16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/24(木) 18:51:28.03 ID:R9rgWI9g0 [2/6]
早めに帰れそうだ

うちの敬語妹はウザそうな顔で出迎えてくれるだろうけど

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/24(木) 20:04:04.79 ID:JGUbmiE3i [2/8]
16

思ったことを素直に口に出してしまう薬を開発したので、いつも面倒臭いとかいいながら俺を出迎える妹に飲ませて弱味を掴んでやろうとおもう。
「ただいまー」
「なんですかこんなに早く帰ってきて。ようやく兄さんの無能さに気付いた人事の人に首にされましたか?」
「今日はもうやることもないからな。定時で帰ってきたんだ」
「そうですか、残念です。ご飯まだ出来てないので、適当に待って居てください」
この毒舌で辛辣で優しさのかけらも無い女が我が妹である。
こいつは本当に俺のことが嫌いらしいから、いい機会だしいい加減この家から出て行って実家にでも帰ってもらおう。
そのためにはまず、薬を飲ませて弱味を握らなければ。

~~~~~

食後。
お土産と称して買ってきたケーキに薬を混ぜておいた。無味無臭なので、妹は美味しそうにケーキを平らげた。
くっくっく、バカめ!
これからお前の秘密を暴いてやる!
「このドラマ、そんなに面白いか?」
しかしまずは軽いジャブからだ。
妹は現在熱中しているドラマがある。近親ものだが、妹曰く、自分にとってはあり得ないシチュエーションだからこそ、感情移入しやすいのだとか。女はよくわからん。
「はい、面白いですよ」
「俺のことこんなに嫌いなのに?」
「何言ってるんですか? このドラマはまさに私の理想ですよ」


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/24(木) 20:05:10.74 ID:JGUbmiE3i [3/8]
「……ん?」
「え? ……いや、勘違いしないでくださいね。兄さんは確かに理想の兄で理想の男性ですけど、今のはそう言う意味ではってわあああああ!?」
「うわっ!? いきなり大声出すな!」
「ちょ、待ってくださいなんですかこれ! 思ったことが勝手に口に出てってなんですかこれえええ!?」
どうやら自分の異常に気がついたらしい。
ていうか、なんかさっきから違和感があるぞ?妹の言葉がなんかおかしい。
「……お前、俺のこと好きなの?」
「当然じゃないですか! 学費も生活費も何もかも私の為に出してくれてる人のこと嫌いな訳ありませってええ!?」
「好きなの?」
「当たり前です! 私にはずっと兄さんだけです! ってうわああああ!」
「へ、へー。ふーん、ほー」
やばい、なんだこれは、ヤバイぞ。
なんか変な方向に進んでるな。
「に、ニヤニヤしないでください恥ずかしい!」
「お、お前、彼氏いるとか言ってなかった?」
「嘘に決まってるじゃないですか! 兄さんがいるのに他の男なんかああああ! なにこれええ!」
「ぅ……ぅぉうふ……」
「な、何赤くなってるんですか! 可愛いなぁもう!」
ヤバイぞ。なんか、今までのが照れ隠しってことだよなこれは。
………………。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/24(木) 20:06:18.38 ID:JGUbmiE3i [4/8]
や、やべー! やべー! な、なんかすっげー恥ずかしい!
「ち、違います! 私は兄さんが大好きなだけであって毎晩布団に潜り込んだりとかパンツの匂い嗅いだりとかしてるだけでってぎゃあああああ! 忘れてください! 忘れてください!」
「そ、そんなに俺のことが好きなのか……?」
「好きですよ! だ、大好きです! ああああ! なんですかこれえええ! 恥ずかしいですぅううう!」
「えっ……と……」
恥ずかしいのはこっちだ。
いきなり妹がデレ始めたとか、マジで漫画かよ!
「恥ずかしい……ずっと隠し通してきたのにこんないきなりばれちゃうなんて……ぅっ……」
え、あれ?
「ぅっ…………ぅあっ……」
な、えっ!?
「ぉ…………お兄ちゃんに嫌われたぁ……ぅあっ……ぅああああああん!」
「な、なぜ泣く!?」
わけがわからずも取り敢えず背中をさする。
「な、なんで泣くんだ? いきなりすぎて俺はついていけんぞ」
「ぐすっ……ひぐっ……だって……こんな……ぐすっ……気持ち悪いでしょぉ……?」
……は?
「こんな……今まで……ひっく……ずっと……ばれたら絶対嫌われるって……一緒にいれなくなるって……ずっと……辛く当たってきたのに……ぐずっ……いきなり……好きとか言われて……兄妹でっ……ぅっ……こんな……ぅぅうううう……!」
「…………」
「お兄ちゃんが……ぅぐっ……結婚するまでっ……結婚しても…………ぐすっ……絶対隠して……死ぬまで……ずっと……のつもりだっだのにっ……こんな……こんなっ……ぅぅあああああん!」
………………。
そっかぁ。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/24(木) 20:06:57.08 ID:JGUbmiE3i [5/8]
そっかぁ。
……そっかぁ……。
「大丈夫だよ」
「ぁ……えっ?」
俺は。
「お前のこと、大好きだからな」
「なっ…………ぇ……? うそ……」
「嘘じゃない」
抱きしめる。
その細くて、脆くて、弱々しい、可愛い可愛い妹の体を、強く、優しく。
抱きしめてやる。
「ごめん、気付いてやれなくて。ずっと一緒だ。死ぬまで……ずっと一緒にいてやる」
「ぉに……ちゃ…………ふぁ……」
急に体の力が抜けて、倒れそうになる妹の体をもう一度抱き直す。
声をかけてみるが返事が無い。どうやらいろいろありすぎて気絶してしまったらしい。
「とりあえず、ベッドに運ぶか……」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/24(木) 20:07:15.40 ID:JGUbmiE3i [6/8]

~~~~~

翌日、俺は妹に薬のことを打ち明けた。
思ったことが素直に口に出てしまうこと。ケーキに混ぜて飲ませたこと。効果がいつまで続くのかわからないこと。
妹は半信半疑だったが、受け入れてくれた。
そして。
「大好きですよ、兄さん♡」
「俺もだよ」
「浮気しちゃダメですよ?」
「当たり前だ」
妹は見事にデレた。
今日はちょうど休みだったので、デートに行くことになり、今から出かけるところだ。
「兄さんは今日もかっこ良いですね」
「お前こそ、毎日ますます可愛くなっていくぜ?」
「もうっ……えへへ…………きゃー!」
「よし、ほら行こうぜ」
「あっ、待ってください」
ただ、俺は一つだけ嘘をついた。
「んっ……」
薬は開発途中なので、本当は効果は二時間程度しか持たない。
「えへへっ……」
まあでも。
「誓いのキスですよ、兄さん♡」
まだ言う必要は、無いかな。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/24(木) 20:07:45.26 ID:JGUbmiE3i [7/8]
おわり
最終更新:2011年11月29日 00:58