942 :1/4:2010/04/03(土) 13:48:31 ID:tZNU5/wg
  • エイプリルフールにツンデレに可愛いって言ったら

「なあ、かなみ」
『あん? 何よ』
「……お前ってさ。よくよく考えると、かなり可愛いよな」
『にゃっ!!!!(////////////) な、何よ突然いきなりそんな…… アンタ、頭に蛆でも湧
いたんじゃないの?』
「いや。お前が俺の部屋でゴロゴロしてんのって小学校の時からずっとだったから、何か
当たり前のように思ってたけどさ。こう、よくよく考えてみると、こんな可愛い子が俺の
部屋でくつろぎながら漫画読んでるのって、何かすげーんじゃねーかなーって」
『バッ……バババババ、バカな事言ってんじゃないわよっ!! あたしはそんな、その……
わざわざ口に出して言うほど可愛くなんて無いっていうか、そもそもアンタにそんな事言
われてもちっとも嬉しくないっていうか、むしろキモイっていうか、とにかく迷惑なんだ
からそんな事言うな!!』
「ふーん。でも、顔真っ赤だし、何かめちゃくちゃ動揺してね?」
『そ、そ、そりゃその……女の子だもん。好きでも何でもない奴からでも、突然そんな風
に言われたら、動揺くらいはするわよ。だからって、それとその……喜んでるかどうかっ
てのは全然別なんだから!!』
「じゃあ、かなみは俺に可愛いって言われても、全然喜んで無いと」
『そんなの、あっ……当たり前じゃない。そんなの有り得ないから』
「その言葉に嘘偽りはないか?」
『無いわよ。ホントにホント。ぜーったいに喜んでなんてないもん!!』
「じゃあ、今のが嘘ですって言っても、傷ついたりはしないよな?」
『何であたしが傷付くのよ? そんな嘘付かれたからって……って……うそ?』
「ジャーン」
『……4月……1日……って……アンタ……』
「いや。物の見事に騙されてたよな。でもかなみは怒んないんだろ? ちっとも嬉しくな
かったんだし」
『この……バカーッ!!』
「な、何だよ。傷付かないって言ったじゃないかよ」

943 :2/4:2010/04/03(土) 13:48:52 ID:tZNU5/wg
『うるさいうるさいうるさい!! 可愛いかどうかなんて関係ない!! あたしはアンタ
が嘘付いたことを怒ってんのよ!!』
「だからさ。エイプリルフールだっての。そんな事くらいで頭に来るなんて、やっぱりめ
ちゃくちゃ本気にしてたんじゃねーか」
『違うってば!! ああ、もう!! あったま来るわね!! こうなったらあたしだって
やったるんだから』
「お前、最初から嘘だって分かってる人間に嘘付いてどうすんだよ」
『何でよ? 今からあたしが嘘付くってどうして分かるの? 嘘付くって騙してホントの
事を言うかも知れないじゃない』
「なるほど? 俺に真偽を見極めろってか。いいぞ、言ってみろよ」
『うーっ……ゴホン。ちょっと待って。今考えるから……』
「いいぜ。ゆっくり考えろよ。別に俺は急ぎはしないから」
『スー……ハーッ……スー……ハーッ……』
「(……なんか、考えてるって言うより、気持ちを落ち着けてるって感じだな)」
『(うう……まだドキドキする……けど、もうこれ以上収まりそうもないし…… これは嘘。
これは嘘。嘘なんだから……よしっ)』
『タ、タカシ。その……いいわよ……』
「おう。じゃあ、何でも言えよ」
『…………』
「ん? どうした?」
『……ゴメン。さっきあたし……嘘付いた……』
「いや、別にエイプリルフールだから嘘は付いたっていいんだけど、何が嘘だったんだ?」
『そ……それはね……だから、その……タ、タカシにかっ……可愛いっていっ……言われ
たじゃない。そんなの全然嬉しくないって言ったけどさ。だから、その…………』
「本当は、嬉しかったって?」
『…………』コクン
「まあ、お前が素直じゃないのは、別に今日に限った事じゃ無いけどさ」
『う、うっさいわね…… しょうがないじゃないのよ…… いきなりそんな事言われたか
ら……テンパっちゃったんだもん…… だ、だってさ。アンタだったらどうなのよ? きっ……
きっ……気に……なっちゃってる人からさ。きゅ、急にその……そんな事言われたら……』

