44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 17:22:15.97 ID:C/0tJFUQ0 [9/42]
お題
つ・色々計画は立てていたのに、結局何にもせずに一日を終えてしまったツンデレ
60 名前:三人称視点で書くのは難しいねって言う妄想[] 投稿日:2011/11/23(水) 18:44:19.48 ID:ccdSer760 [1/6]
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「……どうせ、タカシの奴はせっかくの祝日にも予定なんかないに違いない……」
自室で、気合いを入れておめかしをした少女・ちなみは、誰に言うでもなく呟いた。
「……だ、だから、可哀想だし、私がで、デート、いや、ショッピングの荷物運びに誘ってやろう、うん……」
そう決意を込めた、独り言を吐き出すと、彼女はこれからの予定について、空想を膨らませ始めた。気づいているのか、いないのか、その顔はにやにやとした笑みを浮かべている。
「……そ、それで、ショッピングの後は映画を見て……カフェで映画の話しながら、ご飯食べて……えへ、えへへへ」
しかし、そんな、薔薇色の妄想を楽しんでいるうちに……彼女の気づかぬ間に、日は大分低くなってしまっていた。
「……あ、あれ? うそ、もうこんな時間……」
時計を見て、自分の失態に気づいたちなみは、途端に涙目になってしまう。
「……そ、そんな……うぅ……」
と、彼女の涙を断ち切るように、携帯の着信を告げるメロディが部屋に響く。
「……ぐすっ、誰よ、こんなときに……って、た、タカシ!?」
予想外の相手に驚きながらも、ちなみは慌てて電話に出た。
「……もしもし?」
『おっす、今話せるかー?』
「……まあ、タカシのために、私の貴重な時間を多少は割いてやってもいい……」
『うは、相変わらずだなー、ちなみんは』
「……そ、その呼び方は、やめろといつも……」
『おお、わりーわりー。で、用件なんだけど、土日空いてたら、映画でも見に行かね? 実はバイト先の先輩から今日、半額券もらってよ』
「……えっ映画!?」
想い人からの、予想外の申し出に、ちなみは動揺を隠しきれなかった。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/23(水) 18:45:22.11 ID:ccdSer760 [2/6]
『そーそー、まあ、嫌なら一人寂しく行くけどさ……二枚あるから、どうせならと思って』
「……映画、のあと……買い物に付き合うというなら……独り身のタカシが可哀想だし、一緒に行ってやる……」
『えー、また荷物持ちかよ』
「……い、嫌なの?」
『別に、嫌ってわけじゃねえけど、疲れるからなあ……ってか、なんかさっきから、お前涙声っぽいけど、大丈夫か?』
「……っ、べ、別に、泣いてなんかないし、タカシの気のせい……」
『そうか? ならいいけどよ……それじゃ、また明日、学校でな』
「……うん、また明日……」
電話が切れた後も、ちなみは携帯を握ったまま、しばらくぼーっと壁を見つめていた。
「……まったく、タカシめ、私より早く誘ってくるなんて……生意気なんだから……」
よく意味のわからない文句を呟きながらも、しかし、ちなみの頬は幸せそうに緩められていたのだった。
最終更新:2011年11月29日 00:41