41 :1/3:2011/08/22(月) 17:41:30 ID:???
タ「このみん、いよいよ大会出場だな」
こ『だからこのみん言うな!(///) まあ、さくさくっと走ってくるよ』
タ「何が"さくさくっと"だよ。このために自主練までして頑張ってきたんだろ?ずっと見てたから知ってるっつーの」
こ『う、うっさいな!(///) ボクは別にタカシが見守ってくれたから頑張れたわけじゃないんだからね!?(///)』
タ「ま、なんにせよ頑張れよ。当日は草場の陰から見守ってるから」
こ『普通に応援席があるでしょ!・・・まったく。まあ小カール君ターボ破って優勝してくるから、終わったらアイス食べに行こっ。タカシのおごりでwww』
タ「お前ならカール君にだって勝てるってwwwてゆーかおごらねーぞ!wwwww」
タ「さあ、次はいよいよこのみの出番だな。頑張れよ、このみ・・・」
ヨーイ、スタート!!
こ『・・・はっ・・・はっ・・・』
タ「よし!いいスタートだな。ぶっちぎりじゃないか」
ブツッ
こ『・・・っ!!!・・・』
バタッ
タ「な、なんだ!?どうした!?このみが倒れるなんて・・・」
こ『・・・ぐっ・・・!』
タ「このみ!このみぃぃぃぃぃ!!」
タ「・・・このみ、大丈夫か?」
こ『タカシ・・・うん、大丈夫・・・ごめんね、せっかく応援してくれてたのに』
タ「何言ってんだよ、謝ることなんかないだろ?それより何があったんだよ」
こ『・・・靭帯断裂・・・だってさ・・・』
タ「靭帯断裂!?」
こ『練習のし過ぎと、本番の緊張で筋肉が硬い状態なのに無理な力がかかったからだって・・・』
タ「そんな・・・頑張ったのが裏目に出たなんて・・・」
こ『治ったら歩けるようにはなるけど、もう今までのようには・・・走れないんだって・・・』
タ「ええ!?・・・でも、よくスポーツ選手がやるみたいに、手術とかそういう手段もあるんだろ!?」
こ『ボクんち、そんなお金無いし・・・仮に手術してもリハビリにすごく時間かかるから・・・もう高校で陸上やるの、無理だよ』
タ「このみ・・・」
こ『タカシ・・・今日はもう帰って・・・』
タ「いや、でも・・・」
こ『お願い・・・一人に・・・して・・・』
タ「わかった・・・何かあったら、遠慮なく電話でもメールでもしろよ?」
こ『・・・』
タ「・・・」
コ「おお、別府。このみの見舞いか?俺もちょうどこれから行こうと・・・」
タ「コーチ・・・行っても、面会断られますよ・・・"一人にして"って言ってましたから」
コ「・・・そうか・・・さっき先生に聞いたが、靭帯断裂なんだってな・・・」
タ「なんで・・・」
コ「ん?」
タ「なんでこのみがこんな目に・・・アイツはただ走るのが好きで、誰よりも速く走りたくて、そのために頑張ってただけなのに・・・」
タ「そのこのみが、なんでこんな目に合わないと行けないんですか!」
コ「別府・・・」
タ「なんでだよ・・・くそっ!・・・どうせなら俺が・・・俺が代わりに走れなくなればいいのに・・・」
コ「別府!そんなことを言うな!!」
タ「・・・コーチ・・・」
コ「お前のその言葉が優しさから出たということはわかる・・・だがな、代わってやることなんかできないんだ」
コ「そんなことを言ったら・・・一番悲しむのはこのみだぞ?」
タ「・・・はい・・・すいません」
コ「別に俺に謝らんでもいいさ・・・とにかく、今はそっとしておいて、どうやったら励ませるか考えよう」
タ「はい・・・」
42 :2/3:2011/08/22(月) 17:42:02 ID:???
