700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/14(土) 21:25:37.43 ID:rkQhwLPVO [9/9]
  • 月夜の晩にツンデレが

纏「今宵は良い晩じゃな……見やれ、月があんなに高くて大きい」
男「あぁ。今年は空梅雨だから、雲があんまりかからないんだってな」
纏「こうして隣におるのが野暮天の主でなければ、もっとろまんちっくじゃったろうにな」
男「そう言うなよ。俺だってロマンチックな台詞の一つや二つ、言えんだぞ?」
纏「言わんでよい。主の台詞になぞ、期待してはおらぬ。せっかくの月夜なんじゃから黙って見ておれ」
男「あ、そう。なんかそれも悲しいな」

纏「……」ポスッ
男(お?)
纏「……のう、タカシ」
男「どうした、纏?」
纏「このまま儂に、しばらく肩を貸してはくれぬか?」
男「なんだよ。もうお眠なのか?」
纏「そうじゃ。儂とお主はこのまま眠ってしまって、夢を見るんじゃ」
男「……? 何言ってるんだよ」
纏「タカシよ、これは夢じゃ。夢じゃから、起きたらちゃんと忘れるんじゃぞ?」
男「だから何言ってんだって」
纏「……タカシ、儂は主が好きじゃ」
男「……はい?」
纏「儂がこんな素直になるのは、これが夢だからじゃ。だからすぐに忘れるんじゃ」
男「……そういう意味かよ」
纏「起きたら儂は、きっとまた主に辛く当たるじゃろう。そして主は、笑ってそれを許すじゃろう」
男「うん、まぁな。俺って人間が良く出来てるから」
纏「じゃから、今だけ儂は主に言う。好きじゃ、大好きじゃ。儂は主から離れとうない」
男「……んなもん、俺も同じに決まってら」
纏「……そうか」
男「……なんか、今夜はやけに甘ったるい空気だな。これも夢だからなのか?」
纏「そうじゃ……甘くて甘くて、吐く息まで甘くなる月夜の夢じゃよ……」
最終更新:2011年05月16日 02:49