168 :1/3:2005/08/15(月) 02:18:30 ID:wSmXi5Wk
オーケイ、どうせ規制で本スレには書き込めないんだ。だったらここに書くしかない。
お題は花火。なんか花火だと二番煎じの香りがぷんぷんするが気にしないでくれ。
― ―――― ― ― ―― ――― ――― ―― ――――
「さて、これで全員そろったな。
第一回、『ささやかな花火大会』を始めよう」
なんかもう山田とかノリノリだ!いや、悪いとは言っていないけど。
それよりも、君がなんでここにいるのか、僕はとっても疑問だ!!
「姉さん、その、なんだ、なんでこいつらいるの?
ちなみは別にいいけど、山田とかどうなの実際?」
「…お前が世話になっているだろう。
呼ぶのは当然だ。むしろ何で呼ばなかった?」
すいません、やっぱりぼくは愚弟でいいです。
どうせ、姉さんみたいに気が回りません。
つーわけで、どろどろぐちゃぐちゃの原初の海状態で始まった第一回以下略。
ロケット花火を山田に当てる口実が出来たぞ!日ごろの恨み、はらさでおくべきかッ!
「とどめくらえ、エメラルドスプラッシュッ!!!」
ロケット花火三本に火をつけて、火山花火(置いた筒の上から火が出るやつ)で聖火ランナーしてる山田に発射した。
「な、何をするんだおタカシ!
まっ、まさかっ、聖火を消すつもりかっ!?」
「否、断じて否ッ!!
この俺の目的は、おまえの命の灯火を消すこと也ッ!」
…なんかヤバイこと言ってる気がするけど、今の俺に一般常識は邪魔なだけだ。
よし、ネズミ花火で威嚇し、ロケットでとどめというのはどうか。我ながら完璧すぎる作戦だ。
「…あのバカどもには、ついていけないな。
それより、我々はここで花火を愉しむとしようじゃないか」
「………そうですね、みことさん」
心を磨耗させる外野の冷たい視線など無視よ、無視ッ!
楽しめること楽しんどかないでどーすんだみんなーっ、…ちなみその目やめてくれーッ!!
「ハイエロファントグリーンッ!」
ロケット花火を二発放ち、ネズミ花火を地に奔らせる。
避けるのに必死で、ネズミ花火については気づいてないらしい。
「ファハハハハハハ!
おまえなぁ、数撃ちゃ当たると言う発想だろーが、ちっともあたら――――」
…山田の顔が青褪める。どうやら、ネズミ花火が気付かれた。
しかしもう遅い。いかに山田の運動神経と言えど、このコンマ一秒で跳ぶことはできまい。
神速で走りよるネズミ花火。…あいつにはその姿が、魂を刈り取る鎌に見えたことだろう。
「一瞬の油断…それが、おまえの敗因だよ、山田」
ネズミ花火にビビって、聖火と意識を同時に落とした山田に向かって、そんな言葉を吐き捨てた。
169 :2/3:2005/08/15(月) 02:19:49 ID:wSmXi5Wk
「………意外だった。
……決着、ついたんだね……」
「…ああ?私もちなみも決着つかずにダブルKOに賭けてたんだ、ペリカを。
まぁ、勝者無しと言うことだったし、この賭けについては無効でいいな、ちなみ?」
ちなみは、こくりと頷いた。姉さんと仲いいなぁ、ちなみ。
…ああ、もしかしたら、実弟よりも仲がいいかもしれない。
「あ、その棒花火、ちょっと分けてくれ。
実は、ロケット花火とかしか、持ってきてないんだ」
場の空気が凍る。オーケイ、僕が間違ってたからそんな目で見るのやめてくれよ二人とも。
「…………信じられない。ほんとうに…みことさんの、弟なのかな。
……もしかしたら、きみは橋の下から拾われた…哀しい子供なんじゃない…?」
洒落にならないから、やめてくれちなみ。
「…なぁ、そろそろお前の姉やるの疲れてきたんだが…」
姉さん、それもっと洒落になってない。ぼくのしょうらいがふあんになってきた。
「過ぎたことはもういいだろう!それよりも今は花火だ!花火を楽しむためにきた!!」
半ばキチ■イのように叫ぶ俺。それをまるで屠豚場の豚でも見るかのような目で見る二人。
…もう、精神的にヤバイレベルなんだ。そこら辺わかってくれよ。
「あーあ、遂に壊れたか。
時にちなみ。壊れたテレビを君はどうする?」
「……………捨てる……」
オーケイ、俺の命運決まりました?
「よしちなみ。全部燃やすぞ。いいな?」
「……ええ、最初から…そうするつもりでした………」
両手に持ったたくさんの花火を、一瞬にして使いきりやがった。
「………のこっているのは……これだけ。
……万年金欠の君に、一番…にあってる花火だよ…」
ぽい、と線香花火の束を投げ渡された。
…手持ちはコーヒー飲む金すらないけど、これでも俺は貯金してるんだぞ。
…でもまぁ、確かに、俺の一番好きな花火だったりもする。
彼女らなりの気遣いに、今は感謝するとしようかな――――――。
170 :3/3:2005/08/15(月) 02:20:33 ID:wSmXi5Wk
「………今日はありがとう、みことさん。
……ほんとうに…今日はたのしかったです…」
「礼ならこいつに言え。私は君を誘っただけだ。
企画だとか、そういうことをしたのは、この愚弟にある」
…そうかなぁ。確かに提案したのは俺だけど。
「………ありがとう…」
そんなこと言ったって、俺は感謝される事は一つもしてない。
姉さんみたいに、そこまで気が回らなかったんだから。
「…姉さんが誘ってくれたから、だろ?
俺はただ企画しただけだし。うん、感謝するなら姉さんの方にだよ」
俺も、姉さんに感謝しなくちゃいけないな。
―――――ちなみの笑った顔を、見ることが出来たんだから。
こうして、俺たちは帰路へついた。
ちなみには「送ろうか?」と聞いてみたのだが、断られた。
うーん…連続通り魔が止んだとは言え、なんだか、心配だな。
あいつは、あれでもしっかりものだからな。
…俺が心配するほどのことでもないんだろう。
「どうした、そんなに心配か、愚弟?
…安心しろ。帰り道は、表通りだよ」
姉さんは、きちんと考えてこの場所を選んだわけか。
今日は、楽しかった。まぁ、色々ハプニングはあったけれど。
…でもやっぱり、楽しかったことについては、きっとみんな同じだったと思う。
「今日は、楽しかったな。
…ありがとう、――――タカシ」
ああ――――そうだね。みこと姉さん。
夜空は、消えそうに瞬く星々だけが在る。
…雲がなければ、最高の夜空なのになぁ。
まぁ、贅沢は言っちゃいけないな。
今日は、とても楽しい一日を過ごせたんだ。
―――――――それだけでも、カミサマに感謝するべきかもな。
最終更新:2011年10月27日 19:23