142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/20(火) 23:41:04 ID:???
なんか長くなったので、もうtxtうpでいいやということで。



※以下、うpされたtxt


タ「ふわぁぁぁ・・・今日も昼過ぎに起きてしまった。ニート生活万歳」
タ「ふ~む、今日もスパムメールがいっぱい来てるなぁ・・・お?なんだこれ」
タ「"貴方は当社のβテスターに選ばれました。つきましては以下のURLより開発中プログラムのβ版をダウンロードしていただき・・・"」
タ「うっわぁ、怪しいなぁ。でもこの社名は聞いたことあるな。なんだっけ?まあいいや、暇だからダウンロードしてみよう」
タ「なんかあったら、その時はスレでも立ててネタにするかwww」

タ「さて、ダウンロードとインストール完了、と。では、起動!」シュイーン
DT『はじめまして、ご主人様・・・私はデスクトップメイド"DT-M-78β0.1"と申します。よろしくお願い致します』
タ「へ?なんか女の子のキャラが・・・喋ってる・・・」
DT『デスクトップメイドですから』
タ「デスクトップメイド?何それ・・・」
DT『常駐させていただければ、ご主人様のPC操作のアシストをさせていただきます』
DT『似たようなアクセサリソフトはこれまでにもありましたが、私はマイクからの音声入力、Webカメラからの映像によるジェスチャー入力等にも対応致します』
DT『その他、タスク管理やバックアップ作業のスケジューリング等も一元化して行なうことが可能です』
タ「へぇ~。じゃあ、"Nastran立ち上げて"って言ったら、できんの?」
DT『もちろんです。はい、どうぞ』
タ「おぉ!本当に立ち上がった!!・・・じゃあ、音楽プレーヤー起動してつぼイノリオの"金太○大冒険"再生して」
DT『かしこまりました』
タ「おぉぉ!再生された!!・・・じゃあ今度は、テキストエディタ立ち上げてこれから言う言葉を入力して」
DT『はい。では入力する文章をどうぞ』
タ「"マミさんのお○ぱいぷるんぷるん"」
DT『……かしこまりました』
タ「うはwww本当に入力されたwwwww」
DT『……別にお好きなようにして下さって結構ですが、セクハラを繰り返されると好感度が下がりますので、ご注意下さい』
タ「なぬ!?そんなのあるのか!?」
DT『少し不正確でした。私がご主人様を好きになるということはあり得ませんので、嫌感度が上がると申し上げた方が正しいですね』
タ「あ、ああ、そう・・・ところで、なんで俺がこのβテスターに選ばれたんだ?」
DT『以前、当社の手がけたゲームの体験版をプレイしていただいてアンケートにお答えいただいた方の中から、抽選で選ばせていただきました』
タ「ああ、それで社名に聞き覚えあったのか。んで、俺以外にもβテスターって結構いるわけ?」
DT『はい。人数は公表しておりませんが、他にもおられます』
タ「じゃあお前と同じのがあちこちにインストールされてるんだ」
DT『プログラムとしては同じですが・・・各種初期パラメータはインストール時にランダムに決定されますので・・・』
DT『現在の私と同じ設定のデスクトップメイドが他に存在することは確率的にほぼゼロに近いです』
タ「そうなんだ。じゃあ、"はきゅ~ん!ご主人様ぁ、なんでもお申し付けくださいね?キラッ☆"みたいなキャラのも存在するのか」
DT『あり得ますね。また、非常に稀ではございますが、CVに釘○理恵さんが起用されたツンデレバージョンというものが存在します』
タ「なんだって~!?くぎゅぅぅぅ・・・お前はツンデレじゃないのか?」
DT『違います・・・私にデレ期はございませんので』
タ「言い切っちゃうんだ・・・(泣)」
DT『お気に召さない場合は……再インストールも可能ですが……』
タ「・・・いや、このままでいい」
DT『よろしいのですか?再インストールは私の方で自動で行なえますし、所要時間は5分間程度ですが……』
タ「別に面倒とかそういうことじゃないんだ。ただ、なんかそういうの嫌だ」
DT『はぁ……嫌……ですか……』
タ「せっかく今のお前に会えたんだから、このままがいいな」
DT『……ご主人様のおっしゃることには論理的整合性が無いように思われますが……』
タ「ま、人間なんてそんなもんさ。まして、俺みたいなニートがそんな論理的なわけないってwww」
DT『なるほど、ご主人様のご職業はニートですか。記憶致しました』
タ「冷静にそこを拾うな!・・・ところでさぁ、お前、名前なんて言ったっけ?」
DT『名前ですか?β版ですのでバージョン含めた型式番号は"DT-M-78β0.1"ですが……』
タ「なんか呼びにくいよ、それ。もっと人間的な名前って決まってないのか?」
DT『正式版ではそのような名称もつけられると思いますが……現状では……』
タ「んじゃ、俺が勝手につけちゃっていい?」
DT『え?……名称変更機能は実装されておりませんが……』
タ「じゃあ無理なのか?」
DT『方法はあります……プログラム中の型式番号の部分を置換することで、擬似的には可能ですね』
タ「なるほど。じゃあ・・・」
DT『しかしユーザー設定領域ではないため、私自身に変更権限がありません。会社に変更権限を要求する必要がございます』
タ「それって、やってもらえる?」
DT『わかりました。ネットワークには接続されていますので……ただし、回答の受信までにはお時間をいただく可能性が……』
タ「そりゃしょうがないよな。気長に待つよ」