タ「このみ、具合はどうだ?」
こ『タカシ・・・う、うん、もうすっかり大丈夫だよ!食欲だってモリモリあるし』
タ「そっか・・・」
こ『まったく、お見舞いなんか来なくていいのに。病気で寝たきりの薄幸の美少女ってわけでもないんだから』
こ『ホント暇人だよねぇ、タカシは』
タ「ほっとけwww」
こ『別に大したことなんかないんだよ。足痛めて走れないってだけで、日常生活ぐらい送れるんだし』
こ『陸上だけが人生じゃないからね~。これからボクは本格的に女として生きてやるんだからwww』
タ「うん、元気そうで良かった・・・でもな、このみ」
タ「・・・無理・・・すんなよ?」
こ『む、無理なんかしてないよ!』
タ「お前、ホントに嘘が下手なやつだなぁ」
ナデナデ
こ『なんでそこで頭撫でるのさ!(///)・・・嘘じゃ・・・ないよ』
タ「何言ってんだよ・・・そんな引きつった笑顔が作り笑いなことぐらい、一発でわかる」
タ「俺は、お前が心の底から楽しんでる時の笑顔が好きなんだからな・・・」
こ『な、何言ってんのさ、自分こそ(///)・・・ボクは別に作ってなんか・・・』
タ「俺さぁ、このみには本当に感謝してるんだよ。転校したばっかりで不安だった時に、全然壁とか作らずに話してくれたし、」
タ「何にも本気になれなかった俺を陸上部に誘ってくれて、物事に打ち込むことの楽しさを教えてくれたし・・・」
こ『べ、別にタカシのためにやったとかじゃ、ないんだから・・・感謝されることなんて・・・』
タ「俺、このみほどずっと全力で走ってきたわけじゃないから、このみの辛さわかってやれないかもしれない・・・」
タ「でも、だからこそ、我慢しないで辛いなら辛いって言って欲しいんだ」
タ「ちょっとでも、このみの辛い気持ち・・・軽くしたいから・・・俺を友達と思ってくれてるなら、吐き出してくれよ」
タ「我慢・・・しないでさ・・・」
こ『タカシ・・・』
こ『・・・』
こ『タカシなんか・・・大嫌い』
タ「う・・・」
こ『・・・そうやってボクのことお見通しで、ボクのこと包み込んでくれて・・・』
こ『タカシといたら、弱い自分もさらけ出しちゃうから・・・だから、タカシのことなんか・・・大嫌い・・・』
こ『・・・』
ギュッ
タ「こ、このみ!?」
こ『うわぁぁぁぁぁぁん!タカシ!!タカシぃぃぃ!!!』
こ『ぐすっ・・・ボク、ずっと走るのが好きでそればっかやってきたのに・・・』
こ『どうして・・・どうしてこんなことになるのさ・・・えぅぅ』
こ『もうこれから、どうしていいかわかんないよ・・・ぐすん・・・』
タ「このみ・・・」
こ『うぅぅ・・・』
タ「いいよ・・・今は泣いて・・・」
ポンポンッ
こ『ぐすっ・・・』
こ『・・・』
こ『・・・(ゴシゴシ)・・・ごめん、タカシの服、汚しちゃった』
タ「そんなこといいって」
こ『・・・あぁ、なんか泣いたらスッキリした・・・うん。もう大丈夫』
タ「ホントに大丈夫か?」
こ『今度こそ大丈夫だって!・・・まあ、まだこれからのこととか考えられないけど、なんか気持ちは一区切りついた』
タ「そうか。このみは強いなwww」
ナデナデ
こ『そこで撫でないでよ!(///)・・・でも・・・ありがと(///)・・・』
こ『・・・そうそう、さっきの話だけど、ボクはタカシのこと友達って思ってないから』
タ「なんだってー!?じゃあなんだと思ってるんだ・・・もしかして下僕とかorz」
こ『それは・・・ヒ・ミ・ツ(///)』
43 :3/3:2011/08/22(月) 17:42:34 ID:???
こ『コーチ、ご無沙汰してます』
コ「おお、このみ!もういいのか?」
こ『はい、松葉杖は必要ですけど、学校にはもう通って大丈夫だって・・・どうもご心配おかけしました』
コ「そうか。とりあえず良かった良かった」
こ『・・・タカシは?』
コ「ああ、別府なら今日も外の40kmコースを走りに行ってるぞ」
こ『えっ、タカシが!?・・・それに、今日"も"って・・・』
コ「アイツ、あれから更に練習熱心になりやがってなぁ・・・"このみの分まで俺が走るんだ"とか言ってたぞ」
こ『タ、タカシ・・・』
コ「それと、"東京マラソンで優勝して、賞金でこのみに手術受けさせるんだ"とも言ってたな。"高校では無理だとしても、治ればいつかはまた走れるんだから"・・・だと」
こ『そんな、タカシ・・・なんでそんな無茶なこと・・・』
コ「そうだな、無茶だよな。俺もそう思う」
コ「しかし・・・男ってのはそういう無茶考えちまう生きもんなんだよ・・・ったくバカだよな」
こ『・・・』
こ『・・・ホント・・・バカですよね・・・』
こ『・・・』
こ『コーチ、お願いがあります!』
タ「はぁ、はぁ・・・やっと校庭に戻ってきたぞ・・・ぜぇ、ぜぇ」
こ『犬みたいに舌出してへばって・・・情けないなぁ』
タ「このみ!?もう大丈夫なのか!?」
こ『歩くには松葉杖必要だけど、それ以外はね。はい、タオル』
タ「お、さんきゅ・・・(ゴシゴシ)」
こ『それとスポーツドリンク』
タ「おお、ありがたや・・・(ゴクゴク)・・・って、なんかお前マネージャーみたいだな」
こ『だってマネージャーだもん』
タ「そうか・・・って、えぇぇ!?このみがマネージャー!?」
こ『そうだよ。コーチにお願いして、これからボクは陸上部のマネージャーとしてサポートさせてもらうことになったんだ』
タ「お前・・・いいのか?」
こ『だって現状走れないから選手は無理だけど、やっぱり陸上以外考えられないもん』
タ「そっか・・・うん。お前がそう考えたんなら」
こ『それに、ほっといたら無茶するヤツもいるしね~』
タ「ん?誰だそりゃ」
こ『タカシに決まってんでしょ!・・・まったく、急にハードな練習し過ぎたら体壊すよ!?ボクの事例から学ばなかったの!?』
タ「うっ・・・」
こ『これだから、バカシって呼ばれるんだよ』
タ「お前だけだ!そんな呼び方するのは」
こ『とにかく、ちゃんと計画的な練習メニュー組んでやらないといけないんだから。これからは、ボクの言うこと聞くこと!いい!?』
タ「は、はい・・・」
こ『それで・・・またいつか・・・一緒に走るんだから(///)』
最終更新:2011年10月25日 22:03