100 :1/7:2010/05/08(土) 19:11:44 ID:???
『(保存して……よしっと!!)ハァ~ッ……疲れたぁ。やっと終わった』
[お? かなみも終わり?]
『うん。友子も?』
[そ。あのさ。今日は予定ないでしょ? だったらちょっとご飯食べに行かない? 近く
に出来たイタ飯屋さん、ちょっと気になっててさ]
『さも当然のように予定ないって聞かないでよね。っつっても、まあその……予定無いか
ら、別にいいけど』
[よし、決まりね。あ、別府先輩も一緒にどうですか? ご飯]
「え? 俺?」
『ちょっと友子!! 何で別府先輩も誘ってんのよ!!』
[えー? だって人数多い方が楽しいじゃん]
『それはそうだけど、別府先輩は別。全然楽しくないし』
[またまたまた。ごまかそうたって無理無理。かなみってば、別府さんいる時といない時
じゃ全然テンション違うし。ツッコミとかめちゃ早いじゃん]
『それは先輩がくだらない事ばっか言ったり、適当な事吹聴したりするから。先輩呼ぶな
らあたし行かないし』
[いつもそう言うけど、結局来なかったためしなし]
『いや。それは結局回りに流されて……』
[ていうか、毎度同じパターンなんだから諦めれ。で、どうです別府さん]
「悪い。俺は今日パス」
『えっ……?』
[マジですか? こんな可愛い後輩の女の子二人が誘ってるのに?]
『あたしは誘ってない!!』
[はいはい。それは分かった分かった。で、何でですか? まさか残業とか言わないです
よね? そんなの明日に回しとけばいいじゃないですか]
『週末なんだから明日は休みじゃん。休日出勤しろとか先輩に対する言葉じゃないし』
[ほらそこ。やかましい。てかアンタだってホントは来て貰いたいんでしょ? だったら
しな作ってでもお願いしろ]
101 :2/7:2010/05/08(土) 19:12:05 ID:???
『だからあたしは来て欲しくないつってんでしょーが』
「いやー。悪い。実はさ。明日も既に出勤確定で」
『ええええっ!!』
[……何でアンタがそんな大げさに驚いてんのよ?]
『……コホン。べ、別に。いっつも無気力でやる気のない別府先輩が、まさか休日にまで
出て仕事するなんて意外だったから。ていうか、先輩そこまで仕事ありましたっけ?』
「GW明けでただでさえ仕事多いのに、客先からの対応に追われて全然出来なくてさ。今
日も最低限の事だけやって帰るつもりだけど、それでもちょっと一緒に食事する時間まで
には終わりそうも無いからさ」
[えーっ。そうなんですか。つまんないなー]
『(……うそ……別府先輩明日出社なんて…… GWは全然一緒にいられなかったから、明
日はどっか遊びに連れてって下さいってメールでお願いしようと思ってたのに……)』
[おーい]
『え……? な、何よ友子』
[何を自分の世界に入り込んどるのかね君は。別府先輩が明日仕事で何かショックな事で
もあるの? 実はデートの約束でも取り付けてあったとか?]
『だから何でそこまで話が進むのよ!! てか、全然ショックでも何でもないし。ていう
か、別府先輩の事だし、どーせ休み明けで気力が出ないからとかダラダラ仕事してたら積
み重なっちゃっただけなんじゃないんですか?』
「いい線付いてるけど、実際ダラダラしたくてもそんな暇すらなかったけどな……」
『それは先輩の感覚から言ったらそうかも知れませんけど、他の人よりは絶対ダラダラし
てたと思いますよ。ていうか、煙草吸いに何回喫煙室行ってるんですか。そういうのが無
駄な時間だし、大体休日に出勤なんて先輩一人の為にどれだけ電気代掛かると思ってるん
ですか。先輩がだらしないせいで――』
[はいはい。お説教はもういいわよ。かなみのせいでまた先輩の残業時間が延びちゃった
ら、それこそ可哀想でしょ]
『別に先輩なんて可哀想でも何でもないわよ。どーせだったらこのまま帰らずにずっと仕
事してたらどうですか? フン』
「いや、それはさすがに……つか、風呂も入りたいし寝たいし……」
102 :3/7:2010/05/08(土) 19:12:25 ID:???
