195 名前:1/[] 投稿日:2011/10/26(水) 06:12:42.27 ID:AKxlBApg0 [2/5]
生徒会室から外を眺めると夕暮れも終わりかけで紫色の空が見えかけていた。
「あー・・・めんどくせー書類整理めんどくせー」
「めんどくさがってないで手を動かしてください」
そう言ったのは机を挟んで向かいにいる女の子だった。
肩までかかった黒い髪ときりっとした眉毛、つり目が特徴な子で俺の後輩にあたる。
「そもそもこれ二人でやる量じゃないよな」
目の前に山のように積まれた紙を見てつぶやく。
そもそもこれは生徒会全員でやるものだったのにどうしてこうなった。
「会長は忙しいからって俺たちに押しつけやがって・・・」
「俺たちじゃなくて先輩だけにでしょう。それなのに私まで・・・先輩には死んでほしいです。」
「だって山田は体調不良とかで休みだし、友子はお見舞い行くって言ってたし・・・」
「はぁ・・・それで友達がいない先輩は私に頼ったわけですね」
可哀想にという冷たい目で俺を見てくる後輩だった。
196 名前:2/3[] 投稿日:2011/10/26(水) 06:13:50.66 ID:AKxlBApg0 [3/5]
「だいたい私も暇じゃなかったんですけど、先輩がどうしてもというから仕方なくですね」
「仕方なくという割にはかなりの見返りを要求してきたよな」
「当たり前でしょう、ちゃんと駅前のアレ奢ってくださいよ」
「・・・いつも思うんだが先輩を先輩と見てないな」
「じゃあ先輩らしくしてください」
「ぐぬぬ・・・ホント後輩ちゃんは手厳しいな」
「後輩ちゃん言わないでください、私には秋月楓って名前があるんですよ?」
「じゃあ楓ちゃん」
「なに馴れ馴れしくちゃん付けしてるんですか?死んでください」
さっきから俺に死んで欲しがってる後輩である。というかなんでこんなに嫌われているんだろ
本気で嫌っているわけじゃないのは分かっているけどなー。
そんなことを考えたり、楓ちゃんといろいろ話していると作業が終わる頃には19時を過ぎていた
「やっと終わったー!!」
「ふぅ・・・かなり時間がかかりましたね」
「そうだなーってあの店閉まってるじゃん」
「あっ・・・そうですね、では晩ご飯をなにか奢ってもらいます」
「晩ご飯?」
「ええ、ちょうど今日は親が遅いからなにか外で食事しようと考えてましたので」
「うーん、まあいいや、楓ちゃんのお願いならしかたない。とりあえず駅に向かうか」
そう言って俺たちは学校を出て駅へ向かう。俺の家は駅の向こう側で楓ちゃんは駅の三つ先から来てるとかなんとか。
ちなみに会長から報酬として2000円もらってるのでお金の方は大丈夫だったりする。
197 名前:3/4[] 投稿日:2011/10/26(水) 06:14:56.17 ID:AKxlBApg0 [4/5]
「マクドナルドでいい?」
「はぁ?」
なに言ってんだこいつという目と口調で俺を見てくる楓ちゃん。女の子がする目じゃない・・・
「冗談だって、冗談」
「はははそうですよね。まったく冗談は存在だけにしてくださいよ」
「俺って存在が冗談なの!?」
「冗談みたいな人ですよ?」
「まあそれは置いといてだな、駅前におしゃれなパスタ屋があるからそこ行こう。俺も何度か誘われて行ってるし」
「さ、誘われてって誰にですか!?」
「い、妹だよ、妹」
やけに食いつきがいい後輩であった。
「妹さんですか・・・先輩は彼女がいないですものね」
「え?いるよ?」
「え、嘘!?」
「ウソです」
「またそんなくだらない嘘を・・・そんなのだから彼女ができないんですよ」
「うるせー、じゃあ楓ちゃんは彼氏いるのかよ。そもそも好きな人がいるかどうかすら怪しいぜ」
「す、好きな人ぐらいはいますよ!」
「へーどんな人よ」
「それは・・・そ、それは秘密です!」
198 名前:4/4[] 投稿日:2011/10/26(水) 06:15:37.25 ID:AKxlBApg0 [5/5]
そんなこんなで食事を済まし、別れる際楓ちゃんは
「先輩のくせにあんな店知ってるなんて・・・」
「先輩のくせにってなんだ、そもそも妹の勧めだから」
「ま、おいしかったです。それと今度はちゃんと先輩の奢りで駅前のアレお願いしますよ」
「いや、ご飯奢ったじゃん」
「これは会長のお金でしょう?」
「う、そうだけど・・・あーわかったよ。また今度な」
「では楽しみにしてます。それではまた明日」
「んじゃまた明日な」
終わり
最終更新:2011年11月03日 01:57