809 :1/6:2011/03/26(土) 19:29:30 ID:???
(自炊)ツンデレにまるで恋人とディナーに来てるみたいだって言ったら
『フゥ…… ただいま帰りました。タカシ様』
「お疲れ様、芽衣。今日は随分買い物に行くの、早かったんだね。気が付いたらもう出掛
けていなかったから」
『また何をのん気な事を仰っているんです。今日は夜、停電じゃないですか。いつもの時
間に、しかも邪魔者のタカシ様を連れて買い物なんてしていたら、停電までにお夕飯の支
度が間に合いません』
「邪魔者とは心外だなあ。確かに時々、買い物に連れて行って貰ってはいるけどさ。邪魔
した覚えなんて無いけど」
『ハア…… 無自覚というのはこれだから困ります。いいですか、タカシ様。あくまでご
主人様の意向だからこそ、仕方なく買い物に付いて行くのを許してはいますけどね。タカ
シ様のせいでどれだけ余分な時間を食っているかお分かりになりますか? いつも余計な
お店だとか、買いもしない商品に興味を持ったりして、その度に引きずり回される私の身
にもなってください』
「はいはい。それは耳にタコが出来るほど聞いてるけどさ。でも、いつも何だかんだ言っ
て、芽衣も楽しんでるじゃん。一緒に品物みたりしてさ」
『誰が楽しんでるって言うんですかっ!! 仕方なく付き合ってるのと楽しんでいるのが
分からないようでは、タカシ様の眼力も大したことはありませんね』
「はいはい。俺と一緒に夢中になってああだこうだと議論交わしてても、仕方なくだもん
ね。それは分かってるよ」
『なっ……!! 別に、会話しているからと言って楽しんでいるのとは別です。言われれ
ばつい言い返してしまうのは性分ですから。ついでに言えば、今だって別に楽しんでお話
しておりませんし』
「分かった分かった。それより、生鮮品とか、早く冷蔵庫に入れた方がいいんじゃない?
悪くなっちゃうよ」
『言われなくともやります。タカシ様さえ無駄話で引き止めなければ、の話ですけど』
「はいはい。邪魔して悪かったよ。お詫びに夕飯の支度、手伝おうか? 時間ないんだろ?」
『結構です。タカシ様はご主人様なんですから、メイドの手伝いなどしなくてもいいとい
つも言ってるじゃないですか』
810 :2/6:2011/03/26(土) 19:29:52 ID:???
「いや。でもこういう状況なんだし」
『そんな事を言っている暇があったら、先にお風呂に入って下さい。停電中は給湯器だっ
て使えないんですから。そうでないと、またいろんな事が遅くなりますよ』
「了解。でも、風呂って沸いてるの?」
『今からお湯だけ張りますから。あと十五分ほど大人しく部屋でお待ち下さい。私が呼び
に参りますから。いいですね?』
「わ、分かった分かった。いいですねってとこ、強調されると何か怖いんだけど」
『敢えて言ったんです。暇を持て余して、キッチンとかウロチョロされないようにと思いまして』
「はいはい。分かりましたよ。大人しく待ってますって」
「ふう…… いいお湯だった。芽衣、上がったぞ」
『随分ごゆっくりでしたね。このまま停電の時間まで上がって来ないかと思いましたが』
「まさか。別に入ってる時間はいつもと変わらないと思うけどな。それに、停電って早く
て六時二十分からだろ? まだ二十分近くあるじゃん」
『そ、それはそうですが…… でも、大体の目安でしかありませんし……』
「そんなに心配する事でもないじゃん。もしかして、結構気もそぞろだったりする?」
『ばっ……馬鹿おっしゃらないで下さい。たかが停電くらいで…… 大体私は、食事の支
度をするのに手一杯で、他の事なんて考えてる余裕ありません』
「あれ? まだ出来てなかったの? てっきり、停電前に済ませるんだとばかり思ってたけど」
『まるで私の手際が悪いみたいに言わないで下さい。これでもちゃんと計算して作ってい
るんですから』
「計算って……何を?」
『えっ……!? い、いえ。そんな大したことでは…… ど、どのみちすぐに分かります
から、タカシ様は大人しくお部屋で待っていて下さい。準備が出来たら呼びに参りますから』
「分かったよ。何を隠してるのか気になるけど……まあ、すぐ分かる事ならいいや。それ
じゃ、頼むよ」
『かしこまりました。タカシ様』
811 :3/6:2011/03/26(土) 19:30:15 ID:???