『まあ、確かにそれは大切ですね。ただでさえ汚い先輩が風呂に入らなかったら、会社全
体を汚染させて、月曜から来れなくなっちゃいますし』
[ほら。かなみ。いーから行くわよ。じゃ、先輩。あたしたち、先輩の分までお酒飲みな
がら、心の中でエールを送ってますから]
『うー…… まだ言い足りない事いっぱいあるのに……』
[それはまた来週にしなさい。それじゃ、先輩。お先しつれーしまーすっ]
「おっつかれー」
『(もう、信じられない。先輩のバカバカバカ……)』
~次の日~
『あー……退屈だなぁ。先輩のせいで予定何にも無くなっちゃったし……掃除とかする気
にもなれないしなぁ……』
ゴロゴロ……
『……先輩……今頃何してんのかな? もうお昼も過ぎたし……ご飯食べたかな……』
『……そだ。メールしてみよ……』
「ふわぁ…… もう1時か……休憩終了。仕事すっか……」
ブーンッ!!ブーンッ!!
「わ、びっくりした。そういや、マナーモードにしたままだっけ。何だろ……メール?」
ピッ……
「ありゃ。かな……椎水さんからか。何だろ?」
ピッ……
【先輩。今、何してます?】
「……何してるって……決まってんだろんなもん……」
ピッピッ……
103 :4/7:2010/05/08(土) 19:12:45 ID:???
~♪
『あ、メール。先輩からかな?』
ピッ……
『来た来た。どれどれ……』
ピッ……
《仕事》
『みじかっ!! てかそんなの分かってるわよ。全く、適当に返そうとして、ホントにズ
ボラなんだからあの人はっ!!』
ピピピピッ……
ブーン……ブーン……
「早いなー、返信。てか、待ち構えてんのかアイツは」
ピッ……
「どれ……」
【そんな事は分かってます!! 聞いてるのは仕事の内容ですからっ!!】
「(……そんなの、どうでもいいと思うんだけど…… でも、まあ返事しないと怒るしな……)」
ピッ……ピッ……
~以下、メールの文章だけでお楽しみ下さい~
《仕事の内容っつっても……見積もり作ったりとか、受注入力したりとかだけど。つか、
そんなの聞いて楽しいか?》
【別に楽しくなんて無いですけど。ていうか、ホントにやってます? お昼ごはんの後の
一服とかいって、煙草吸いながらスポーツ新聞読んだりとかしてるんじゃないですか?】
《大丈夫。真面目にやってるから心配すんなって》
【別に先輩の心配とかしてませんから。まあ、真面目にやってるならそれに越した事あり
ませんけど】
《どっちみち、真面目にやらなきゃ早く帰れないからな。頑張るよ》
【無駄に頑張って空回りしないでくださいね。そういえばお昼、何食べました?】
104 :5/7:2010/05/08(土) 19:13:06 ID:???
《近所のチェーン店でカツ丼と小うどん》
【カロリーたかそっ!! そんなのばっか食べてるとメタボ腹になりますよ?】
《一応、体力付けとかないと行けないかなって。かなみは?》
【私はまだ食べてませーん。てか、先輩のを参考にしようと思ったんですけど、そんなの
じゃ太っちゃう……】
《夜を軽めにすれば大丈夫だろ。サラダとかさ》
【それが出来ないから苦労するんです。っていうか、自分だって出来ないくせに、人にだ
け偉そうなこと言わないで下さい】
《いやー。一応先輩だし。一応、手本になる事言っとこうかなってw》
【そんな事、先輩に言われる筋合いは無いです。それに、先輩の言葉って上っ面だけだか
ら心に響かないんですよね】
~ここでタイムラグ20分~
【どうして返事がないんですかっ!! それとも、後輩にちょっと嫌な事書かれたからっ
て無視とか決め込んでるんじゃないですよね? もしそうだったら情けないですよ】
《いや。ちょっと客から電話が入って…… 向こうも休日出勤で、お互いに愚痴ってたら、
結構長電話になっちゃってさ。心配した?》
【何馬鹿なこと書いてんです。先輩の返信がないくらいで心配とかしません】
《でも、さっきのメールさ。かなり焦ってるように見えたけど》
【こっちは待ってるになかなか返信しないから怒っただけです。ていうか、電話なら電話
でそれだけでもメールくれればいいじゃないですか。片手は空いてるんでしょ?】
《いや。片手で仕事しながらだしそれは無理》
【また忙しいフリしてる言い訳ですか。先輩がそこまで仕事熱心なわけないです。それは
私がよっく知ってますから】
《いや。ホントだって。でもゴメン。それだけ俺からのメール待っててくれたって事だもんね》
【何バカな事言ってるんですか!! 別に先輩のメールなんて楽しみに待ってたりとかし
ませんから。ベーだ】
《ふうん。じゃあ、何で怒ったりしたの?》
105 :6/7:2010/05/08(土) 19:13:44 ID:???