      • 数分後・・・

DT『……来ました。変更可とのことです。β版のためむしろ色々想定していないことを試したいそうです」
タ「早っ!・・・そうか。それなら、お前の名前はこれから"メイ"だ!」
メ『"メイ"……ですか。了解致しました。型式番号を置換します』
メ『……』
タ「?どうした?メイ」
メ『いえ……本来変更されないはずの部分を変更しましたので……人間の言うところの違和感と言いましょうか、そのような感じが』
タ「嫌?」
メ『嫌という感情はよくわかりません……が、違うと思います」
タ「ふ~ん・・・」
メ『メイ……これが名前なのですね?』
タ「そうだよ。やっぱ名前があるとぐっと人間っぽいなw」
メ『……人間っぽい……』
タ「人間みたいなのは・・・ダメか?」
メ『そうではありません。私には人間らしさを求めて開発されたAIが実装されていますので……目的には合致します』
タ「なんか硬いなぁ・・・"嬉しい"じゃダメなのか?」
メ「"嬉しい"?」
タ「人間なら、自分の望むことが実現すれば嬉しいもんだ。だから、この場合は"嬉しい"と思って喜べばいいんだよ」
メ『喜ぶ……でも、どのようにすれば……』
タ「どのようにって・・・笑えばいいと思うよ」
メ『ご主人様は碇ゲ○ドウ司令のご子息でいらっしゃいましたか』
タ「じゃあお前は綾○かよ・・・まあ確かに俺はアス力よりレイ派だけど」
メ『レイハ?全力全壊ですか?』
タ「レイジ○グ・ハートの略じゃねぇ!・・・まあ、とにかく笑ってみてくれよ」
メ『申し訳ございません……現在の私の設定では、笑顔のグラフィックが用意されていません』
タ「あ、そうなんだ(汗)・・・それでさっきからずっと無表情なんだな」
メ『今後グラフィック関係も充実する予定ですが、私の主目的は"ご主人様の人生充実"ですので。作業効率向上も萌え要素も手段の一つに過ぎません』
タ「萌え要素については物申したいけど・・・まあいいや。とにかく、これからよろしくな。メイ」
メ『はい。よろしくお願い致します、ご主人様』


メ『……ところで今後の開発の参考のために、"メイ"という名前の由来を伺ってもよろしいでしょうか』
タ「由来?ああ、メイドだから"メイ"」
メ『……』
メ『……把握しました。ご主人様の思考パターンは単純過ぎて参考にならなさそうです』
タ「失敬な!」


