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883 名前:1/4[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:56:33.37 ID:bGV6SuYT0 [2/5]
「…しまったなあ。母の日だしカーネーションを買おうかと思ったら、間違えてバラをメインに色とりどりの花々が綺麗な花束を買ってしまった…
 今更返品も格好悪いし、かといって俺には花を愛でる趣味もない。母に贈ろうにも母はバラが嫌いだ。
 野草に混ぜるには気品に満ち過ぎているし…かくなる上は、誰かにプレゼントするか」

「…ん?」
「おや」
「…なんだ、貴様か」
「そういう貴方は尊さん。剣道部の帰り道ですか?」
「まあな。貴様は…相変わらず、お気楽が服着たような顔だな。どうせヒマだからする事無しにぷらぷらと出歩いていたのだろう?」
「失礼な。俺だってたまには目的くらい持ちますよ?」
「どうだか…。…ん…おい、ところでどうしたんだ、その花は」
「ああ、これですか……」

 !(ピコーン)

「…いえ、尊さんに差し上げようかと思いまして」
「私に…? 何だ、いきなり」
「えーっと、誕生日プレゼントです」
「…八ヶ月早いぞ」
「剣道部の、インターハイ出場のお祝いに…」
「二ヶ月前に終わった」
「あけましておめでとうございます」
「わざとか。突っ込んで欲しくてわざと言ってるのか」

884 名前:2/4[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:57:15.45 ID:bGV6SuYT0 [3/5]
「…怪しいな。一体何を企んでるんだ?」
「企んでるって…ひどい事をおっしゃる」
「隠すから疑われるんだ。疑われたくなければ正直に言ってみろ」
「正直に…と言われましても。…女の子に理由なく花を渡したらいけませんかね?」
「っ!?(ドキッ)」
「まあそうまで言われちゃ仕方ありません。花は他の人に渡す事に…」
「……ま、待て」
「おや、何か?」
「いや、まあ、確かに私も疑い過ぎたかもしれん。そうだな。贈り物を邪険に扱うのはよくない」
「では」
「まあ、受け取っておいてやろうじゃないか。…ほら」
「どうぞ。大事にしてやってくださいね」
「あ、ああ…」

「…一応聞いておくが」
「なんでしょうか」
「…その、だ。この花束は、貴様が私に贈ったものなんだな?」
「え?…ええ。紛れもなく、俺が尊さんに贈ったものですけど…」
「そうか…そうだな。うん、変な事を聞いてすまなかった。それならいいんだ……ふふっ」

 その後、花は尊の部屋に飾られた。

885 名前:3/4[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:57:59.52 ID:bGV6SuYT0 [4/5]
 数日後、部屋に友子が遊びに来た。

「相変わらず殺風景な部屋ねー」
「…そうか?」
「同い年の乙女とは思えないわ。…まあでも、箪笥の上になにげなく置かれた彼とのツーショット写真がベリーグーよベリーグー」
「っ!」バッ
「はいそこ、写真伏せてもダメー」
「くっ、隠し損ねてた…」
「私を出し抜こうなんざ弥勒菩薩来迎年早いのよ。…って…あれ?そこの窓際の花瓶…」
「あ…ああ。その花か?知り合いに貰ったんだ。多少は部屋の彩りになるだろうと思って…」
「…ふーん。バラの花束…ねえ。尊、花言葉って知ってる?」
「動物占いみたいなものか?」
「あー…まあ、何の根拠もなく思い込みで成り立ってアベックの会話ネタの定番って所は同じだけどね。…そうじゃなくて、バラの花言葉よ」
「…いいや、知らんな」
「バラの花言葉は情熱、愛情…」
「な…っ!?」

886 名前:4/4[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:58:43.40 ID:bGV6SuYT0 [5/5]
「もっぱら告白に使われる花の代名詞よ。…こんなん寄越すって事は、これくれた人、アンタに気があんじゃないの?」
「………………そ…」
「しっかしキザったらしいわねえ、今時バラなんて。しかも赤とは…こいつはゾッコンもいい所ね。ああ怖い怖…」
「そんな訳があるかーーーーっ!!」
「いひゃっ!?」
「ま、待て!情熱、愛情!?で、ででででは、これを渡したあいつの真意は…!?いや、思えばあの時のあいつはおかしかった…
 脈絡なくプレゼントだなんて変だとは思ったんだ!くそう、騙された!
 「女の子に理由なく花を渡したらいけませんかね?(キリッ)」なんてさらりと言って…ああもう、どうしてそういう所が格好いいんだ馬鹿っ!」
「…え!?あれ、ひょっとして彼からのプレゼント!?うっひゃあ、やるねぇ!」
「茶化すなっ!…ええい、知ってしまった以上は…友子!すまんが急用ができた!」
「オッケイ!地獄の底まで付き合ったげるわ!」
「ビデオカメラは置け。あと付いてくるな」
「チッ…」
「本当に…もうっ!あいつは…毎度毎度…っ!」
「おーい、鞄に竹刀とフライパンと鉄パイプなんか詰め込んで何しに行く気ー?」
「決まってる…あいつを問い詰めにだっ!では、行ってくる!」
「行ってらっさーい。…やれやれ。別府君、明日も生きてるといいけどね」



 ──その頃の別府宅 

「神のみぞ知るセカイは面白いなぁ」

 尊の突入まで、あと七分三十八秒。別府タカシの明日はどっちだ。
最終更新:2011年05月10日 01:20