48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/24(月) 21:08:59.47 ID:w5CdC52i0 [2/3]
褐色ツンデレに練乳ぶっかけてぺろぺろしたい
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 21:28:43.94 ID:lE+uNN9j0 [6/15]
48 俺のPCハックしたのはお前か。
「おい、お主。この後の予定を開けておくがよい。わらわが招待してやるゆえ、喜べ」
「この素っ頓狂な喋りをしているアホ娘はミリア。ちゃんと名乗るとカナで40文字を超えるので、ミリアとみんな呼ぶ。
地図上のどこにあるかも解らん、もしかしたら架空かもしれない国からやってきた自称お姫様。日本に留学するに辺り、
家庭教師に日本語を習ったそうだが、その家庭教師が生兵法で『お姫様はこう話す』と間違った日本語を教えたためこう
なっている。金髪のウェーブを描いた髪の毛は美しい褐色の肌と相まって『カルピスを浴びせてぺろぺろしたい女性生徒
ランキング』ナンバー1に君臨する女王であごめんなさい痛いです」
「何を言うとるんじゃお主は!!」
思い切り耳をつねり上げられた上に詰問されたので、答える。
「痛いですごめんなさいもうやめて下さい痛いことしないでごめんなさいごめんなさいごめんなさいやめてくださいどう
してそんなことするの痛いです痛いよ痛いおかーさんもうやめてごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「ひぃっ! タカシに悪霊が乗り移った!」
ひたすら無表情に俺が『何を言ったか』を繰り返してみると、ミリアはその琥珀色の瞳を怯えの色に染めて飛びのいた。
ただ、あまり冗談が過ぎると超怖い護衛の人たちが出てくるのでこの辺にしておきます。ちなみに護衛の人たちは全員フ
ードのついたローブを着て顔は鼻まで覆面で覆っており、その面体だというのに現代日本で見咎められることのないステ
ルス機能を持っています。多分アサシン教団とかそういうところ出身と思われます。
「まぁ、それは冗談で退屈だというからミリアのプロフィールを俺なりの所感を織り交ぜて列挙してみたわけだ」
「お主は本当にワケ解らんの……というか、もっとワケ解らんもんがあったが」
「まぁ、家庭教師選びは大事だよな」
「そこではないわ! なんじゃ、あの『カルピス浴びせてぺろぺろ』というのは!」
「そのままの意味ですが。褐色の肌と白い液体が織り成すコントラストを愛でながらも、粘土の高い液体にまみれる不快
感ならびに舌がもたらす刺激に悶える様を楽しみたいという栄誉ある賞。審査員は俺」
「じゃぁ、お前の中だけの賞じゃろが!」
「そうですよ。俺だけの特別ですよ」
「嬉しくない!」
お姫様はご機嫌斜めのようだ。
「あー、話がまるで進まぬ。とりあえず無礼なのは見逃してやるゆえ、わらわの屋敷にこい。というか連れてゆく」
ぱちん、とミリアが指を鳴らすとドアや窓や天井裏や床下やたんすの中からアサシン教団が出現。俺を抱えあげた上に
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 21:29:52.24 ID:lE+uNN9j0 [7/15]
頭に黒い袋を被せて、どこかへ連れ去っていく。
「いい日本語を教えてやろう。こういう状況を拉致監禁という」
「ほほう。面白い冗談じゃな」
そんなハートフルな会話の後で連れ去られる。このまま海とかにドボンとかマジ勘弁だなぁとか思ってると、椅子に座
らされた。そして、袋を取られた俺の目の前に驚きの光景が!
