925 :ごぶんのいち:2010/04/01(木) 21:10:31 ID:cTPqACE2
エイプリルフールネタ投下ー。


エイプリルフールである。
そう、今日は一年の中で嘘を吐いても許されるバカバカしい日。
バカバカしい日こそ、バカをやらなきゃバカじゃない。と、バカな俺はそう思うのだ。
と、言うわけで、朝から俺は悩んでいる。何をしようかなぁ、と。
ターゲットは、幼馴染の女の子、かなみ。俺はコイツに、毎年エイプリルフールをやっている。
「毎年言うだけは言ってみたんだかなぁ……」
嘘は吐くもの。言うだけは簡単なのだが……
「つまらん」
今年は、『言葉』ではなく、『行動』で攻めてみたい。もちろん、バカバカしく。
「よし、決めた……」
俺は支度をし、かなみの家に向かった。

926 :ごぶんのに:2010/04/01(木) 21:11:35 ID:cTPqACE2
今日はエイプリルフールか……。
私は、起きた途端ふと思った。
『やっぱりアイツ、仕掛けてくるんだろうなぁ……』
アイツ、というのは幼馴染、別府タカシ。ちなみに、私の想い人でもある。
『今年は、ちょっとアイツをビックリさせてあげたいわね………』
と、いきなり部屋のドアが開いた。
「はっはっはっはー!!」
ドアから勢い良く海パン一丁で浮き輪片手にタカシがローリングダイブしてきた。
『きゃあぁぁああっ!?』

927 :ごぶんのさん:2010/04/01(木) 21:12:51 ID:cTPqACE2
完璧だ……。
俺は内心でほくそ笑んでいた。
今年のテーマは、『夏』。つまり、「春なのに夏だと言い張ってかなみをイジろう」と言うわけだ。
『きゃあぁぁああっ!?』
ほら、かなみも驚いて――!?
俺は浮き輪を奪われ、無理矢理被せられる。腕と胴体の面積が浮き輪の穴にピッタリフィット。
……動けない。
『この、変態!!』
「ちょ、待っ、話せばふわきぁ」
かなみ の てっけん !
『なんの真似よっ!?』
「……何を言ってるんだかなみ。今は夏じゃないか!!」
待ってましたとばかりにかなみに嘘を吐く。
ただ、かなみの様子がちょっとおかしいんだが……。
「かなみ、顔真っ赤だけど」
テンプルにキツイ一発。
『う、うっさいっ!!』
何でだよ、と思うけどダメージでかいので喋れない。
『そ……そうねぇ……暑いわね、今日……』
白々しいかなみ。何をするのかと思いきや、
「いや、ちょっ!!ま、待てかなみ!!」
なんと、かなみは来ていたパジャマのボタンを外し、下着姿になったではないか!!
『ばっ、ばか。これは水着よ……』
……そんな真っ赤な顔で言われてもなぁ。

928 :ごぶんのよん:2010/04/01(木) 21:14:16 ID:cTPqACE2
顔が、熱い。
恥ずかしい。
……これじゃあ、完全に変態じゃない!!
私はこんな事をしたことを後悔した。
でも後には引けない。この日を通じて、アイツに気づかせてやるんだ。
『だっ、大体……アンタの事嫌いなんだから……しっ、下着姿なんて見せるワケ無いじゃない……』
嘘だ。
『それよりも……水着、どう?ま、まぁ!アンタなんかに誉められても嬉しくないけどね!!』
これも、嘘。
タカシはさっきから恥ずかしそうに目を反らしている。顔も真っ赤だ。
『……何、目反らしてんの!?イヤらしい!!変っ態……アンタなんか、ホッント最低ね……大っ嫌い!!』
嘘よ、嘘。本当は、もっと見て欲しい。そりゃあ、ちょっとエッチだけど、優しくてカッコ良いし……大好きだもん。

929 :ごぶんのご:2010/04/01(木) 21:16:02 ID:cTPqACE2
さっきから、かなみが畳み掛けるように俺を罵倒してくる。
嘘……なんだよな。でも、いっつも言われてるしなぁ……。 取り敢えず、壁にかけてあった時計を見る。
針は、12時を指していた。
「なぁ、かなみ。知ってるか?エイプリルフールは、正午までっていうルール」
『え?し、知ってるわよ、そんな事……』
「好きだぞ、かなみ」
告白したが、格好がイマイチ決まらなかった。
『……え、はぅ、その…………』
ややあって、かなみは小声で
『…………わ、私、も……』
と呟いた。
「だ、だから、な?俺を浮き輪から解放して欲しい。ホラ、今春先。4月とはいえ、結構さむ――」
『……寒いんなら、わ、私のそばに寄りなさいよ……』
……わぁ可愛い。ってそんな事じゃなくてマジでやば
『……ホラ』
素早く浮き輪を外され、抱きつかれた。
『……ずっと、こうしたかったんだからね?』
上目遣いでかなみは言うが、下着姿で抱きつかれると非常にアレである。
そのまま一時間位過ぎて、俺はかなみを騙した事を後悔したのであった。
ただ、それを上回る幸せ……かなみラブ。


今年は、大成功。
たぶん、かなみもそう思ってるだろう。
最終更新:2011年10月25日 20:01