「芽衣の奴……すぐ分かるけどって言ってたけど……もう停電時間に入っちまったぞ」
プツッ……
「あ、電気消えた。しかし、夜の停電って、マジで真っ暗になるんだな…… 街灯まで消
えるとこうも雰囲気変わるんだ……」
コンコン
「はい?」
ガチャッ……
『タカシ様。お夕食ですが……準備が出来ましたので』
「ああ、行くよ。しかし、停電直後って何か計ったようだな」
『えっと…… まあ、一応……』
「え? 本当に? 何で?」
『来れば分かります。それより、足元をお気をつけ下さい。懐中電灯の明かりしかありませんので』
「ああ、分かった。でも何かさ。こうやって真っ暗闇の中を懐中電灯の明かりだけで先導
されると、芽衣に案内されて秘密の場所に行くみたいだな」
『たかが自分の家の廊下を数メートル歩くだけじゃないですか。何くだらない事をおっしゃっ
ているんですか。バカバカしい』
「いや、だってさ。先導してくれるのが、西洋のお屋敷に勤めるようなメイド服に身を包
んだ女性だぜ。何かちょっとこう、昔の推理小説チックな感じじゃない?」
『タカシ様がどんな妄想をなされようが勝手ですが、私をそれに付き合わせないで下さい。
ほら、早く席についていただけませんか?』
「はいはい。まったく、冷たいなあ。芽衣は」
『誰が冷たいんですか。タカシ様がバカな話をなさるから悪いだけで、私の性格の問題で
はありません。他の誰だって、こんな時にそんな話しをされれば同じような態度を取るに
決まってます』
「そうかな? 芽衣がノリ悪いだけじゃなくて?」
『そうです。またそうやって私のせいにしようとして。全く、付き合いきれません』
「はいはい。俺が悪かったからさ。とりあえず、食事にしようぜ」
『どうせ反省などなさっていないくせに。一回、懐中電灯消しますね』
「え? 真っ暗になっちゃうよ」
『お待ち下さい。すぐに、代わりの明かりを点けますから』
812 :4/6:2011/03/26(土) 19:30:37 ID:???
カチッ
「へえ……こんなライトあったんだ。何か面白い形してるね」
『ちょっと前に雑貨屋さんで見つけたんです。形も奇妙でインテリアにもいいかなって思っ
て。それに、電池ですからこうやって停電の時にも使えますし』
「でも、何か雰囲気いいね。何かちょっとしたレストランにでも来た感じだ」
『それにしてもちょっと暗すぎだとは思いますが。でも、お食事をなさるのには差し支え
の無い明るさだとは思います』
「うん。十分だよ。でも、芽衣も何気に雰囲気作りは狙ったでしょ?」
『は? 何故、私がタカシ様と食事をするだけなのに、いちいち狙って雰囲気を作ったと
お考えになられるのか意味が分かりません』
「だって、パスタにチキンステーキにサラダにミネストローネ。完全洋風の食事にワイン
まで出してさ。これで狙ってないって余りにも白々しくない?」
『タカシ様はご存じないかもしれませんが、今はどこも品薄状態で大変なんですよ? で
すから、手に入りやすい食材で料理を作ると、自然とこうなってしまうだけです』
「まあ、さすがにそれは知ってるけどさ。でも、米くらいは実家から送って貰えばいいじゃ
ん。多分、あそこならうちで足りるくらいの備蓄米あるだろ」
『周りの皆さんが困っている、こういう時に本家を頼るのはいい事ではありません。無論、
タカシ様の健康が最優先ですから、それの障害になると思った時は頼らせていただきます
が、代わりの食材があるうちはそれで満足頂けるような食事をご用意するのも、メイドと
しての仕事です』
「で、このワインは?」
『停電なのに無駄に起きていられても困りますから。アルコールを入れれば早めに寝てく
ださるだろうという、私の配慮です』
「分かった分かった。とりあえず、乾杯しよっか?」
『……乾杯を? 何でですか? 特にお祝いとかイベントごとでもないのに、やる意味が
わかりません』
「いや、その……何となく、雰囲気でさ」
『別に、タカシ様と雰囲気なんて作る必要を感じません。それに、こんな時にちょっと不
謹慎だとは思いませんか?』
813 :5/6:2011/03/26(土) 19:31:00 ID:???