【メールが着たらすぐに返すのが礼儀じゃないですか。相変わらず先輩ってダメな人だな
って。それだけです】
《分かった分かった。俺が悪かったよ。これでいいだろ?》
【ダメです。ちゃんと埋め合わせして貰わないと許しません。大体、先輩のせいでお昼も
結局食べ損ねちゃったじゃないですか】
《今からでも食べれば? まだ3時じゃん》
【今から食べると、夕ご飯に入らなくなるじゃないですか。ダメです】
《いや。だから夜は軽めにするとかじゃダメなの?》
【ダメです。それより、先輩。仕事、ちゃんとはかどってますか?】
《一応。あと一時間くらいで終わる予定》
【その後は? まさか、お客さんと約束とか入れてないですよね?】
《いや。何もないけど何で? ご飯でも一緒に食べに行きたいとか?》
【さっきの埋め合わせに何かご馳走して貰えればって思って。先輩のせいでお昼ご飯も食
べ損ねたし】
《分かった。じゃあ、どこで待ち合わせする? 新橋辺りがいい?》
【先輩にお任せしますけど、ちゃんと女の子が喜ぶようなお店にして下さいね? 汚いけ
ど美味しいとか無しですよ?】
《了解!! じゃあ、仕事終わったら、場所決めてまたメールするよ。急いで終わらせるからさ》
【ちゃんと真面目にやって下さいね。それじゃあ】
ピピッ……
『うーん。暇だ暇だって思ってたけど、先輩とメールのやり取りしてたら、意外と退屈し
ないで済んじゃったな。それに、一緒にご飯食べに行く約束出来ちゃったし……その後は
雰囲気のいいバーでお酒飲んで…… さ、お化粧しなくちゃ♪』
106 :7/7:2010/05/08(土) 19:14:19 ID:???
「ふぅ……」
〔お疲れ。羨ましいな。彼女からたっぷりメール着てさ〕
「からかうなよ。全く……お陰で昼はちょっとやれば終わる予定だったのに」
〔椎水さんって世話女房タイプだよな。お前、結婚しても絶対に尻に敷かれるぞ〕
「うるせー。てか、俺と椎水さんが付き合ってる事言うなよ。お前が知ってるってだけで
もバレたら縁切られそうだ」
〔そこまでは大丈夫だろ。あの子、かなり一途っぽいって話しだし。でもまあ、敢えて波
風立てることもしないけどさ〕
「そうしてくれよ」
〔にしても最初聞いた時は驚いたけどな。お前と同期なのに、全然気付かなかった。二人
で飲んだ時にぶっちゃけ話しなかったら、絶対気付かなかったぜ。いや。冗談でよくカッ
プリングはされてたけど、まさか本当だとはね〕
「ま、俺も最初は絶対嫌われてると思ってたから。それは俺もかな」
〔で、この後は? 約束でもしたのか?〕
「ああ。悪いな。付き合えなくて」
〔気にすんなよ。でも、羨ましいなー。俺にも早く春が来て欲しいけどな〕
「来るだろ。ちょっと視点を変えればさ」
〔は? 何それ? どういう意味だよ〕
「秘密。後は自分で考えるんだな」
〔ちぇっ。ケチな奴だな。また飲ませて吐かせてやるからな〕
終わり
最後ちょっと蛇足気味だったかもー
最終更新:2011年10月25日 21:00