20 :そのいち:2010/04/25(日) 01:50:26 ID:cTPqACE2
スレ無いっぽいので、こっちに投下。


とある休日の話。
明日は休日だ夜更かしだ、と思い明け方まで起きていたのが間違いだった。
『おい、起きろ。朝だ、タカシー』
なぜか幼馴染の尊が家に来ていた。
「……寝かせろ。俺はまだ1時間しか」
『まだ7時ではないか。またゲームしてたのか、怠け者め』
尊は事有る毎に俺をなじる。昔からなのだが、最近からだんだんエスカレートしてきている。
『ほら、起きろ!!タカシ!!』
布団に潜る俺に蹴りを浴びせる尊。
「あ……もぅ!!痛ぇしうるせぇし、大体何しに来た!!」
起き上がり、尊の頭を両手でホールド。
『な、何でもいいだろ!!大体独り暮らしになってそんな生活――』
「お前は俺の親かっつーの!!何にも無いのに朝早くから来られて、迷惑なんだよ!!」
怒りにまかせて尊の一つに束ねた髪を思いっきり乱す。
『ちょ……、タカシ、何を……あっ!!』

プチン、コトリ。

何かが千切れた音。と、何か硬いものが床に落ちた音。
見ると、尊の髪を束ねていたゴムが落ちていた。
どうやらこれが切れたらしい。
しかし、このゴム。普段大人っぽい尊がつけるには、妙だ。
ピンクの大きめのビーダマの様な飾りがついていて、まるで玩具だ。それに、
「何処かで見たような……」

21 :そのに:2010/04/25(日) 01:52:29 ID:cTPqACE2
『うぅ……バカァ……グスッ……』
力なく座り込む尊。
「お……おい、どうした?尊ー?」
尊の泣き顔を見て、一気に目が覚める。
俺は、ひょっとしてとんでもない事をしてしまったのでは?
「み、尊?そんなに大事な物だったのか?御免!!弁償するから泣くのを――」
『……忘れたのか?』
頭を下げる俺をじっと見つめる尊。悲しそうな瞳が、じわりと潤む。
……なんだっけか。あれは、そう…………。


『タカくん、なにそれ?』
「ああ、みこ。かみをむすぶゴム。おかしのおまけなんだけど……。女の子がつかうやつだし、いらないよ」
『わたしにかして!!』
「ていうか、あげるよ。おれつかわないし」
『ありがとう!!……よいしょ、よいしょ…………えへへ。ポニーテール。可愛い?』
「……っ。う、うん……か、可愛い……」
『ホント!?え、えへへ……。これ、いっしょーだいじにするね!!』

22 :そのさん:2010/04/25(日) 01:57:21 ID:cTPqACE2
「まさか」
『うぅ……思い出したか、バカ者』
泣き止んだが、やっぱり尊は落ち込み気味である。
『好きな人から初めて貰った物……大切にするに決まってるだろぉ……?』
「え!?尊、今……」
尊が、俺の事を?す、好きって……。

『みこ……みこ、って呼んで欲しい……昔みたいに……私、タカくん、好き、だから……』

――えへへ、これ、いっしょーだいじにするね!!

微笑む尊の顔が、あの時の笑顔と重なって見えた。
そうか、あの時から、尊は……。そして、俺も――

「……うん、俺も好きだよ。みこ」
『あ、あぅぅ……』
尊は真っ赤になって、顔を手で覆う。それが可愛らしくて、俺は後ろから尊を抱きしめるように、座った。
普段は気丈に振る舞っていても、やっぱり尊は、あの頃のままだった。


「――で、結局何の用でココに?」
『……武術の稽古。タカくんで実践しようと思って……』

訂正。少し変わったみたいです……。


<終>
最終更新:2011年10月25日 20:58