212 名前:1/3[] 投稿日:2011/11/07(月) 07:01:18.10 ID:x3ZjHwtR0 [1/3]
保守代わり
「うわ、わ」
降り始めたばかりの雨の中、急いで雨宿りできるところを探す。
予報では夜から雨だったので下校時は大丈夫かと思ったけど保たなかったようだ。
近くのコンビニに急いで入る、そしてなけなしのお金で傘を買った。さらばジャンプよ・・・。
コンビニから出ると、鞄を傘代わりにした一人の女学生がこちらに駆け寄ってきた。
「あ、先輩・・・」
「もしかして傘を忘れたの?」
「忘れてません、持ってきてないだけです・・・」
先輩にこんなところを見られるなんてという顔をして、ため息をついた。
先輩を先輩と思ってない後輩である。
「じゃあな」
「では」
213 名前:2/3[] 投稿日:2011/11/07(月) 07:01:54.37 ID:x3ZjHwtR0 [2/3]
そういって傘を差し、コンビニから出る。
少し歩いて振り返った、さっきの後輩がハンカチで濡れた髪を拭いているのを見る。
そして・・・
「なにか忘れ物ですか」
「確か家は駅の方だよな、俺もそっちだから一緒に帰ろうぜ」
「はぁ・・・まぁお言葉に甘えさせてもらいます」
そして二人は一つの傘の下歩き出す。
「先輩、肩が濡れてますもう少し傘をこっちに寄こしてください」
「そんなことしたら俺が濡れるんだが」
「そんなこと知りませんよ。女性に優しくないとモテませんよ?」
「うるせーモテなくて悪かったな」
「でもモテない方がいいんですけど」
「おい、どういうことだおい」
「それは自分で考えてください」
214 名前:3/3[] 投稿日:2011/11/07(月) 07:02:57.45 ID:x3ZjHwtR0 [3/3]
そんなことを言いながら去って行く二人を私は眺める。
さて、そろそろ行きますか。買ったばかりの傘を差し歩き出す。
歩道へ出たとき横から何かがぶつかりそうになった。
「おっとすいません、ってあれ友ちゃんだ」
「あっ山田」
「ナイスタイミング!ちょっと中に入れさせて」
返事を待たずに山田は強引に傘の中に入ってきた。傘の下が狭くなる。
「ちょ、なに入ってきてるのよ!」
「傘忘れちゃってさー、急いで帰ろうとしたら友ちゃんと偶然会ったわけだし」
「だったら最後まで走って帰りなさいよ」
「そんなこと言わずに一緒に帰ろうよ。傘も荷物も持つし」
傘と荷物を強引に取り上げられ山田が横に並ぶ。
「まったく・・・ちゃんとこっちに傾けなさい、濡れるでしょ」
「はいはい」
「はいは一回でいいのよ」
「はい、分かりましたっと」
そんな会話をしながら私たちは雨の中帰り道を歩く。
たまにはこんなのも良いなと思いながら。
最終更新:2011年11月10日 00:17