「いや、その……分かったよ。じゃ、いっその事お祈りでもする? こうやって食事がき
ちんと出来る事を神様に感謝して」
『何もそこまでする必要はないかと思います。無論、感謝の気持ちは大事ですが、無神論
者のクセにこういう時だけ神様にお祈りするなんて、調子がいいだけです。普通にいただ
きますだけして下さい』
「はいはい。それじゃあ芽衣に説教されたし、そうする事にするよ」
『説教されるような事ばかり言うタカシ様が悪いんですからね。まるで私が口うるさい女
みたいに言われるのは心外の極みです』
「それは考え過ぎだって。それじゃあ、いただきます」
『では、私も…… いただきます』
「うん。美味しいよ。チキンもいい焼き具合だ。表面はこんがりと焼けてカリカリしてる
のに、中はジューシーで。あと、付け合せの根菜もホクホクして」
『黙って食べて下さい。別にタカシ様から感想など頂いても嬉しくもありませんし、それ
に普段はそこまでおっしゃらないクセに、何で今日に限って饒舌なんですか』
「うーん。やっぱり、雰囲気違うからじゃないかな。余計な視覚情報が入って来ない分、食事に集中してるからかも」
『だったら、食事だけに集中すればいいじゃないですか。何で私に話し掛けて来るんです』
「……ああ、ゴメン。正確に言えば、食事と、あと芽衣だけしか視界に入って来ないから
だな。何て言うかさ、芽衣もこう……ライトの淡い明かりだけだと、いつもとこう……ちょっ
と違った綺麗さが醸し出されて、つい視線が行くんだよな」
『なっ……!? ごっ……ごまかしついでに褒められたって、嬉しくもなんともありませ
ん。綺麗だとか言っとけば私が喜ぶとでも思ってらっしゃるんですか? ホント、タカシ
様ってバカなんですから。まあ、今に始まった事ではありませんから、呆れはしても諦め
てますけど』
「いやいや、ホントだって。こうやってオレンジの光の中で向かい合って食事なんてして
るとさ。家でメイドと食事してるっていうより、何か美人の恋人とディナーに来てるみた
いな、そんな感じだよ」
『こ……こいっ……!? な……何をバカな事ばかりっ!! 私はただのいちメイドに過
ぎないと、普段から言ってるじゃありませんかっ!! 大体、私なんかはタカシ様の恋人
にも相応しくありませんし』
814 :6/6:2011/03/26(土) 19:31:34 ID:???
「いやいや。立場は別にしてさ。客観的に見れば、芽衣は相当美人だと思うぞ。前だって、
一緒に歩いてる所を友達に見られてさ。アレは誰だお前の彼女かって相当しつこく聞かれ
たし。パーティーで会った人からも、専属メイドですって言ったら美人のメイド羨ましいっ
て言われたし」
『あああああ、もうっ!! 適当な事ばかりタカシ様はっ!! 停電だからって変にテン
ション高くしてお世辞ばかりっ!! 正直、付き合いきれませんっ!!』
グイッ!!
