92 名前:1/2[] 投稿日:2011/11/01(火) 02:41:06.82 ID:S44cJu9b0 [1/2]
【超能力ちなみん】

 ちなみが超能力を身につけた、と言い張る。
「へー。それはすごい」
「……今日もタカシは全く私の言うことを信用していない。貧乳の言は信用に足らず、とタカシは言う」
「そこまでは言ってねえ」
「……ちなみのちっちゃいおっぱいを揉みしだきてえ、とタカシは言う」
「いっ、言ってねえ」
「……動揺が見られる。揉むむ?」
「揉ままない!」
「……残念」
「お前なあ……もうちょっと、なんつーか、男に対して警戒心を露にしろ。いつか食われるぞ」
「……タカシはいつだって私を独占したがっている。やれやれ、もてる女は辛い」
「殴りましょうか」
「……いじめるの?」(嘘泣き)
「いじめません」(なでなで)
 嘘だって完全に分かっているというのに、俺という生物は泣かれると何もできなくなるので厄介です。
「……タカシは今日も簡単だ。やーいばーかばーか」
「…………」(なでなでから頬引っ張りに完全移行)
「おおおおお?」
「はぁ……冗談はともかく、マジに気をつけろよ? 世の中俺みたいなチキンばっかじゃねーんだから」
「……だいじょぶ。タカシにしかしないから」
「やれやれ、もてる男は辛い」
「…………」
「無言で頬を染めるなッ!」
「そ、染めてない。た、タカシの勘違い。や、やれやれ、これだからもてない野郎は」
 ……まあいい。ここをほじくり返すと互いにダメージを受けそうだ。
「そ、それで、えと……そう。超能力」
「そ、そうか。それはすごいな」
 お互いに先ほどの空気を打ち消すべく、一緒になって話題を転換させる。

93 名前:2/2[] 投稿日:2011/11/01(火) 02:41:48.09 ID:S44cJu9b0 [2/2]
「そ、そう、すごい。……こんな感じ。えい」
「お?」
 ちなみが何やら念じると、俺の手が勝手に動いた。
「手が! 俺の手が!」
「……超能力。すごい?」
「うわ、これはマジにすげえ! どうやったんだ?」
「……なんか、寝て起きたら使えるようになってた」
「コメントのしようがないです」
「……頑張った。褒める?」
「頑張った要素がないので褒めません」
「…………」(不満げ)
「怒るな。それより、そろそろ解放してはくれまいか。手が動かないのですが」
「……頑張った私を褒めないタカシなんて知らない。……こーしてくれる」
「お?」
 俺の手が俺ならざる力にいざなわれ、ちなみを抱きしめています。
「……やれやれ、タカシは私が大好きすぎる」
「俺の意思が介在していないのに」
「……嫌いと申すか」(半泣き)
「そうは申さぬけど!」(なでなで)
「……むふー。……ん? なでろって命令してないのに、なでられてる」
「ん、ああ。たぶん超能力なんかよりも、『ちなみをなでねば!』という俺の意志力が上回ったのだろう。たぶん」
「……そんなに人を擦りたいのか。……タカシの性癖はちょっとおかしい」
「ちげーよ。泣いてるお前見てるの苦手だから、なでずにはいられないんだよ」
「…………。や、やれやれ。これだからタカシは、その、アレだ。ダメだ」
「もうちょっと語彙をどうにかしてください」
「う、うるさい、ばか。……あの」
「ん?」
「……な、なんでもない」
 珍しく顔中を真っ赤にさせ、ただじっとうつむいて俺に頭をなでられるちなみだった。
最終更新:2011年11月03日 02:37