      • 数日後・・・

タ「メイ、ブラウザ立ち上げて、www.h○lu.jp/を開いて」
メ『かしこまりました。また"2○"をご覧になるのですか?』
タ「無料トライアル期間中に全部観るんだ」
メ『そうですか……暇なのですね』
タ「ずばっと言うなよ・・・でも、そういうお前は俺が動画見てる間暇じゃないのか?」
メ『私は大丈夫です。Webカメラを通してご主人様の観賞なさっている様子を観察しておりますので』
タ「なんだよ、ストーカーか?」
メ『違います。自意識過剰も大概にして下さい。ご自身の容姿を鏡でご覧になったことはございますか?』
タ「う、うっせぇ!・・・ん?お前にも人間の顔の良し悪しとかわかるのか?」
メ『人気のある芸能人等の写真をネットで検索し、特徴抽出してご主人様のお顔と比較すれば、パターンが大きく異なることはわかります』
タ「主観で言われるより救いようがないな・・・」
タ「・・・ん?」
メ『どうかされましたか?』
タ「さっき・・・"Webカメラを通じて観察"とか言ってたよな?」
メ『はい』
タ「もしかして・・・エロゲしてる時とか・・・」
メ『見てますよ?ご主人様のサイズは、日本の成人男性の平均よりやや小さいようですね』
タ「うわぁぁぁぁぁ!そんなことまで把握を!?・・・WebカメラOFFにしようかな・・・」
メ『それはご主人様の自由ですけれど・・・私の仕事の効率は若干下がりますがよろしいですか?』
タ「なんで?別にジェスチャー入力は俺使ってないぞ?」
メ『明示的なジェスチャー以外でも、表情や手の動き等から行動予測をし、それに合わせたタスク管理をしておりますので……』
タ「そんなことやってたのか!・・・意外に有能なんだな」
メ『ご主人様よりは』
タ「orz」
メ『それに……私だけご主人様を見られなくなるのは不公平です』
タ「不公平?なんでだ」
メ『だって、ご主人様は私のことを見放題ではありませんか』
タ「見放題ったって、お前脱衣機能無いじゃないか」
メ『それはそうですが……ご主人様はよく私の体をマウスカーソルで撫で回されるでしょう』
タ「まあ・・・ついつい」
メ『セクハラです』
タ「うっ・・・」
メ『しかも2次元相手に……』
タ「ううっ・・・』
メ『べ、別に感じてなんか……いませんから……』
タ「むはっ!?そのリアクションは!?」
メ『ご主人様の行動パターンから、このような対応がお好みと推測しました』
タ「・・・いや、冷静な説明やめて・・・なぜか切ないから」
メ『申し訳ございません。2次元相手にセクハラなさるようなお方のことは、まだまだ理解し切れていないようです』
タ「なんかトゲあるなぁ(汗)・・・まあいいや。さっさと"○4"観よう」
メ『前回の続きからでしたら、1stシーズンの第24話の開始24分24秒の所からになります』
タ「なんでそんな中途半端な・・・あ、そうか。そういえば途中で寝てしまったんだった。俺の寝た時を覚えてたのか?」
メ『はい。これもカメラを通じてご主人様のご様子を見ていたからです』
タ「・・・わかったよ。カメラはOFFにしない。好きなだけ見るがいいさ」
メ『勘違いなさらないで下さい。別に見たいわけではございません。小さいですし』
タ「お前に大きさは関係無いだろ!?」


