[19] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/17(木) 19:30:29.46 ID:qmDbtl9H0

えー昔から碁将棋に凝ると親の死に目に会えないなんて昔からいいますが、今は碁将棋だけじゃなく色々と楽しいものがいくらもありますね。
しかし昔は娯楽なんてのが多くありませんでしたから碁将棋や仲間内で集まって酒を飲んだり丸くなって悪戯する。
そして時間を忘れて夢中になる。締め出しを食らうなんてよくあったそうです。

「母さん、ごめんなさい。明日から早く帰るからここ開けてよ。ねぇ母さん?」
「父さん、明日から早く帰るから開けてくれよ」
「ねぇ母さん、開けてよ」「ねぇ父さん、開けてくれよ」
「掛け合いになってるわね……。何よ。誰かと思ったら向いのタカシじゃない」
「そっちも誰かと思ったら、向いのカナミか。今日はどうしたの?」
「ちょっと友達と将棋やってて締め出されちゃったのよ……そっちは?」
「俺もちょっと友達の集まりで遅くなって締め出し食っちまったよ。」
「どうせ博打かなんかやってたんでしょ?しょうがない奴ね……締め出されて当り前よ。」
「そんな言い方ないだろ……その通りなんだけど……カナミはこれからどうするの?」
「家の母さんは強情だから、友子の家に泊めてもらおうと思ってるわよ。」
「なぁそれの友達に頼んで俺も一緒に泊めてくれるようにならないかな?」
「駄目に決まってるじゃないの!!こんな夜遅くに知らない男なんて引っ張って行けるわけないでしょ!!」
「知らないことないよ。知ってるよ、友子ってあれだろ?あの、いつもカメラ持って走り回ってるあの新聞屋の。」
「カメラに新聞って……時代設定が何時なのか分かんないわよ……。」
「ねぇ頼むよ!!このままだとまた朝までここで戸を叩くことになるんだよ……。」
「駄目!!あの子は何でも自分ひとりで飲み込んでひっかきまわすんだから……。そんな子の家に男なんて連れて行ったらどう思われるかわかんないじゃないっ!!」
「別にどう思われてもいいじゃん。お互いに何もないんだから……。」
「あんたがよくても私は嫌なのっ!!……それに何ともないとか酷いじゃ……ゴニョゴニョ……」
「何か言ったか?」
「べ、別に何でも無いわよっ!!///とにかく嫌なもんは嫌なのっ!!あんたは朝までそこで戸を叩いてなさいっ!!///」
「なぁ頼むよ……。」
「嫌よ!!」
「何でも言うこと聞くから……。」
「……な、何でも?」
「……多分……。」

[20] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/17(木) 19:31:29.36 ID:qmDbtl9H0
「なら駄目」
「そんなこと言わずにさぁ……頼むよ。」
「嫌よっ!!私は行くけどあんたはそこで戸を叩いて開けてもらいなさいっ!!付いてきちゃ駄目よっ!!」
「まったく……何でタカシはあんなに図々しいのかしら……。」
「どうせ俺は図々しいよ。」
「付いてきちゃ駄目って言ったでしょっ!!早くあっち行きなさいっ!!」
「付いてきちゃ駄目って言ってるのに付いてくるんだから……もう離れたかしら?」
「まだいるよ。」
「だから付いてこないでよ!!もうこうなったら走って早く友子の家に入って中から締めちゃおう。」



ドンドン ドンドン ドンドン
「友子!!開けて!!早く!!友子!!迫ってるからっ!!」
ドンドン ドンドン ドンドン
「……ふぁあ……うるさいわね……トロトロっとしたかと思うとすぐ友子友子って起こすんだもん……わかったわよ!!そんな叩かなくても開けるわよ!!」
ドンドンドンドンドンドン
「分かってるって言ってるでしょ!!また将棋で締め出されたんでしょ……決まってるわよ……女の私から見ても可愛い顔してるのに……若い女が将棋なんかで締め出されるんじゃないわよ……たまには男でも引っ張ってきて見なさいよ……。」
ドンドンドンドンドンドン
「分かったわよ!!そんなに叩かないでも開けるわよ」ガラッ
「はい。開けたわよ。早く入りなさい。」
「…………………。」
「何してんの?早く入りなさいよ。」
「だから私は嫌だって言ったのよっ!!」
「……私の方が嫌よ。」
「……私はいい面の皮なんだからっ!!」
「……寝てるとこ叩き起こされた私の方がいい面の皮よ……。」
「……ずっと戸を叩けって言ったのよっ!?」
「ずっと戸を叩かれたら迷惑よ……なにしてんの早く入りなさいっ……あんたのせいでこっちは毎晩寝そびれてるのよ!!」
「……ってお連れ様があるんじゃないの……紹介も無しに一人で先に入っちゃって薄情ね……まったく……。」

