112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/30(金) 20:14:11.29 ID:EIGnufalO [6/10]
僕の家には親がいない。端的にいうと、両親共に死んだ。親は駆け落ちして結婚した仲なため、頼れる親戚もいない。
そんな僕が生活していくのには、しかしそれほど苦労しなかった。父さんが開いた道場を妹の纏(まつり)が継いだからだ。
この道場はまだ2代しか続いていないが、この時世には珍しく繁盛していた。
まつり「兄上!構えが甘い!もっと脇を締めるのじゃ!」
いつも門下生がいない間に、僕は纏(まつり)から稽古を受けていた。
タカシ「はあ…はあ…ちょっと休憩させて…」
そういって僕はその場で座る。すると端で見ていたもうひとりの妹、纏(まとい)がタオルを渡しにきてくれた。
まとい「はい!にぃさま!冷えたタオルなのじゃ!」
タカシ「ありがとう」
まつり「兄上」
タカシ「なんだ?」
まつり「まだ基本の構えがなっとらん」
まつり「そんなことでは友ちゃんにも一本取れんじゃろう」
タカシ「ああ、分かったよ」
まとい「そういえば、にぃさまはどうして稽古を受けるのじゃ?」
まとい「ねぇさまが師範代を継いだんじゃから、にぃさまが稽古を受ける意味はあるのかえ?」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/30(金) 20:15:45.64 ID:EIGnufalO [7/10]
僕が稽古を受ける理由、それは、僕が纏(まつり)から師範代を継ぐことだ。そのためには纏(まつり)に勝たねばならない。だから僕は纏(まつり)から稽古を受けている。
それは纏(まつり)も承知のことだ。
タカシ「まあ…強くなりたいからかな」
説明が面倒だったから、僕は適当なことを言った。
まとい「そうなのかー」
まとい「儂、強い男は大好きなのじゃ!」
タカシ「そうだろ?僕はまといから好かれるためにも頑張ってるんだよ」ナデナデ
まとい「そんなことしなくても儂はにぃさまが大好きなのじゃ!」エヘヘー
纏(まとい)の頭を撫でてやると纏(まとい)は、エヘヘー、と照れたようにはにかんだ。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/30(金) 20:16:11.73 ID:EIGnufalO [8/10]
まつり「…………」
まつり「兄上、儂も強い男は好きじゃ」
タカシ「そうか、だったらまつりに好かれるにはまだまだだな」
まつり「…何でそうなるのじゃ……」
纏(まつり)がぼそっと小さく呟いたから、何だ、と聞いた。すると、
まつり「何でもないのじゃ!」
まつり「晩飯を作ってくる!稽古はそのあとじゃ!」タッタッタッ
怒ってしまい、道場を出ていった。
まとい「ねぇさま、どうしたんじゃろな?」
タカシ「さあ…」
夕食後の稽古は、なぜかかなりスパルタだった。
続きはまた今度
最終更新:2011年12月31日 15:14