233 :1/2:2010/06/16(水) 23:58:08 ID:???
本スレ553 >>110のお題

渡辺先生のものっそいつまらない授業をうつらうつらとしていたら、急にグラッと揺れを感じた。
俺は天才(自称)だが、天災にはめっぽう弱い。しかし、難から逃れるすべは習得済みだ。
そう、地震があったときの初動は机の下に避難だ。
「ふははは、これで完璧だ」
『ちょ、ちょっと!どこに頭を突っ込んでるんですか!?(/////』
おかしい、俺の机が喋った。机の割りには柔らかいし、良い匂いがする。それになにやら
もぞもぞ動く。そのうえ、真っ暗。
もしや、今の揺れで学校が倒壊し、閉じ込められたのか?
「くっ、これは予想以上の震災・・・日本は大丈夫か?」
『大丈夫かと言いたいのは別府君の頭の中です!さっさと離れてください!!!!』
柔らかいっぽい硬いっぽいものに押し出されると、ぱっと視界が明るくなった。
その視界一杯にひろがる委員長。何やらスカートを押さえ、顔を真っ赤にしている。
「そうか、今の地震で水が止まったのか。大丈夫、その辺の瓦礫の脇ですませてこいよ」
『何を言ってるんですかっ!?』
ぎゅ~~~と頬っぺたを抓り上げられる。ものっそい痛い。
「委員長、夢じゃない!これは現実だ!痛い痛い痛い」
『いい加減目を覚まして下さい!』
改めて周囲を見ると、半分泣きそうな顔でこっちを見詰める渡辺先生。あとは・・・名前もない感じの
クラスメイツが半笑いでこっちを見ている。教室はどこも壊れていないし、何かが倒れたり落ちたりも
まったくない。
「何だ、大したこと無かったのか」
『何が大したことない、ですか!あんなセクハラしておいて最低です』
大半のクラスメイツと違い、委員長だけ俺を真っ赤な顔で睨みつけ、身に覚えのない事を
あーでもない、こーでもないと騒ぎ立てている。
「あー・・・委員長。最初から説明して欲しいんだが」
『別府君が地震だと騒ぎながら、私のスカートに頭を突っ込んだです!』
「なるほど、今の一言で全てを理解した。俺は寝ぼけて机と委員長を間違えた・・・ふふ、天才だ」
『何が天才ですかっ!?この変態!痴漢!乙女の敵!!!』

234 :2/2:2010/06/16(水) 23:59:25 ID:???
「大丈夫、真っ暗で何も見えてないから」
『ぜんっぜん、大丈夫じゃありません!!!』
「あ、でもいい匂いがしたぞ」
『ふぇ・・・ななななな、何匂いなんてかいでるんですか!!!この変態!!!!(/////』
ふたたびほっぺたをぎゅ~~~と抓り上げられる。褒めたのに何たる仕打ち。
まったく解せない。
「どういう事でしょう?」
『そんな事知りません!』
はぁ~~~と大きくため息をつき、なんだか悲しそうな顔をする委員長。まぁ、いきなり男子に
スカートの中に頭突っ込まれて喜ぶ奴は居ないよな。
謝ろうと思い、俯いている委員長に声をかけようとすると、呟く声が聞こえた。
『こんな事されてもまだ好きだなんて・・・』
そして、ふと目が合った。
「あ、あの・・・」
『い・・・今の・・・聞いて・・・?』
「その・・・アレだ。俺って天才だから、そこに惹かれたって事じゃね?」
『ちっ違います!別府君のことなんてこれっぽっちも好きじゃないですよ?勘違いしないで下さいね?』
「天才の俺には分かる。委員長は、俺にベタ惚れだろ」
『な・・・ち、違います!違うったら違うんですから!(////』
クラスメイツの一部が半笑いから憎しみの表情に変わった。主に男子。そして女子は逆にニヤニヤし始めた。
そして渡辺先生は教室のすみっこでいじけていた。
「天才的にこの状況を解釈すると、、今日も平和だって事だな」
『どこがですか!!!』
真っ赤な顔で叫ぶ委員長の声と共に、授業終了のチャイムが鳴ったのだった。
最終更新:2011年10月25日 21:03