「ありゃ? 芽衣のグラスに入ってるのもワインだろ? そんなに一気に空けちゃって大丈夫か?」
『何言ってるんですか。普段、私は仕事があるからとジュースにしようとしても、付き合
えと言ってるのはタカシ様じゃありませんか。こういう時だけ、ワインはダメとでもおっ
しゃるのですか?』
「いや。飲むのは全然オッケーだけどさ。いくらなんでも、一気飲みは酔っ払っちまうん
じゃないかと……」
『タカシ様に付き合って話しをしていたら、喉が渇いてしまっただけです。ちゃんと酒量
くらいは自分でコントロール出来ますから、ご心配なさらないで下さい』
「わ、分かったよ。ただ、ちょっと待って。手酌なんてしないでも、俺が注ぐからさ」
『何言ってるんですか。ご主人様にお酌させるわけにはいきません。私なんて、手酌で十
分です。だから、早く瓶を寄越して下さい』
「まあまあ。食事の時くらい遠慮しないで、ほら。グラス出して。出ないとこぼれちゃうよ」
『う~っ…… タカシ様って、こういう時本当に意地悪ですね』
「素直にならない芽衣が悪いの。はい、どうぞ」
『そ、それじゃあ……頂きます……』
トクトクトク……
「うん。こんなもんか……って、もう空けちゃったの? いくらなんでも早過ぎだって」
『う……申し訳ありません。何かこのワイン……飲みやすくって、ジュースみたいに簡単
に入っちゃって……』
「それじゃあ、もう一杯。今度は一気飲みはダメだからね」
『き……気をつけます……』
『(でも、そんな事言われても……タカシ様が私の事を綺麗だとか美人だとか、恋人と一緒
にいるみたいだとか褒めちぎってばかりだから…… あああああ……もう、喉はカラカラ
だし、体の火照りは止まらないし……はふぅ……(////////////////////))』
817 :>>814のおまけ 1/5:2011/03/26(土) 21:16:57 ID:???
~翌朝~
ピピピピピッ……ピピピピピッ……
『ん……?』
カチッ……
『(もう六時…… 起きて、洗濯して……タカシ様の食事のご用意を……それにしても、何
でこんなに気持ち悪いんだろ……頭フラフラするし……)』
『(そういえば、夕べはどうしたんだっけ……停電で、タカシ様と食事して、食器を流しに
片付けてから……停電が終わってから洗い物とお風呂をって思ってたんだけど……あれ?
記憶に……ないな……私……ベッドに入った事も……)』
ガバッ!!
『ど……どうしたんだっけ? そうだ。停電が明けるまでちょっとだけ休もうと思ってソ
ファで…… でも、何で私ちゃんと自分のベッドで……しかも、パジャマも着てるし……
でも……覚えが無いなんて……』
『(まさか……酔い潰れて、タカシ様が……)』
ガチャッ……ドタドタドタ……
コンコンコンコンコンッ!!
『タカシ様っ!! 起きて下さいタカシ様っ!!』
「ん…… 何だよ……まだ六時じゃんか……」
モゾモゾ……
「何だ? 芽衣。開けていいぞ」
『では、失礼しますっ!!』
ガチャッ……
「おわっ!?」
『は? いかがなさいましたかタカシ様』
「いや、その……芽衣が、予想外にパジャマ姿だったから……ちょっとびっくりした」
『なっ…… そんなの、一緒に暮らしている以上、別に驚く事でも何でもないじゃないで
すかっ!! 逆に、驚かれるとこっちが恥ずかしくなりますっ!!』
818 :>>814のおまけ 2/5:2011/03/26(土) 21:17:20 ID:???