944 :3/4:2010/04/03(土) 13:49:15 ID:tZNU5/wg
「俺が?」
『そうよっ!! だってその……タカシ……って、かっ……カッコ良い……し……(//////////)
っていうかさ。何か最近大人っぽくなって……何か、傍にいるだけでドキドキちゃって……
そんな人から、カッコ良いとか言われたら、動揺するでしょ?』
「まあ、そうかも。でも俺はかなみ程はテンパらないけどな」
『やかましいわね。一言多いっつーの…… だからさ、その……ああ、もうっ!! と、
とにかくその……それなのにエイプリルフールだなんて……ホントは、すっごく傷付いた
んだからね』
「……そっか。もし本当にそうなら、ゴメンな」
『ゴメンじゃ許されないわよっ!! そのっ……だっ……だっ……だいっ……大好きなひっ……
人に、初めてそんな事言われたのにっ……!!』
「かなみ……」
『フゥ…………』
「?」
『はい、ここまで。今のあたしの言葉はエイプリルフールの嘘でしょうか? 当ててごら
んなさいよ』
「……あのさ。俺……信じてもいいか?」
『ほえ?』
「今の言葉。お前の気持ちがどうでも……俺は本当だって思いたかったんだけど」
『なっ……!! ダダダダダ、ダメよ!! ダメダメ!! そんなのインチキ!! 反
則!! それじゃあゲームになんないじゃない!! ちゃんと当てなさい!!』
「じゃあ、ホントで」
『ハァ……ハァ……ハァッ……!! ブッブー!! ざ、残念でしたーっ!! な、何本
気にしちゃってんのよ。バーッカじゃないの?』
「……お前さ。上手に嘘付いた気でいるだろ?」
『へ? な、何よ。負け惜しみでも言うつもり?』
「だって、ホントの事を言っても、実は嘘でしたって、後からいくらでも言えるからな」
『じゃあ、何? 残念でしたってのが嘘だって言う訳? どうしてそんな事が言えるの
よ? あたしが本気でアンタの事を好きだって思ってるわけ? どんだけ自惚れてんのよ』

945 :4/4:2010/04/03(土) 13:49:52 ID:tZNU5/wg
「だって、去年の文化祭の演劇。あんだけ大根だったお前が、急にあんな迫真の演技が出
来る訳ねーだろ。言葉も噛みまくりで顔は蒸気が吹き出るくらい真っ赤でさ。もう何てい
うか、必死に言葉を紡ぎ出してる感じで。もしあれが演技なら、即女優としてスカウトされるぜ」
『うるさいわね!! 大根とか言うな!! てか、とにかくアレは嘘なの。嘘。アンタは
騙されたんだからね!! バーカバーカ!!』
「まあ、俺は騙されても一向に構わないけどな」
『へっ……? な、何でよ。本気にしちゃったんでしょ? その……残念じゃ……ないの?』
「何その心配そうな顔? もしかして、気にして欲しいの?」
『ちっ……違うわよっ!! いい加減負け惜しみは止めて、素直に悔しがりなさいよね』
「悔しくなんか無いって。だって、嘘でもかなみにカッコ良いとか大好きとか言われたん
だぜ? こんなのエイプリルフールでしか聞けないだろ? すっごく嬉しいって」
『バカじゃないの? 嘘なのよ? 嘘。分かってる?』
「ああ。分かってるって。それでも嬉しいからさ」
『……そ、そんなに嬉しいんだったらさ。その……もう一度だけ、言ってあげよっか?』
「へ? マジで?」
『一応言っとくけど、嘘だかんね? 信じちゃダメよ? 分かった?』
「ああ。分かってるって」
『じゃあ、その……言うわよ。えっと……その……タッ……タカシって……すっごく、そ
の……カッ……カッコ良いよ…… だっ……大好き……』
「ありがとう。これはマジで言うけど、嘘告白してる時のかなみ、すっげー可愛かった。
信じていいぜ」
『ふぇっ!!!!(/////////////) ううう、うるさいうるさいうるさい!! どーせ嘘なんで
しょ。フンだ。バカバカバカ!!』
「嘘じゃないって。証拠に、ほれ」
 ギュッ……
『やっ……な、何いきなりその……抱き締めてんのよ……ふぁぁ……』
「かなみ可愛いよかなみ」
『もう……しつっこい…… アンタなんかぁ……だっ……大好きなんだからぁ……』

終わり
嘘と称してデレるツンデレは超可愛いです。
あと、8重規制とかマジ信じらんねえ
最終更新:2011年10月25日 20:02