89 名前:1/2[sage] 投稿日:2011/05/08(日) 17:56:44.60 ID:xprT+ax00 [2/3]
母の日だし~ ってことで、バイト前に2つ。


「カレーを作るだぁ?」
「……母の日にはカレー……CMで見ました」
「いや、母の日なんだからカーネーションとかじゃないの「カレーを作ります」――ああ
そうですか……」
 珍しくキッパリと言い切りやがる妹君。
 なぜにカレー? と思いつつ、母の日当日に口論しても仕方ないので従うことにする。
「――あ、でもそれなら」
「……なんですか? ……別に母の日だから一緒にカレーを作ってプレゼントするだけで
すよ? ……他意はありません」
「いや、ここは俺が花を買ってきてちなみがカレーを作る。そうすればプレゼントも二つ
になるしな。義母さんも喜ぶだろ? 完璧だ」
「……なら、まずは花を買いに行きましょう」
 まるで『一緒に買いに行く』とでも言いたげな口調だった。
 だが待ってほしい。
「いや、だからちなみがカレー作ってる間に俺が花買ってくればいいだろ?」
 そう、これが一番効率が良い方法だ。
 しかし一番いいのを提示したはずが、妹君は何が気に食わないのか膨れっ面だ。大丈夫
かと思いきや、問題だったらしい。
「……私も材料が足りないので。……不本意ながら一緒に行きます」
「あれ、ルーは置いてあるし……米も野菜も切らしてないだろ? 豚肉と鶏肉も昨日買っ
たはずだし、好きなほう使えばいいんじゃね?」
「……牛肉が無いです」
「え? いや、別に豚でも「牛肉が足りません」…いや、だから「カレーはビーフです」
…待て、ちなみこの前はチキンカレーが一番好きだって言っ「今日はビーフカレーを作り
ます、いいですね?」…アイ、マム」
 なんとも言えない圧力に屈して、二人揃って買い物へと出かけるのであった。
「……兄さん、鈍いです」

91 名前:2/2[sage] 投稿日:2011/05/08(日) 17:58:15.47 ID:xprT+ax00 [3/3]
「ん、何か言ったか?」
「……なんでもありません」
「そか。……んじゃ商店街着いたら、俺が花屋行ってる間にちなみが肉買って、入り口に
集合ってことでいいか?」
「……ダメです」
「なんでやねん!」
 思わずツッコんだ。
「……バラバラに動いていたら一緒に行く意味がありません。……集合も手間です」
「あのな、普通に考えたらそのほうが効率いいだろ?」
「………………愚兄が間違った花を買わないように監視するんです」
「カーネーションくらい分かるっての! そもそも花屋で聞けばいい話だろ」
「……とにかく一緒に行くんです。……鈍い人ですね」
「? 何が鈍いんだ?」
「……そこが鈍いんです! ……いいから行きますよ」

 結局、機嫌がいいのか悪いのかよく分からない妹に腕を引かれ、商店街へと歩いていっ
たのだった。そういえば久しぶりに二人で買い物に行ったような……。
 そしてその後、カレーを作りながらひと悶着あったり無かったりは別の話。 
最終更新:2011年06月09日 21:27