「……お茶会?」
「お茶会じゃが?」
目の前にあるのはよく手入れのされた洋風の庭に出されたテーブルと、その上に並ぶティーカップ。スコーンとジャム
が添えてあるのを見ると、なぜか英国風らしい。
「ははは、急にそんなお姫様みたいなことしなくても」
「姫じゃ! わらわは姫じゃ、たわけ!」
ぐりぐりと俺の頬に指輪を押し付ける。なんか宝石も嵌ってて豪華な作りなのだが、こんなことしてていいのか。
「まったく、日頃の労をいたわってやろうとせっかく思うたのに、台無しではないか」
「え、そんなんだったんですか?」
「う、ま、まぁ、人の上に建つ為政者たるもの、そういうことも考えねばじゃな……」
「いやぁ、俺としてはお茶よりカルピスの方が――」
言葉に詰まったのは尋常ならざる殺気が発せられたからである。
ただし、ミリアの方ではなく、その後ろ。植え込みの中から。
「伏せろ!!」
答えを待たずテーブルを飛び越えてミリアの襟首をつかむと、そのまま椅子ごと押し倒す。テーブルの上にあるものの
半分が床に落ちた。
次の瞬間、テーブルの上に残っていたティーポットが粉々に弾ける。俺は芝生に落ちたフォークをつかむと、銃弾が飛
んで来た方向に投げた。
「ぎぁっ!?」
植え込みの中から悲鳴が上がり、がさがさと音がして侵入者が姿を現した。大柄な外国人の男。その手の中にあるのは
拳銃である。
俺は相手が引き金を引くよりも早く、今度はカップとソーサーを手裏剣の要領で投げつけ、ひるんだ隙に一気に距離を
詰めた。歩法を使い、足音すら立てず目の前に現れた俺に、相手は片言の言葉で漏らす。
「に、ニンジャ……」
「その台詞はお前で6人目だ、チクショウ!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 21:32:07.57 ID:lE+uNN9j0 [8/15]
向けられた拳銃を払って地面に撃たせると、鉤突きをレバーに一発。流れるように膝裏を蹴り抜き、バランスを崩した
ところに後頭部へ膝、顔面は肘という挟撃。砕けるような音と共に、締めには拳銃を持った手をねじり挙げての四方投げ。
相手は死んだ。スイーツ(笑)。いや、嘘。死んでません。多分。
「ふぅ……見たか。奥義、疾風煉獄撃――黒蝿の型(しっぷうれんごくげき――こくじょうのかた)」
地面に落ちた拳銃を遠くに蹴り飛ばしてから、残心を解く。ちなみに技名は今考えた。かっこいいだろ。
さて、それはともかくお姫様は無事だろうか。まぁ、無事だよな。俺が守ってるわけだし――
「きゅぅ……」
……やっべ。お姫様倒れてぴくりとも動かない。
「そんな……くそっ……俺の力が足りないばかりにっ……よし、死体にカルピスをかけよう」
「死んでおらんわ!!」
「知ってます」
ぐわば、と起き上がったミリアに俺は軽く答えた。本当に死んでたら流石にカルピスは封印するよ? ほんとだよ?
「お主はもう少し優しくできんのか!? 毎度毎度、護衛対象を雑に扱いおって!」
芝生の細い葉を払い落としながら、お姫さまぱぷりぷり怒る。親同士の国境と身分を越えた付き合いの結果、俺は彼女
の護衛をすることになってしまった。ちなみに我が家は武道家の一族で、親父殿が素手で倒したという熊の剥製が道場の
床の間に飾ってあったりする。
俺も幼少より色々仕込まれた結果、学校での護衛を任されることになってしまってホイットニーが『エンダアァァァァ!』
と絶叫しそうな高校生活を送っているんだけどもうちょっと刃物とか拳銃とか向けられない生活がしたいなぁ!
しかし、護衛対象がこれほど我がままだと困っちゃうよね。
「そんなこと言ったってなぁ。撃たれるよりマシだろ?」
「じゃぁ、この間わらわの尻を突き飛ばしたのはなんじゃ! 並んで歩いておったのに、わざわざ背後に回りこみ、しゃ
がみこんでまで!」
「柔らかかったです。あとナイスしまぱん」
「感想は聞いておらん!」
指輪ぐりぐりの刑に処されつつ、俺はいかにもお姫様っぽいフリル付の衣装と庶民的なしまぱんの対比に思いを馳せる。
「……やっぱ、ガーターベルトも捨てがたいよね?」
「もう嫌じゃ、このボディーガード!」
命が助かったのに、半泣きのお姫様だった。
終り
最終更新:2011年10月27日 02:53