[21] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/17(木) 19:32:22.97 ID:qmDbtl9H0
「……うまくやったわね……。」ボソッ
「違うのよ!!友子これには訳が!!」
「分かってるわよ!!私には全部わかってるの!!何か言うんじゃないわよ!!私に任せときなさい!!しっかり纏めて上げるから!!」
「纏めちゃ困るのよ!!」
「良いから何も言わないでいいのよ!!分かってる!!」
「だから違うのよ!!」
「ここまで来て恥ずかしがることないじゃないの!!あんたがそこにいると兄さんが入りにくいから先に上にあがっちゃいなさい!!わーわー言ってるとあんたのあることないこと言いふらすわよ!!まったく、うまくやったわね……どうぞこっちにお入りください。」
「どうも、夜分遅くにすみません。」
「いや良いんですよ。むしろこういうことは夜遅い方がいいもんですよ。」
「カナミが駄目だって言うのに無理やりついてきちゃって……。」
「いやいや良いんですよ。こっちは待ちわびてたくらいですから。もうあの子は2階に上がっちゃってますから、どうぞ。」
「カナミー布団が一組しかないからね。今日は仲良く寝るのよ!!明日になったら私がおじさんとおばさんに話をして巧くまとめるから!!」
「だから言ったじゃないっ!!付いてきちゃ駄目だってっ!!連れてきていいならあんなに嫌がったりしないわよっ!!こんなところでふ、二人っきりにされるのよっ!?//////」
「いくらこっちが話を聞いてもらおうと思っても何でも一人で飲み込んでこんな所に……ふ……ふた……ふたりっきりに……//////」
「悪かったよ……そんな顔真っ赤にして怒らなくてもいいじゃないか……俺が悪かったんだから……仕方ないし、このまま朝まで起きてるわけにもいかないからここで泊らせてもらって。」
「泊めてもらってって言うけどね。ふ、布団が一つしかないのよっ!?//////ふふ布団が一つで、どどどどうやって寝るのよっ!?//////」
「カナミの友達の家なんだし、俺は起きてるからカナミが寝てくれよ。」
「そうは行かないわよっ!!///寝てる間に何されるかわかったもんじゃないわっ!!///」
「なんにもしねーよ!!」
「……それはそれで……ゴニョゴニョ……//////」
「何?」
「べ、別に何でも無いわよっ!!///私が起きてるからあんたが寝なさいよっ!!」
「いや俺が起きてるよ。」
「分かんない人ねっ!!……寝顔が見れるしゴニョゴニョ……//////」
「いやだから俺が起きてるって!!」
「私が起きてるわよっ!!」
「何?もう揉めてるの?大きな声出したりして……ちょっと早すぎるんじゃないの?明日になったらちゃんと話しつけて上げるから今日は仲良く寝なさいよ。寝ないなら私が上がって行って二人が寝るまでちゃんと監視してるわよ?」
「もう弱ったわね……あぁいう子なんだから……何とか寝ないといけないんだけど布団が一つじゃ寝られないし……そうだこの紐を真ん中に引いて……っと、ここからこっちに入ってきちゃ駄目よっ!!絶対に入っちゃ駄目だからねっ!!絶対に絶対よっ!!」
「……それはダチョウ倶楽部的な意味で?」
「ち、違うわよっ!!//////」

[22] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/17(木) 19:33:10.01 ID:qmDbtl9H0
「分かったよ……入らないよ……どうせ寝ちゃうと分かんないんだし……。」
「絶対に入ってきちゃ駄目だからねっ!!//////」
「わかったよ」

なんて大変な騒ぎです。
さて、寝るとは言ったものの同じ部屋の同じ布団の中に男女が一緒にいるわけですからどっちも寝られません。自分以外のぬくもりが布団の中にあって何かこういいもんです……いや、いいもんだそうですね。そんな美味しい思いしたことないので解りませんが……。

…………何かもう書くの嫌になって来た……なんだこれ……。青春し過ぎだろこれ。今の俺なら嫉妬心で何でもできるきがする……。後ちょっとだから書くけどさ。

さて、二人とも寝られないでモゾモゾしているとポツリポツリと雨が降ってきました。
「……雨が降って来たね。」
「……そうね。」
「そういや昔、雨は淋しいって言ってたな。」
「今更になって幼馴染設定とか出すの?」
「出すの。」
「酷いわね……まぁいいわ。何でそんな前のこと覚えてんのよ……//////」
「んー?覚えてた訳じゃないのかな?今なんとなく思いだした。」
何ていい感じの会話してるからかは知りませんが、多分雷様も怒ってゴロゴロ言い始めました。
「ゴ、ゴロゴロ言ってるわね……。」
「そうだなー。雷も苦手だったよなー。」
「べ、別に今は大丈夫よ!?//////」
「だといいけどなー。」
なんて会話してるとピカッと光ってドーンってんで近くに落ちました。
強がっていたカナミさんもやっぱり怖かった見たいです。
あまりの恐さに「キャー」と言ってタカシの胸元に飛び込んだ。
するとカナミの、というより女の子特有のあの妙にいい香りがタカシの鼻の中にプーンっと入ると思わず知らずにカナミの両肩を抱いてギューっと抱きしめた。
カナミさんもあんなに入ってくるなだのなんだの言ってたのにまんざらじゃない様子で自分も体を預けた。
すると燃え立つような真っ赤な着物の下から雪の様に白いカナミの足がスーッと出た。

[23] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/17(木) 19:34:07.58 ID:qmDbtl9H0
















こっから先は何故か資料が破けてて読めなくなってまして、失礼をいたしました。







以上です。
久し振りに落語で書いてみました。
このまんまだけど元の噺は「宮戸川」です。
一応前後篇でこの話までが全編です。
この後も「一晩を過ごし、他人じゃなくなってた二人は~」とか続いて夫婦になるんだけど、夢にせよレイプされて殺される描写があったりして、カナミさんのそんな姿を書くのが嫌だったのでここまでです。
スレ汚しサーセンでした。
最終更新:2011年11月19日 02:24