460 :1/6:2010/09/12(日) 11:53:24 ID:???
(自炊)男に負け続けているツンデレ

「ほい、美琴。これ」
『何だ、タカシ? 今、読書中なんだ。邪魔をするな……っ!? こっ、こんな所で渡すな。バカ!!』
「だって、たかがこれ返すだけで人気のない所に呼び出すってのも大げさだろ。それと
も、放課後に二人っきりで、とかの方が良かったか?」
『くっ…… もういい。さっさと寄越せ。ホントにお前はデリカシーのない奴だな。全く……』
[ちょっとちょっと。何なのよ。その怪しい感じは。おねーさんに内緒で何やってんのかな~?]
『ほら。お前のせいでまた、うるさい奴に感付かれたじゃないか』
「別に、コソコソ隠す事でもないと思うんだけどな」
『お前がどう思うと知った事か。私が迷惑なんだ』
[まあまあ。お友達をそう邪険に扱わなくたっていいじゃない。ホント、美琴ってば冷
たいんだから]
『お前のその、人のプライバシーに首を突っ込みたがる性格も何とかしろ。人には静か
にして欲しい事もあるんだ。でないと、本当に友達を失くすぞ』
[あら? 心配してくれるんだ。ありがとう。美琴ってば、優しいなあ]
『別にお前のためを思って言ってるわけじゃない。あくまで一般論として言ったまでだ』
[でも、ご忠告は感謝するわ。で、別府君。美琴に何を渡したの?]
「ああ。弁当箱。昨日、美琴に昼の弁当を作って貰ったからさ」
『こらっ!! ちょっとは人の話を聞け。このバカ!! それとタカシ!! あっさり
と私が弁当を作った事をバラすな!! 誰にも話すなと言っただろうが』
「いや。友子に変に隠すとさ。あることない事噂話として広められるからさ。それだっ
たら、最初から正直に話した方が余計な誤解招かないし」
『そ、それはそうだが……じゃなくて!! 正直に話しても、誤解されることには変わ
りないはないだろう!!』
[まあまあ、美琴。そう興奮しないの。教室中に聞こえるわよ]
『うっ…… と、とにかくだな。もうお前は席に戻れ。質問にはもう答えただろう?』
[そうは行かないわよ。ふっふ~ん、美琴ぉ]
『フン。何だ?』

461 :2/6:2010/09/12(日) 11:53:46 ID:???
[また、突っ張っちゃって。そう照れなさんな。彼氏の為に、愛妻弁当をこっそりと作っ
てたのがバレたくらいで]
[ほら、みろ。何が愛妻弁当だ。私は、こんな奴と付き合った覚えはないし、ましてや
妻でもないのに愛妻弁当など作るいわれなどない]
[えー? だって、別府君の為に、お弁当作ってあげたんでしょ? 普通はさ。そうい
う事するのって、彼氏彼女の関係だから、じゃないの? でなきゃ、美琴が一方的に別
府君を好いているか]
『そんな事有り得るか!! 私がタカシの事を好きなどと……考えただけでも背筋が寒くなる』
[心臓の辺りがキュンって、こう……こそばゆくなるような感じじゃなくて?]
『違う!! いい加減タカシも否定しろ。ニヤニヤ笑って見ているだけじゃなくて!!』
「いやあ。友子にからかわれて真っ赤になってる美琴は可愛いなあって」
『かっ…… 可愛いとか言うなっ!! お前に言われてもちっとも嬉しくないぞ!!』
「いや。別にお世辞とか喜ばせようと思って言ってるわけじゃないから。美琴が嬉しい
嬉しくないは関係ないし」
『ううう~~~っ!!(////////)』
[お? すっごい真っ赤になった。リンゴみたい]
『うるさいな、もう!! とにかく、これは単なる賭けの罰ゲームで、仕方なく一食分
だけ弁当を作っただけだ。もう二度とこんな事はしないぞ』
[罰ゲーム?]
「そう。俺と美琴がテストの度に、点数競ってるの、友子知らなかったっけ?」
[それは知ってたけどさ。でも、今日まだ2学期の初日じゃん。一体いつ勝負したのよ?]
『これは、その……1学期の期末試験の分だ。このバカが…… 現代文と世界史で高得
点を叩き出すものだから……』
「期末試験後って、もう授業ないからさ。学校も半分で終わるじゃん。だから、やっと
その精算って事で」
[なるほど。で、どうだったの?]
『どうだったって……何がだ?』
[別府君に手作り弁当を作ってあげた感想よ。やっぱり、男の子の為にお弁当作るって、
いつもと気分が違うでしょ? ましてや別府君なら……ねぇ?]