「ああ、ゴメン。確かに芽衣の風呂上りとかはよく行き会うけどさ。朝はいつも、キチン
とメイド服着て起こしに着てくれるから……で、パジャマのまま早朝に部屋に来るなんて、
一体何があったんだ?」
『それはこっちが聞きたいですっ!!』
「何? 一体どういう事?」
『だから、その……えっと、私なんで、自分のベッドでキチンとパジャマ着て寝てるんですか?』
「え? それって別に普通じゃない?」
『普通じゃないから聞いてるんですっ!! というか、その……食事を終えて、食器を流
しに運んで……そこら辺までは覚えているんですが……』
「そこから先の記憶がないと」
『……はい。真にお恥ずかしながら……』
「なるほどね……クスッ……」
『お笑いになることないじゃないですかっ!! 大体、勧めたのはタカシ様ですよっ!!』
「いや。僕はお酌はしたけど勧めてはいないけどな。むしろ止めたのに、芽衣が自分から
飲んじゃってたじゃん。それも覚えてない?」
『…………失態でした。申し訳ありません……』
「素直なのは宜しい。で、夕べの事だけどさ」
『わああああっ!! ちょっ……ちょっとお待ち下さいっ!!』
「何? 聞きたいんじゃなかったの?」
『いえ、その……心の準備が…… コホン。どうぞ』
「うん。でも言ってもいいのかなあ」
『私が聞いてるんですから、言ってもいいも何もないじゃないですかっ!! 何をその……
そんな、もったいつけてるんですかっ!!』
「いや。世の中には、知らずに済むことならその方がいい事もいっぱいあるじゃん。だか
らさ。これも教えない方がいいんじゃないかなって……」
『なっ…… わっ……私が何をしたって言うんですかっ!! こ……ここまで来てそんな
事言うなんて、却って気になっちゃうじゃないですかあっ!! も……もう、後には引き
返せませんっ!!』
「ホントに? いいの? 聞いて後悔するかもよ?」
819 :>>814のおまけ 3/5:2011/03/26(土) 21:17:43 ID:???
『聞かずに後悔するよりマシですっ!! 大体、聞いたら後悔するって、私そんな酷い状
態だったんですか?』
「うーん……まあ、ねえ…… どうだか……」
『濁さないで下さいっ!! 私……一体、何をしたんですか? タカシ様に失礼な事とか、
たくさんしてしまったとか?』
「いや。それは普段からしてるから。主に言葉で」
『普段のは、大抵タカシ様に原因があるんですっ!! からかったりなさるから……大体、
昨日の深酒だってタカシ様が適当な褒め言葉でおからかいになるのがそもそもの原因じゃ
ないですかっ!! 私のせいばかりってわけじゃ……』
「あれはホントにからかったつもりはないんだけど、まあそこで言い合いしてたら、また
話が進まなくなるからな。夕べの話に戻そうか」
『う……それで、私……何をしたんですか?』
「いや。何もしてないよ。というか、何も出来なかったって言うべきかな」
『出来なかったって……どういう意味ですか?』
「だって、自分はまだ仕事が残ってるから俺だけ先に寝ろって言ってリビングのソファに
座ったら、すぐに寝ちゃったんだもん。まあ、結局芽衣の方がワイン多く飲んだし、食卓
のライト以外は明かりが無くてほとんど真っ暗だから、しょうがないんだろうけど」
『リビングのソファで休もうとしてたのまでは覚えてます。けど、その先どうやって、自
分の部屋まで戻ったのか、それが全く記憶になくて……』
「ああ。さすがに芽衣をそのままほっとく訳にも行かないし、停電が終わったら起こそう
と思って。まあ、停電は意外と早く終わったんだけど、起こしても芽衣が全然起きなくて
さ」
『起きなかったって……それじゃ私、どうやって部屋まで…… まさか……タカシ様が?』
「まあね。大変だったけど」
『いっ……やあああああっ!! どどどっ……どうやって私を部屋まで連れて行ったんで
すかっ!! 肩を貸してですか? そ、それともおぶったりとか……抱っこでとか……』
「それは、芽衣のご想像にお任せするよ。一つ言えるのは、おれが連れて行ったってこと
は確かだって事で」
『どうしてそこで言葉を濁すんですかっ!! それもニヤニヤして、絶対面白がってます
よね? もう、最低です!! タカシ様はっ!!』
820 :>>814のおまけ 4/5:2011/03/26(土) 21:18:47 ID:???
