599 名前:1[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 02:11:45.62 ID:YOQ218ox0 [1/3]
沸いたので書いた。3つ下さい。
大学の授業もサボりの時期に突入した。しかし四年ともなると、ゼミと卒論関連だけは
サボれない……おかげさまで、朝っぱらから大学という良い子っぷり。
今日も今日とて、作業用に借りた図書室内のスタディルームで、面倒を見てくれる研究
生の先輩を待つ。
ちなみに真面目な院生の先輩なので、朝っぱらから容赦ない。
用事がなければ授業以外は常時張りっぱなしで、そのうち胃に穴でも開くかも。
――と、噂をすれば本人の登場。
「おはようございます尊さん」
「あ、タカシおはよ~」
………………あれ。
「…………だ、誰だアンタは!?」
「え、いやだな~、尊センパイだよ? 忘れちゃった? 忘れちゃったかなぁ~? おし
おきしちゃうぞ~?」
「何だこの生き物……俺の知ってる尊さんと違う」
「ちがわない、ちがわな~い。えへへ~……うにゅ……」
貸しきった勉強部屋、擦り寄ってくる尊さん。
だが、不思議と理性は飛ばない――――誰だこの人というのが先である。
『発表前の打ち合わせだ。明日は遅れるんじゃないぞ? ……くれぐれも、緩むのは自分
の授業だけにしろ。……いいな?』
昨日、去り際にこんなセリフを吐いていった人間だとは思えん。
「……あの、何かあったんですか?」
「ん~? 何も無いよ?」
「そういえば昨日、どっか出かけるとか言ってましたけど……どこ行ってたんすか?」
600 名前:2[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 02:12:06.37 ID:YOQ218ox0 [2/3]
「え~? 高校の同級生との飲み会だよぅ」
「…………もしかして、お酒弱いんすか?」
以前、なぜかゼミ前日に開催された飲み会で尊さんが一滴も飲まなかったのは、お堅い
からということではなく、どうやら酒に弱いからだったらしい。
「う~? でも、酔ってないよ?」
「いや、酒臭くはないですけど、どう見ても酔ってますから」
「むぅ……」
「何で酒なんか入れたんですか?」
「…………こん」
「こん?」
「結婚っ!!!」
「はぁ、結婚ですか? ……それと酒で何の関係が?」
意味が分かりかねて何気なく聞いてしまったのだが、コレが爆弾だったらしい。
「同級生が……ほとんど既婚だったのっ……だから思いっきり飲んでやったの~っ!」
机を叩きながら涙目で叫んでいる尊さん。一応貸しきってる部屋とはいえ、図書館では
静かにしてほしい。
「つか、ようするにヤケ酒じゃないっすか……」
「悪いの!? 飲んじゃ悪いのっ!? 私は勉強ばっかりなのに、同級生はみんなして子
供だ恋愛だ……うぅぅぅっ!!」
「わ、分かったから俺に当たらないで下さいよ!」
「ぅぅ……あ、そうだ!」
「何ですか?」
「タカシ。私と結婚しよ~よ~! 私もタカシが一番好きだから大丈夫~っ!!」
601 名前:3[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 02:13:05.07 ID:YOQ218ox0 [3/3]
その後、急に眠ってしまった尊さんを介抱して、目が覚めたころには……
「…………(カァァァァ)」
「あの、酔いも目も覚めたようですけど……もしもし、尊さん?」
「…………っ(バカみたいに酔っ払って介抱されて……これではただの、い、淫乱ではな
いか……!)」
「えぇと……けっこう酔ってましたね」
「……その、結局勉強する時間を奪ってしまったようだ。すまない」
「いや、別に平気ですけど」
「あと、一つだけ言っておく」
「……はい?」
「その、最後に言ったことは……本当だからな」
「最後っていうと――――あ」
「……そ、そうだ///」
「――――寝てる間に寝言で言ってた『犬飼いたい』ってやつですか? んじゃあ、今度
ペットショップにでも行きま「違うわバカ者っ!///」――あいたっ!?」
なぜか叩かれた。まあ、酔いが覚めたようでよかったです。
最終更新:2011年05月16日 02:42