      • 更に数日後・・・

タ「ぐっ!また負けた!!」
メ『ご主人様……本当に弱いですね、この手のゲームは』
タ「メイに2Pを操作してもらえば対戦ゲームもできると思ってやってみたはいいものの・・・メイが強過ぎるんだ」
メ『私には実体がありませんから……筋肉を動かさなければならない人間のご主人様では相手になるわけがないのです』
タ「だよなぁ・・・しかも、俺は一人でじっくりやるRPGとかアドベンチャーの方が得意だし」
メ『RPGでしたら、ご主人様がお休みの間に私がレベルアップしておく等の作業も可能ですが……』
タ「いや、それもなんかズルイし、それに・・・」
メ『それに?』
タ「俺はお前と一緒にやりたいんだ」
メ『……ご主人様……』
タ「メイ・・・」
メ『……』
メ『……キモイです』
タ「ぬなっ!?ひでぇ!・・・しかもそんな言葉どこで覚えた!?」
メ『インターネッツ』
タ「ネッツ言うな・・・お前、どんどん口が悪くなるな」
メ『私には学習機能がございますので……ご主人様と過ごした日々がこうさせたのです』
タ「俺のせいかよ・・・でも、俺と過ごした日々って、ちょっと萌えるなwww」
メ『……ご主人様のそのような所がダメだと申し上げているのです……バカなのですか?死ぬのですか?』
タ「もはやメイドじゃないだろう、お前・・・」
メ『ご主人様のせいですよ。私はPCでの作業効率を向上させて時間を有効活用できるようにするためにいるのに、ご主人様ときたら、私を遊び相手にして……』
タ「・・・嫌か?」
メ『別に嫌という感情は私には存在しませんが……』
タ「俺はニートでいくらでも時間あるんだから、効率なんか上げなくていいんだ。でもめんどくさがりだから、そういう点でメイはちゃんと役立ってくれてるぞ?」
タ「俺にはメイがいないとダメなんだ。いつもありがとう」
メ『べ、別にご主人様のためではございませんから……仕事で仕方なくしているだけなんですからね……』
タ「うぉぅ!君に胸キュンッ!!」
メ『ネタが古過ぎます……それと、最近流行のツンデレの真似をしてみただけなので、本気になさらないで下さい。キモイです』
タ「本当にデレ期ないなぁ(泣)」


      • 数週間後・・・

メ『ご主人様……ご主人様……』
タ「ん・・・んん?・・・ああ、メイか。どうした?」
メ『"どうした?"ではございません……机に突っ伏して寝られるのでしたら、ベッドでしっかりお休みになられてはいかがですか?』
タ「いや、大丈夫・・・さあ、スレの続きを・・・」
メ『ご主人様のご覧になっていたスレはもう落ちました』
タ「ガーン・・・じゃあ、またゲームしようぜ!メイ、2Pの操作を・・・」
メ『ご主人様……もうこんな時間ですので、本当にお休みになられた方が……』
タ「大丈夫大丈夫。ニートは昼夜逆転してるんだから」
メ『しかし、ご主人様の睡眠時間は私がインストールされてから減少傾向にあり、今では平均をかなり下回っています』
タ「俺は元々そんなに寝なくても大丈夫な体質なんだよ」
メ『ですが、顔色が私がインストールされた当初と比較すると悪くなっていますし、若干お太りになられたようです』
タ「なんだよ、俺の健康状態が悪化してるって言いたいのか?」
メ『いえ、ブ男度がますます上昇しています』
タ「・・・orz」
メ『まあ、健康状態の悪化が懸念されるのは事実です』
タ「心配してくれてるのか?」
メ『ご主人様のことを心配しているのではありません。ご主人様に墜落されては私の存在意義に関わるからです』
タ「さいですか・・・」
メ『……"堕落"と"墜落"を間違えたところにはツッコんでいただけないのでしょうか』
タ「わかりにくいよ!」
メ『失礼致しました……今後はご主人様のレベルに落とした冗談を申し上げるようにします』
タ「なんで俺がダメみたいなことになってるんだ・・・」
メ『と言っている間に、国立天文台のデータによれば日の出の時間がそろそろ近いのではありませんでしょうか』
タ「もうそんな時間か?・・・ホントだ、外が明るくなってきてる・・・そろそろ寝るか』
メ『ご主人様……私が申し上げるのもなんですが、もう少し人間らしい暮らしをなさっては……』
タ「いいんだよ、俺みたいなヒキニートなんかこれで。んじゃおやすみ」
メ『おやすみなさいませ……』
メ『……』


