3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/16(水) 18:41:26.79 ID:DUr1KVbr0 [3/13]
お題
  • お姫様に憧れるちゅんでれ
  • ツンデレに「お前の理想のタイプってどんなの?」って聞いてみたら

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/16(水) 22:50:00.31 ID:gSaU5RBs0 [1/4]
3のお題で三レスもらいますー

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/16(水) 22:51:08.11 ID:gSaU5RBs0 [2/4]
  • ツンデレに「お前の理想のタイプってどんなの?」って聞いてみたら

「あーもう、今日は疲れたからちょっと休憩!」
 いつものように、教え子であるまりに勉強を教えてやっていると、彼女は急にそんなことを言い出した。
「まだ一時間もやってないだろうが」
 半ば諦めのこもった声で諭してみるが、彼女のわがままは、今までの経験から言ってまず収まらないだろう。
「短時間でも集中したから疲れたの!」
 ほれ見ろ。
「……あーそうかい。んじゃ、しばらく休憩するか」
「ねー、コウジ、ちょっと近くのコンビニ行ってプリン買ってきてよ」
「やなこった。そりゃ、家庭教師の仕事じゃないだろが。だいたい、外かなりさみいし」
「ケチ。……あーあ、コウジがそんなんだから、なおさらやる気なくなっちゃった……生徒にやる気出させるのも家庭教師の仕事じゃない?」
「そういうのを詭弁だってんだよ。……はあ、外に出ないようなことなら、やってやるから、やる気出せよ」
 仕方ないので妥協してやることにする。まあ、謝礼もらってるんだし、その分は仕事しないとな。
 まりだって、気まぐれ者ではあるが、根は割と真面目だし、こっちがちゃんと対応してやれば向こうからやる気になるだろう、多分。
「えー、私は今どうしてもプリンが食べたいのにー!」
「そんなに食べたいなら自分で買ってきなさい」
「はあ? こんなに寒いのに外なんか出るわけないじゃん。ばっかじゃないの?」
「…………」
 ったく、このガキは。
「太るぞ」
「うっ……だ、大丈夫だもん、晩ごはんの量減らせば良いし」
「あのなあ、まだまだ育ち盛りなんだから、食生活はちゃんとしないと駄目だぞ……一生、貧乳のままでいいのか?」
「一言多いのよ、変態!」
「ははは、冗談だって……まあ実際、お前はむしろ、もうちょっと食べた方が良いんじゃないかとは思うけどな」
 中学生にしてはスタイルが良いとは思うが……いかんせんかなり細身なので、すぐに体を壊しそうで心配だし。
「ふん、これだから男は。私がどれだけ努力して体型を維持してるかも知らないくせに……」
「そりゃ、女の子のそういう苦労はわかんないけどさ、俺は、お前は痩せすぎてるように見えて心配なんだよ」
 俺がそう言うと、まりは顔を赤くしてしばらく黙ってしまう。
「……う、べ、別に大丈夫よ、健康には気を使ってるつもりだし……こ、コウジに心配されなくたって……」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/16(水) 22:53:49.83 ID:gSaU5RBs0 [3/4]
「……なら、良いんだけどな」
 俺はため息をついて、そう呟くように言った。すると、いつも気丈な彼女にしては珍しく、おどおどしながら、聞いてくる。
「あ、あの……そのさ、コウジって、もうちょっと、その、肉付きが良い方が好み、なの?」
「ん? まあそうかなあ、あんま痩せぎすだと、見ててなんか不安になるしなあ……」
 ついでに言うと、おっぱいがデカイとなお良いんだが、これは言わないでおく。また変態扱いされたらたまらんし。
「ふ、ふーん、そなんだ、へー……ま、まあ、コウジの好みなんかどうでも良いんだけどね!? ちょ、ちょっとは、参考になるかなって思っただけだしっ」
 なんだか、感慨深げに呟いたかと思えば、慌てたように取り繕うまりに、なんだか俺まで気圧されてしまう。
