15 名前:1/5 :2012/01/04(水) 20:03:18.95 ID:mEb62MRS0
  • ツンデレと忘年会
『「[【かんぱーいっ!!!!】]」』
 ゴクッ……ゴクッ……
「プハーッ!! いやー、今年も一年間ご苦労様、俺って感じだなあ」
『何言ってるんですか。別府さんは今年も一年間、だらけ放題でロクに仕事もしてなかっ
たクセに』
【椎水さんは、一年間ずっと、別府に厳しかったよな。あ、ほら。焼き鳥来たよ。食べて食べて】
『あ、ありがとうございます。だってしょうがないじゃないですか。別府さんがずーっ
とだらしなかったんですから』
「そうかなあ? 俺個人としては、今年は一年間、色々と頑張ったけどな。仕事もプラ
イベートも」
[ほうほう? プライベートと言うと、かなちゃんとの間に何か進展でもあったかな?]
『なっ……!? 何で私と別府さんに間に何かなくちゃいけないんですかっ!! バカ
な事言わないで下さい。いくら友子先輩でも怒りますよ』
[あっははは。冗談だってば、冗談。そういうとこ、かなちゃんは一年間成長が無かったね]
『大きなお世話ですっ!! 大体、職場で一緒の男性がこんなんじゃ、成長しようと思っ
たって面倒見るだけで手一杯で何にも出来ません』
【椎水さんって、ホント別府の面倒よく見るもんなあ】
「いやー…… ホント、椎水さんには今年も色々と世話になったわ。よく仕事手伝わせ
てスマンね」
『ホントですよ。全く、こんな人と同じ部署に配属した人事の人を恨みますもん』
[でもさぁ。イヤイヤ言う割には結構一緒に行動してるじゃん。ホントはちょっとは……
とか、思ってないの?]
『ありえません。全く全然、想像も付かないです』
【だってよ、別府。男として、椎水さんみたいな可愛い子にあんな事言われてどうすんだよ】
「とは言っても、面目ないとしか言えんなあ。実際、迷惑ばかり掛けてるし」
[全く、情けないなあ。男だったら、もっとこう、俺が引っ張ってやる的な所を見せな
いと。ねえ、かなちゃん]

16 名前:2/5 :2012/01/04(水) 20:03:41.85 ID:mEb62MRS0
【ホントですよ。まあ、この人にそんな事期待するだけ無駄ですけど。自己管理すら出
来ない人に、女性を引っ張っていくだけの甲斐性があるとは思えませんもの】
[ホントにねえ。まあ、それは山田君にも言えるけどね。全く、ウチの部署の男共って、
ダメな奴ばっかよね。女子からこれだけ言われても、ヘラヘラしてばっかだし]
【僕はどっちかといえば、友ちゃんの世話ばかりしてた気がするけどなあ】
[どこがよっ!! あたしがケツ引っ叩いてやんなきゃ、ちっとも動きやしないじゃな
い。ホント優柔不断で臆病で引っ込み思案なんだから]
『でも、山田さんは事務仕事とか書類作成とかそういうの上手だからいいじゃないです
か。まあ、ちょっと配属部署が違ったのかなとは思いますけど。でも、全くいい所のな
い別府さんよりよっぽどマシです』
「……あのさ。俺を叩くのはその辺にして、何か今年一年を振り返ってみて良かった事
とか話してみようぜ。ネガティブな事ばかりじゃなしにさ」
【良かった事ねぇ…… かなちゃんって、何かあった? いいこと】
『良かった事なんて何にもないですよ。そもそも、年の初めから最悪のスタートでしたし』
【あれ? おみくじの話だっけ? 確か聞いたような……】
「そうそう。いきなり凶引いてさ。一年のしょっぱなから。あれは申し訳ないけど笑ったな」
『普通、初詣のおみくじで凶引くとかありえます? しかも書いてある内容まで救い様
がないとか。おまけに別府さんは普通に吉とか引いてるし。今思い返しても頭に来ます
よホントに』
【あれ? 椎水さん、別府と初詣なんかに――モガモガ】
『はい? どうかしましたか。山田さんに友子先輩』
[あー、いいのいいの。コイツの事は気にしないで続けて。ほら、アンタは黙ってこれ食べてろ!!]
【モガモガモガーッ!!】
[で? 他には何があったの? まだあるんでしょ?]
『えーっと…… あ、そうだ。節分あったじゃないですか。せっかくだから豆まきやろ
うってジャンケンで鬼役決めたら私が負けちゃって。この人、鬼なんですよ。女の子相
手に本気で豆ぶつけてきて』
「本気じゃねーって。ちゃんと手加減してたよ」