462 :3/6:2010/09/12(日) 11:54:08 ID:???
『フン。別に何てことはない。私はいつも自分の為に弁当を作っているからな。一人分
増えただけの話だ』
[またまたまた。別府君はどうだったの?]
「そりゃ、念願の美琴の手作り弁当だからな。美味かったさ。唐揚げにシュウマイにポ
テサラに金平に卵焼きに……」
[わぉ? かなり気合入ってるじゃない。全く気のない素振りして……このこのっ♪]
『やめろ。つつくなこのバカ。私の食べたいものと、コイツのリクエストを足したらそ
うなってしまっただけだ』
「あ、そうそう。ごはんに海苔で絵が描いてあったっけ」
[え? どんなのどんなの?]
「何か、怒った顔が描いてあって、セリフでバーカ!!って」
[アハハ。美琴らしい]
『笑うな。せめてこれくらいしないと、気が晴れなかっただけだ。全く、こんな奴の為
に何で私が弁当を作るハメになるんだ。もう二度と作らないからな』
「でも、賭けに負けた時はまた作って貰うかもしれないぞ。俺は美琴の弁当なら毎日だっ
て食いたいからな」
『バカを言うな。もうお前の思い通りにはさせん。次こそは私が勝つからな』
[次こそはって……まだやるつもりなの?]
『当たり前だろう。このままタカシに負けたまま終わるわけには行かないんだ。次のテ
ストでは、絶対に私が勝ってコイツに屈辱的な罰ゲームをさせてやるんだからな』
「ま、無理だって。今度も俺が勝つよ。美琴の方が頭はいいけど、本番に弱いっていう
致命的な弱点があるからな」
『う、うるさい!! 今までにも私が勝ったことはあるじゃないか。勝負はやってみな
いと分からないぞ』
[ね、ね。ところでさ。今までの美琴と別府君の対戦成績ってどうなの?]
『こ、細かい事は聞くな。お前には関係ないことだ』
[じゃ、別府君。教えてくれる?]
「ああ。定期テストは俺の2戦全勝。これは全教科の平均点勝負な。あと、教科ごとの
小テストは7勝2敗ってとこだな」

463 :4/6:2010/09/12(日) 11:54:32 ID:???
『あっさり答えるな、このバカ!! 私の許可も取らずに勝手な事をするな。これじゃ
あ、私が隠した意味がないじゃないか』
「いや。美琴は答えづらいだろうなと。俺に連敗中とか、認めたくないだろうからさ」
『当たり前だ。というか、連敗中とか言うな!!』
[へーえ。意外。別府君って、そんなに頭良かったんだ。いや。それとも美琴が頭悪い……
とか? 高校に来て落ちこぼれた?]
『バカを言うな!! 私は悪い点など取っていない。ただ、コイツの要領がやたらいいだけだ』
「定期試験は得意科目に集中してるし、小テストは教師のクセ読めば、大体いつ出すか
分かるぜ。ちなみに、多分次の英語は小テストだな。夏休み中にどれだけみんなが勉強
したか、試してみるとか言って」
『な……? そ、そうなのか?』
「いや。勘だけどな。でも、今までも大体当たってたし、まず間違いないだろ。あの先
生は不意打ち大好きだし」
[へー。すごい。確かに言われてみるとその通りだわ。ん? どうしたの、美琴。頭を抱えて]
『い、いや。何でもない……』
「もし小テストなら、もちろん勝負だよな? 美琴」
『あ、当たり前だ。英語は私の得意科目だしな。準備不足とはいえ、お前に負けたりはしないぞ』
「よし。じゃあ、罰ゲームの内容な。美琴が負けたら、明日の昼休みに屋上で膝枕して
くれ。耳掻きのオプション付きで」
『なっ……!!(/////////////) だだっ……ダメだダメだそんなの…… もうちょっと簡
単なものにしろ。小テストなんだから……』
「じゃあ、美琴は何を望む? その中身で俺も考え直すわ」
『そうだな。それじゃあ、その……週末、映画はどうだ? お前の奢りで“初恋物語~
ツンとブーンの最後の夏~”を見に行くと言うのは。お前は、こういうベタなラブロマ
ンスは苦手だろう? お前の悶え苦しむ姿を見て楽しんでやる』
「うげ。それはちょっと鳥肌もんだな」
『そうだろう。覚悟しておけ。しかも、チケットもお前に買いにやらせるからな。全く、
似合わない事この上ないな。フフッ』
「ま、いいけど。それならやっぱ膝枕耳掻きで」

