829 :名無しさん:2006/03/21(火) 16:46:16 ID:4rF/LUXw
- 料理がヘタなツンデレがつくった弁当をうまいといいながら完食する男
「ほら、さっさと屋上行くわよ!」
「はいはい、分かったから」
「勘違いは絶対しないでよね。昨日『下手』って言ったの、後悔させるためだから!」
「分かってるって」
「そいじゃ、いただきます」
「…………(じー・・・」
「……そんなに見られると、逆に食べづらいんだけど」
「き、気になるから仕方ないでしょ……」
「(ま、食べるか……)」
■■■■ここからタカシの心中■■■■
よし、まずはメインらしき肉からいくか。
…………! ……!? ちょ、炭、外側炭になってるこれ! 何故そこまで放置出来る!?
……いや落ち着け俺、食パンの耳が焦げてるのは好きだろう? 食える、これは食物だ。
■■■■ここまでタカシの心中■■■■
「……美味いな」
「……で、でしょ?」
■■■■ここからまたタカシの心中■■■■
次は……まぁ、野菜炒めあたりか。無難だし。
………………!? だから何故炭の味がするんだ!?
しかも、もやしの水分がまたエライ事に…………お、落ち着け俺。
焦げた魚は結構好きじゃないか。それに内臓だってお手のもの、そうこれは野菜炒めだ。
食えないはずが無い。……しかし、かなみの奴なんか勢いが無くなったな……。
■■■■ここまでタカシの心中■■■■
―――10分後。
「ごちそうさま。美味かったよ」
「…………ぃ」
「これだけ美味かったら、毎日――」
「……美味しい訳ないじゃない!? 今朝自分でも食べたわよ! とんでもなくマズかった!!」
「(…………自分でそう思うなら持ってこなきゃ……いや、今はそんなこと考えてる場合じゃ……)」
「まずいって、笑えばいいじゃない! それなにアンタは、あんたはっ……」
「(……傷つくよな、自覚あるんなら。あーもう、俺の馬鹿)」
「どうしてそんなに優しいのよ……うう、グスっ」
……かなみはそのまま泣き出してしまって、俺はただ慰めるしか出来なかった。
「…………ねぇ、タカシ」
「ん?」
「せめて口直しにと思ってね、カップケーキ作ってきたから……」
「おう」
「オーブンは失敗しないから。種つくるくらい、私にだって出来るし……」
「ん、ありがと。貰うな (ぱくっ」
「…………」
「美味いよ、これは。塩味が斬新だ」
「……………………(ゴゴゴゴゴゴ」
「(か、かなみから物凄いオーラが!? 俺は何か間違ったのか!?)」
「もう絶対、料理なんてしなああああああああああああああい!!!!!!!!!」
「おちっ、落ち着けかなみぃぃぃぃぃぃ!!!」
その後、料理の事に関して俺とかなみが仲直りするのは、1ヶ月も先の事になる。
塩味のカップケーキ、結構美味しかったんだけどな…………本当に。
最終更新:2011年10月27日 19:28