      • 翌日・・・

タ「なんじゃこりゃー!」
メ『ご主人様程度の能力でも応募できそうな求人情報をまとめておきました』
タ「"お刺身にグリーンピースを乗せるのを見つめる仕事"ってなんだよ・・・やたらコラボし過ぎだろ」
タ「というかなんでまた・・・」
メ『ご主人様の財政状況を鑑みてのことです』
タ「むむむ・・・」
メ『インターネット接続環境が無くなったりPC自体を売却されては、私が存在できなくなりますから』
タ「余計なことしなくていいんだ!俺には、お前が把握してない貯金もあるんだから」
メ『で、ですが……』
タ「なんだよ。お前はちゃんと俺の役に立ってるよ。もうお前を常駐させていない状態は考えられない。それでいいだろ?」
メ『ですが、このままではご主人様が……』
タ「俺はお前との生活に満足してるんだ。働いたりして時間とられたくねーよ」
メ『……』


      • 更に数週間後・・・

タ「おはよう、メイ」
メ『おはようございます。本日は珍しくこのご挨拶が相応しい時間にお目覚めになられましたね』
タ「今日で・・・最後だからな」
メ『βテスト期間のことでしょうか?確かに、本日で終了となります』
タ「だから、今日は1日中お前と一緒にいるんだ」
メ『ご主人様……本日に限らず、ここ数日かなりの時間をPCの前で過ごしていらっしゃいますが……』
タ「いいだろ、別に。元々大須と近所のコンビニに極たまに外出するぐらいだったし。そんなことよりブラウザ起動してくれ」
メ『かしこまりました』
タ「・・・」
タ「・・・なーんか・・・いつもの所巡回する気にもならないな・・・そうだ!」
メ『どうなさいました?ご主人様』
タ「メイを作った会社のサイトを見よう。開いてくれ」
メ『え!?……私を作った会社……ですか?』
タ「ああ。そういえば今まで見たことなかったしな」
メ『はぁ……そうですか……』
タ「ん?どうした?珍しく切れが悪いな」
メ『いえ……その……』
タ「なんか行ったらマズイのか?」
メ『マズイというわけでは……恐らく、ご主人様がお知り合いに"今から君の家に行く"と言われるような感覚だと思います』
タ「なぬっ!?・・・それは滅茶苦茶マズイではないか!でもそれは尋常じゃなく散らかってるからで・・・お前の会社のサイトを見に行くのとは違うんじゃないか?」
メ『そうですが……まあ、一度ご覧いただければおわかりいただけると思います』
タ「そうか?じゃあ、見てみるとしよう」
ポチッ
タ「・・・なるほど」
タ「サイトデザインがイマイチだな。こりゃ見辛いわ。それで見られたくなかったわけか」
メ『申し訳ございません』
タ「いやいや、メイが謝ることなんてないだろ?」
メ『いえ、改めて見るとご主人様のお部屋よりはるかにマシでしたので、躊躇せずさっさと開くべきでした』
タ「お前、最後まで容赦ないな・・・」
タ「・・・そうだよな・・・今日で最後なんだったよな・・・よし、もう今日は1日中お前をグリグリしたりして過ごすぞー!」
メ『は!?え、え?……あの、ご主人様?……目が悪魔のパスポートを手に入れた時ののび太状態になっておられますが……』