「そ、そうか……あー、そういや、そう言うお前はどういうタイプが好きなんだよ」
「ふゃ!? な、な、何よいきなりっ?」
 話題を変えようと、何気なく言ったつもりが、何故かまた、まりは顔を真っ赤にして慌て出す。
「あ、いや、言いたくないなら、いいんだけどよ」
「べ、別に、言いたくないわけじゃないわよ……」
 顔を真っ赤にしたまま、彼女は俯いてそう言った。
(あれ、何だこの空気? なんだか、妙に緊張してきた……)
 まるで、彼女は今から好きな男子に告白するんじゃないかってくらいの気迫を放っている。そんなに恥ずかしいなら、好きなタイプなんて言わなくても良いのに……。
 俺は単に雑談のつもりで口にしたんだが……。
「えっとね、私は、けっこう、その、年上が好きなのよね」
「へー……ってことは、同年代じゃなくて、高校生とかの方が憧れるわけか」
 まあそういう気持ちはわからんでもないな。中学生の時分なら、高校生が凄く大人っぽく見えるもんだし。
「ち、違うわよ、もっと上よ」
「もっと上? ……じゃ、大学生くらいってことか?」
 だとすれば、奇しくも俺ぐらいの年のやつが理想ってわけだ。
「ま、まあ、そうなるわね、高校生なんてあんまり今と代わり映えしなさそうだし……」
 彼女らしい生意気な口上を述べつつ、なんだか、こっちにチラチラと視線を寄越してくる。
「どした? 俺の顔になんか付いてるか?」
「べ、別に! ……そ、それでね、あとはそうね、やっぱり私のことを細かいとこまで気遣ってくれるような人が良いわね」
「なるほど、まあそりゃ普通は優しい彼氏の方が良いわな」
 そう答えると、まりは釈然としないと言った面持ちで少し黙ってしまった。
「…………はあ。えーと……あ、あと、これも大事なんだけど、優しいだけじゃなくて、ちゃんと私の駄目なところとかを叱ってくれるような人が良いわ!」
「おお、そりゃ確かに大事だな、だいたい、彼女を好きなだけ甘やかすようなやつには、ろくなのがいない」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/16(水) 22:56:29.16 ID:gSaU5RBs0 [4/4]
 と、俺がそれなりに真面目な意見を言ったにも関わらず、まりはどんどん不機嫌な面構えになって、むっつりと黙り込んでしまう。
「あのー、なんか俺、悪いこと言ったかな?」
「べっつっにー。ただ、コウジはやっぱりどうしようもない唐変木だと思っただけよ」
「は、はあ……」
 さっぱりわからん。あいつの好きな異性のタイプについて話してただけなのに、なんでここで俺の悪口が出てくるんだ?
「はあ~あ、すっかりやる気なくなっちゃったわねー……誰かさんのせいで」
 そして、なんで、俺がここで睨まれるのかもよくわからん。
「あー、やっぱりプリン買ってきてやろうか?」
「いいわよ、もう!」
 どうも完全に機嫌を損ねてしまったらしく、言葉も刺々しい。
 ここは一つ、まりの機嫌を直すようなことをしてやらんと……。
 そう考えると、一つ思い当たることがあった。
(そういや、いつもこうされると落ち着くって言ってたな……)
 俺は、一か八か、私は今完全に怒ってますよ、と言わんばかりに、そっぽを向いているまりの頭に手を乗せると、ゆっくり撫で始めた。
「ふぁ!? う、何すんのよ、いきなり……」
「いやほら、さっき、やる気出るように何かやってやるって言ったろ?」
「だ、だからって、こんな……ん、んぅ……」
 どうやら上手くいったらしく、まりは吊り上げていた眉を戻すと、母親に抱かれて安心した幼子のように頬を緩ませる。
「…………はっ! い、言っとくけどねえ、これくらいじゃあ、全然やる気なんて出ないんだからね……えと、その、だから……い、いつもよりいっぱい撫で撫でしないと駄目なんだからっ、分かった?」
 明らかに表情が緩みそうになるのをこらえながら、そんなことを言うまりに、こっちもにやけそうになりながら、了解、とだけ答える。
「えへへ、それで良いのよ……ん、みゅう……」
 すると、幸せそうに微笑みながら、そんな風に声を漏らすものだから……不覚にもこいつ可愛いなあとか思っちゃう俺なのだった。
最終更新:2011年11月19日 02:17