17 名前:3/5 :2012/01/04(水) 20:04:00.51 ID:mEb62MRS0
『嘘ですよ。絶対してません。してたら、どうやってあんなに勢いよく豆が私の鼻の穴
の中に直撃するんですかっ!!』
「あれ、不思議だったよなあ。こんな小さい穴の中にどうやって飛び込んだんだか」
『お陰で、痛いし苦しいし、取り出すの大変だったんですからねっ!! ホントに別府
さんってばロクな事しないんですから』
「でも、何とか取れて良かったよなあ。あのまま出て来なかったら、タクシー呼んで病
院行こうかって所だったから」
『ホントですよ。あと、お花見!! 花はほとんど咲いてなかった上に、寒いし途中で
雨降ってくるしで、本当に最悪でした』
[あれ? お花見の日って、天気良くなかったっけ? あたしらも一緒にいたよね?]
『あ、いえ。それとは違って……えーと、その……個人的に……』
[あ、そうなんだ。友達となんだ]
『え、ええ。そんな所です』
「でも、あれはかな……椎水さんが今日じゃないと予定が合わないからって無理矢理連
れ出し……いや、その……決行したって聞いたけど?」
『だって仕方ないじゃないですか!! 次の週は大学の頃の友達と合う約束があったん
ですから、誰かさんと違って暇じゃないんです。大体、天気予報では週末快晴で満開に
なる予定だったのに、ずっと曇ってたり小雨だったりで。別府さんの日頃の行いが悪い
からこうなるんですよ!!』
「やれやれ。またここで蒸し返されんのかよ。夏頃までずっと言われてて、やっと最近
い静かになったと思ったのに」
『当たり前じゃないですか。来年、ちゃんと私に綺麗な桜を見せに連れて行ってくれな
い限り、延々と言い続けますからね』
[なるほどねぇ。そりゃ災難だったわ。他には?]
『あとは……冷蔵庫にあったバターがダメになってて、それで調理したパスタ食べたら
お腹痛くなって大変だったりとか…… あれだって、別府さんが賞味期限切れて何年も
経ったようなバター置いとくから悪いんじゃないですか!!』
「いや。あれは使い切れなかったのを捨てようと思ってて、そのまま放置してただけだっ
て。まさかあれ使うなんて思わなかったし」

18 名前:4/5 :2012/01/04(水) 20:05:05.44 ID:mEb62MRS0
『普通、冷蔵庫にあったらそんな事思いませんてば!! 大体、何で別府さんは平気だっ
たんですか。それが一番信じられないです!!』
「まあ、普段悪食で胃を鍛えてるしな。つか、賞味期限切れっつっても、食中毒起こす
ほど昔じゃないし、たまたまじゃね?」
『そんな事ないですってば!! 絶対あれはバターのせいです!! ひいては別府さん
が諸悪の根源です!!』
「自分一人が食らった災難で諸悪の根源とか言われてもなあ……」
[まままま。かなちゃんの主張はよっく分かったからさ。で、まだあるの?]
『ありますよ。海水浴行ったら、水着のブラが取れちゃって…… 何で海の中で別府さ
んに半裸で抱き付かなくちゃならなかったんですかっ!! おまけに見られちゃうし。
あれは最悪な一年の中でも最も最悪でした』
「まだ見つかったのが俺で良かったろ? しかも水着もすぐ近くのブイに引っ掛かって
たからすぐに見つかったしさ」
『ケロッとした顔でそういう事言わないで下さい!! 私がどれだけ恥ずかしい思いを
したと思ってるんですか!!』
「でも、それは自己責任だってあるじゃん。無理して大きめの買って来て、パッドでご
まかそうとしてるから」
『うっ…… いいじゃないですか!! 少しくらい見栄張ったって。それに、あの水着
はあれより小さいサイズ無かったし、パッド入れれば何とかなると思ってたんですよ。
友子先輩だって分かるでしょ? この気持ち!!』
[泣きつくのはいーけど、間接的にあたしも胸が薄いってバラすな。コラ]
『あうう…… だって、別府さんが酷い事言うから』
[はいはい。分かった分かった。別府君も、もうちょっと彼女にはデリカシーを持って
言葉を掛けなさいよね]
「いや。そりゃまあ……気をつけるけどさ」
[うんうん。まあ、言いたい事は分かるけどね。多少理不尽だと思っても、男の子なら
グッと我慢よ]
『ハァ……もう、他にもあるんですよ。花火大会の時だって――』
[ストップ。もう十分。お腹いっぱいよ]
『お腹いっぱいって、どういう事ですか。私はまだ全然言い足りないのに』

19 名前:5/5 :2012/01/04(水) 20:06:10.37 ID:mEb62MRS0
[花火大会も、別府君と二人きりだったんでしょ? どーせ]
『へ……? いや、そんな、ちがっ…… 何言ってるんですか。何で私が別府さんとなんて……』
[じゃあ、言ってごらんよ。花火大会で何があったの?]
『えーと、それは別府さんが途中で財布落としたって言い出して、散々探し回った挙句
に、実は浴衣の袖口に落ちてただけで、お陰で花火が全然見れなかったって――あれ?』
[ほら、一緒じゃん。初詣も節分もお花見も海水浴も。それに、別府君の家でパスタま
で作ってあげたんでしょ? いやー、あっつあつじゃない]
『…………ぁぅぁぅぁぅ(//////////////)』
[全く、仲良い仲良いとは思ってたけど、まさーかここまで進展してたとはねぇ]
『なっ……何で止めないんですか別府さんっ!! あああああ……ずっと隠してたのにぃっ!!』
「いや。俺は気付いてたからさ。ごまかそうと他人ぽく話そうとしても、椎水さんが全
部引き戻しちゃうから、もういいやって思って」
『しんっじられません!! しかもよりによって知られたのが友子先輩とか。年明けに
はもう全社員が私達のこと知ってますよ』
[……一応、親しい人同士の噂は控えるようにしてんだけどなー。そこまで言うならみ
んなにバラしちゃおうかなぁ]
『ゴメンなさい。謝りますから止めて下さい。あああああ……もう、恥ずかしくて死に
そうです。今年最後の忘年会まで最悪だぁ……』
[はぁーあ。一人身のあたしに対する嫌味かっての。ほら、山田君。もう、飲むわよ。
注いで注いで]
【あのー、僕も一応一人身……】
[あ? 何か言った? 良く聞こえなかったけど]
【い、いえっ!! 何でもないです。どぞ】
[ちくしょーっ!! どっかにいい男いないかなあ、もうっ!!]
以上
ノロケと気付かず男の文句を言いながらどんどん自爆していくツンデレさんは可愛い
最終更新:2012年01月05日 21:10