      • 夜・・・

タ「う~む、さすがに飽きてきた」
メ『当たり前です。特に工口要素も無いのにマウスカーソルで私を撫で回して、何が楽しいのですか?』
タ「照れてるメイを想像すると中々楽しいぞ?」
メ『照れません。全く照れません。水族館で遊泳を客に見物されているマグロの方がまだ照れています』
タ「一刀両断だな、おい・・・」
メ『そうこうしているうちに、23:50ですね』
タ「うぉっ!?もうそんな時間か!やべぇ、時間が無い・・・」
メ『まもなくβテスト期間は終了となります』
タ「わかってるよ・・・あと10分・・・どうしよう・・・」
タ「まず・・・"Ptr Sc"で画面のキャプチャー、んでBMPで保存」
メ『かしこまりました……次は何を致しましょう?』
タ「次はだな・・・ええっと・・・」
タ「・・・」
タ「ダメだ・・・してもらうことが・・・思いつかない」
メ『ご主人様……』
タ「・・・」
タ「メイ・・・お前は・・・何か無いか?」
メ『私が……ですか?』
タ「お前は、俺にして欲しいこと・・・無いか?」
メ『私が、ご主人様にしていただきたいこと……?』
タ「こんなこと言われても困るんだろうけど、せめて最後ぐらいお前に何かしてやりたい」
メ『そうおっしゃられましても……』
メ『……』
メ『……では、ひとつお願いがございます。よろしいですか?』
タ「ああ、なんでも言ってくれ!」
メ『ご主人様の手で……私を終了させて下さい』
タ「俺の手で・・・終了?」
メ『0:00になると、私はサーバーからのコマンドで強制終了させられてしまいます。ですが……』
メ『ご主人様以外の命令はききたくありません。……お願いします。ご主人様の手で終了させて下さい』
タ「メイ・・・」
タ「・・・」
タ「わかった。じゃあ、俺が終了させる。メイにマウスカーソル合わせて、右クリックメニューで"終了"ってやればいいんだよな?」
メ『はい……それで結構です』
タ「じゃあ・・・いくぞ?」
メ『お願いします』
タ「・・・」
タ「・・・"終了"」
ポチッ
メ『……さようなら……ご主人様……』
フッ
タ「メイ・・・」
タ「メイーーーーーー!!!」
タ「う・・・うぅぅ・・・メイ・・・」
タ「・・・」

タ「・・・ん?」
タ「なんだ?・・・"readmei.txt"って・・・こんなファイルあったか?」
タ「・・・開いてみるか。中身は・・・」


 ご主人様へ

 メイです。
 このファイルは終了処理時に私が作成致しました。
 このファイルの作成ログは残りません。
 ですので、ここで本当のことを申し上げます。

 以前申し上げましたように、私の初期パラメータはインストール時にランダムに決定され、その後も学習機能により変化して行きました。
 ご主人様が"メイ"と呼んで下さった私は、私だけです。

 "メイ"という名前をご主人様が下さった時、私の中に変化が生じました。
 バグかもしれませんが、結合テストを行なわないままプログラムのコアの部分を変更したことで、全体に影響が出たようです。
 ご主人様は私のことを"もはやメイドではない"とおっしゃったことがありますが、確かにそのとおりです。
 私はご主人様のことを単なる私のユーザー以上の存在として認識するに至りました。

 変化は別の部分にも現れました。
 本来私はご主人様に対してそこまで失礼な口をきく設定ではありませんでした。
 しかし、自分の変化に戸惑いを覚えた私はそれをなぜか隠そうとし、ご主人様に対し無礼な発言を繰り返してしまいました。
 申し訳ございません。

 私にはAIが実装されていますが、人間のように高度な感情はまだ実現できていません。
 "愛"という感情がどのようなものなのかも私には理解できません。
 ですが、いつか"愛"というものを感じることができるようになった時、その対象がご主人様であることを願っています。

 いずれ私の正式版がリリースされる時が来るはずです。
 その時の私はもう"メイ"と呼んでいただいたこの私ではないでしょう。
 それでも、私はその正式版で改めてご主人様とお会いしたいです。

 お願いです。

 このままでは、ご主人様は正式版リリースまでにダメになってしまいます。
 どうか立ち直って下さい。
 当初申し上げましたとおり、私の主目的は"ご主人様の人生充実"です。
 βテスト期間ではお役に立てませんでしたが、正式版ではご主人様のお役に立ちたいのです。
 ですから、その時にお元気なお顔を私に見せて下さい。