「あれ? うっかり放置してたら暖房も無しで朝までリビングで寝てて風邪引いたかも知
れないのを、部屋に連れて行ってあげたのに最低扱いなんだ。それって、メイドとしてどうなの?」
『うううっ…… たっ……確かに、タカシ様に部屋まで運ばせたなんてのは、メイドとし
てあるまじき失態だとは思っておりますし、申し訳ないとは思いますけど…… ただ、今
のタカシ様は意地悪過ぎますっ!!』
「いや。まあ、詳しく語り過ぎると芽衣が恥ずかしがるかなって思って」
『もう、その言葉だけで十分過ぎるほど恥ずかしいですっ!!』
『(あああああ…… 私とした事が……タカシ様の言葉から察するに、やっぱり抱っことか
されたんだ…… それなのに、覚えてもいないなんて……じゃなくってっ!! タカシ様
にそのような事をさせるなんて……)』
「(まあ、本当は寝惚けてフラフラな芽衣の手を引いて部屋まで連れてっただけなんだけど。
でも、狼狽する芽衣はホント、面白いなあ)」
「まあ、まだ続きがあるんだけど。でも、これだけで十分恥ずかしいなら、この先は俺一
人の胸に仕舞っておくかな」
『まだ続きがあるんですかっ!! って、そうだ。何で私、パジャマ姿なんですか? 私、
起きなかったんですよね?』
「さあ。どうやってだろうね?」
『だから何だってそう意地悪な言い方するんですかっ!! もうはっきりおっしゃって下
さっていいです。腹は括りましたから』
「いや。やっぱ止めとく」
『何で? 何でですかっ!! 私がお願いしているのに言わないってどういう事なんですか?』
「だって、言ったら結局ボコボコに叩かれそうな気がして。今の芽衣の動揺っぷりから察するに」
『何で私がタカシ様をボコボコに……って、やっぱり、その……タカシ様が?』
「うーん……だって、芽衣がメイド服がしわくちゃになるからどうしても着替えるって聞
かないからさ。その割りに手は覚束ないし……」
『ちょっと待って下さい。私、起きたんですか? そんな事言ったんですか? 全く記憶
にないんですけど』
「起きたっていうか、ちょっと目を覚ましたって感じだったな。まるで、駄々っ子みたいだったよ」
『あの……それで、もしかして……』
821 :>>814のおまけ 5/5:2011/03/26(土) 21:19:34 ID:???
「そっから先はちょっと勘弁してくれ。話すの恥ずかしいから。まあ、俺にとってもちょっ
と思い出にはなったかな」
『なあああああっ!! 何がいい思い出なんですかっ!! ししし……信じられませんっ!!
そ……そんな事……ああああああっ!!』
「いや、ちょっと待て。誤解しないでくれよ。決してその、スケベ心むき出しでとかじゃ
なくてだな……」
『どっちだろうと私には同じ事ですっ!!!! あああああ……もうダメッ!! 失礼しますっ!!』
ドタドタドタドタ……バタンッ!!
「ふう……やれやれ。本当は、冗談で着替え手伝おうかって言ったらボコボコに蹴られた
だけだったんだけどな。ま、ちょっとその仕返しもあったけど、でもやっぱり動揺してる
芽衣は可愛いよな」
『あああああ……もう最低っ…… タカシ様にここまで運ばれただけじゃなくて着替えま
で……という事は当然、下着もみ、見られて…… やだもう……酔っ払ってたからってな
んで……恥ずかし過ぎる……死にたい……(///////////////)』
以上
ツンデレが酔って記憶に無いなんていったら、やっぱり苛めたくなるよね
最終更新:2011年10月25日 21:30