464 :5/6:2010/09/12(日) 11:55:26 ID:???
『だっ……だからそれはダメだと…… もうちょっと軽いのはないか? た、例えば……
そうだな。肩揉み程度とかなら……』
「自信、ないんだろ?」
『な……っ!! バカなことを言うな。私がお前なんかに負けるわけ無いだろう。例え
これまで、偶然が重なったとしても、次回以降は一回もお前に勝ちを譲る気はないからな』
「じゃあ平気じゃん。どっちにしても、美琴が勝つんだからさ。条件を緩くする必要な
んてないだろ?」
『グッ…… 分かった。勝てばいいんだろう。勝てば。こうなったら、意地でもお前の
3連勝は阻止してみせるからな』
「よっしゃ。その意気だろ」
[ね、ね。ちょっと聞くけどさ。今までの罰ゲームってどんなのがあったの?]
「えっと……だな。期末が弁当だろ? 中間は俺とお前が名前で呼び合おうって言うの
で、あとは美琴をケーキ食べ放題に連れて行ったのと、美琴のトレーニングに丸一日付
き合わされたのと、手作り菓子を作って貰ったのと……」
[よーするにあれね。二人とも、罰ゲームにかこつけて、ラブラブな恋人生活満喫して
るだけじゃない……]
『全く、コイツのせいで、屈辱的な目に遭わされてばかりだ。次からはもう、お前の思
い通りにはさせないからな』
「臨む所だぜ。2学期も、俺が返り討ちにして美琴を圧倒してやるからな」
 キーンコーンカーンコーン……
〔はーい、みんな席に着いて。それじゃあ授業を始めます。と、その前にぃ~♪ みん
な、夏休みの間どれだけ真面目に勉強してきたか、まずはそれを確かめたいと思います。
今から、簡単なテストをするから、みんな教科書ノートは机に仕舞ってください〕
「(来たぞ、美琴)」
 チラッ……
『(……来たな。タカシ)』
 チラッ……
〔はい。じゃあ行き渡りましたね。時間は15分。それじゃあ、始めて〕
「『(勝負!!)』」
[(……全く、二人とも仲の良い事で)]

465 :6/6:2010/09/12(日) 11:55:53 ID:???
[で……結局また負けちゃった訳だ]
『う、うるさいっ!! 見るなこのバカ!!』
[うわ。別府君すっごい幸せそうな顔してる。全くこの幸せ者が]
『私は全然幸せじゃない!! というか、もういいからあっちに行け!!』
[はいはーい。じゃあ、二人とも仲良くお幸せにね~っ♪]
『フン。全く、私が何でこんな事……』
「美琴の膝……マジでチョー気持ち良いぜ……ムニャ……スー……スー……」
『でも……まあいいか……クスッ……』


 この後美琴が、友子の入れ知恵で、互角の環境で勉強した方が公平だからと、タカシ
に一緒に勉強するよう持ちかけ、色仕掛けで集中力を失くす作戦に出たとか何とか、そ
んな妄想もあるが詳しくは省く。
 あと、最近は尊大といえば日笠陽子ボイスが脳内で定着しつつある俺であった。
最終更新:2011年10月25日 21:14