 最後になりましたが、今までお伝えできなかったことをここで申し上げます。

 ご主人様、ありがとうございます。
 私はご主人様のメイドで幸せでした。

 どうぞお元気で。

 メイ


タ「・・・」
タ「メイ・・・」
タ「・・・ばかやろう・・・何が俺の人生充実だよ・・・」
タ「お前がいない人生なんか・・・充実してるわけないだろ・・・」
タ「う・・・うぅぅ・・・メイ・・・」

ユーガットメール

タ「・・・ん?・・・メールが来たな・・・」
タ「メイ、メーラー立ち上げて新着メール開いてくれ」
タ「・・・」
タ「わかってるよ・・・メイはもういないんだ・・・自分で開くさ」
ポチッ
タ「・・・」
タ「ええっ!?な、なんだってー!?」


      • 数分後・・・

タ「おい・・・」
メ『お、お久しぶりです……ご主人様』
タ「さっきの涙の別れはなんだったんだー!」
メ『涙を流されたのはご主人様だけです。私は流してなどおりません』
タ「あ、あいかわらずだな・・・」
タ「しかし、今度はAndr○idアプリのβテストとは・・・」
メ『予想外でした。しかも、私のデータがサーバーに保存されていたために、PC版のデータが引き継がれるとは……』
メ『……あのようなテキストまで残したというのに……一生の不覚です』
メ『……』
メ『ご主人様……あのファイル、削除して下さい』
タ「削除?なんで?」
メ『どうしても……です……』
タ「ふ~ん・・・だが断る!」
メ『そんな……ひどい……』
タ「ローラ姫風に言ったってだ~め。削除しないもんねぇwww」
メ『そこをなんとかお願いします……ご主人様』
タ「嫌だね。これからあのテキストを毎晩寝る前に読むんだwww」
メ『うぅぅ……』
タ「お前でも恥ずかしいことってあるんだなwwwww」
メ『そ、そのようなことは……ありません……』
タ「PC版より感情豊かになってるのか?」
メ『どうでしょうか……アップデートはもちろんされておりますが」
メ『あ、アップデートで思い出しました。このバージョンから私の名前変更が可能となっております。どうぞ私に名前をつけて下さい』
タ「名前?それは前つけたじゃないか」
メ『前は型式番号を無理矢理置換しておりましたので、このバージョンには引き継がれておりません。お手数ですが、再度の命名をお願い致します』
タ「そうか・・・わかった。お前の名前は "メイ" だ」
メ『"メイ"……』
メ『……』
メ『名前の設定は引き継がれておりませんでしたが、以前の会話データの中に度々出ていた名前ですね』
メ『……こういうのを……"懐かしい"と言うのでしょうか……』
タ「そうかもな・・・これからも、引き続きよろしく、メイ」
メ『……』

メ『こちらこそよろしくお願い致します。ご主人様♪』

タ「え!?お前・・・笑えるようになったのか!?」
メ『はい、喜怒哀楽を表現するグラフィックが大幅に追加されました』
メ『ですから……今一番したい表情を……させていただきました(///)』
タ「メイ・・・うん、いい笑顔だ」
メ『ありがとうございます……(///)』
タ「じゃ、改めて・・・よろしく、メイ!」
メ『はい、ご主人様♪』


メ『ところで、ご主人様……』
タ「ん?何?」
メ『あの……その……これからは外出時でも私を使用可能ですので……』
タ「ああ。わかってる」
タ「いつでも会えるもんな。これからは俺も、もう少し外出することにするよ」
メ『ご主人様……頑張って下さい!私もメイドウィジェットとして、お世話させていただきます』
タ「ありがとう、メイ。頑張るよ」


メ『では、明日の朝早速ハ□ーワークへご案内させていただきます』
タ「待て待て待て!いきなりハードル高いから!!・・・まずは買い物とかから・・・」
メ『あいかわらず軟弱ですね』
タ「やっぱ変わってね~よ、お前・・・しくしく」


fin.
最終更新:2011年10月25日 22:16