのよ?あんたがそっち行っちゃっても』
「俺がよくない。俺はかなみ姉と付き合いたい」
『ばっ、馬鹿!急に名前で呼ぶな!あ、あんた調子乗ってんじゃないでしょうね!』
「だって嬉しいからさ…。だ、大事にする!か、かなみ…」
『よ、呼び捨てにするな馬鹿ぁ!……絶対よ?絶対大事にしなさいよ?』
「うん、なんかこれから結婚でもするみたいだな」
『そ、そのくらい幸せにしろってことよこのばか……』

ああ、姉かわいいよ姉end
最終更新:2011年10月25日 19:31