185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/11(水) 19:11:22.01 ID:RhLYcotr0 [12/17]
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/11(水) 21:45:37.47 ID:METFZ1VR0 [1/4]
185・ツンデレに「お前が欲しい」って言ったら
ある朝、ふと思い立って嫁に言ってみた。
「お前が欲しい」
嫁の反応はといえば、以下の通り。
「はっ」
鼻で笑われた。
もうアレですね。皆さんに馴染み深い言い方すれば『はいはい、ワロスワロス』って感じ。
「ほらほら、いい子だからシャワー浴びて目を覚まして来い、低脳」
挙句子供扱いですよ。いや、子供相手に『低脳』なんて普通言わないから、多分子供以下。
失意のまま仕事へ向かうことになるのだった。
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/11(水) 21:46:34.35 ID:METFZ1VR0 [2/4]
そんなこんなでお昼休み。
「なぁ、たまには昼飯くらい付き合えよ」
「いやぁ、弁当があるからさ」
そう、誘ってくれた同僚には悪いが、俺には愛妻弁当があるのだ! そして我が嫁は中学生の頃から――
「お父さんや兄妹の分も弁当作ってたんだろ? もう耳タコだわ」
「はは、羨ましいか? 羨ましいだろ?」
「毎日自慢されてたらもう腹も立たないよ。でも、ほら、一日くらい食べなくても死なないだろ? たまには――」
「さっさと人ごみに揉まれながら、ジャンクフードで胃を満たしてこい」
「羨ましくないんだからなぁぁぁぁぁぁっ!」
涙目で立ち去る同僚の背中を見送って、お弁当の包みを開ける。色とりどりのおかずに、そぼろの乗ったご飯。
いやぁ、『一日くらい食わなくても』とか、何言ってるんだろうね、アイツ。嫁の弁当は毎日食べないと死ぬに決まってんじゃん。
と、包みの中に小さい紙片が。そこには、いかにも走り書きだが確かに嫁の文字で、
『帰ってきたら、善処してやる』
とだけ書いてあった。善処? 何のことだか、よく解らないなぁ。
――とそのとき、俺は全然ぴんと来なかったわけで。
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/11(水) 21:47:40.84 ID:METFZ1VR0 [3/4]
やっぱり朝から『お前が欲しい』はハードル高かったかなぁ、と思いながら帰宅。
「ただいまんこ」
「それ先に言っちゃうのか……」
呆れ顔で出迎える嫁。いや、でもマジ可愛い。呆れ顔も可愛い。嫁天使。どのぐらい天使かと言うと、働くのが死ぬほど大嫌いで
可能なら株とかアフィブログとかで生計を立てたいと思う俺が、必死こいて定職に就いて養おうとするほど天使。
「お前が欲しい!」
「またか……」
余りにも溢れる嫁LOVEに思わず朝と同じ言葉をぶつけてしまった。
「もういいから、食事にしろ」
「はーい♪」
手をひらひらと振って流す様も、激萌え。
そして夜――今日の営業も終了。後は眠るだけとなりました。
戸締りを終えて寝室に向かうと、嫁がベッドの上で布団を肩まで被ってこちらを見つめている。隣に寝ようと布団をつかむと、
「あ、ああぁあの!」
といきなり裏返った声が飛んで来た。
「え? なに?」
そこで嫁の顔を見ると、布団をあごの下くらいまでずり上げて、こちらを見ている。
「エラく顔赤いけど、大丈夫? 風邪?」
本当に紅葉かリンゴかってくらいだったので、思わずそう尋ねると、猛烈に首を横に振る。
「じゃぁ、どしたの? っていうか、そんなに布団押さえてたら俺が入れないから。ちょっと場所空けてよ」
「だ、駄目! 今は無理!」
「なんで?」
「なんででも!」
無駄に強情な。幾ら嫁が可愛いと言っても、俺だって眠いんだから、こんな押し問答してる暇なんか無い。
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/11(水) 21:49:41.27 ID:METFZ1VR0 [4/4]
「そういうことなら、力づくじゃこらーー!!」
「あ、やめろ、バカ! ほ、ほんと駄目っ。ひゃうぅ、布団の上からくすぐるのは、は反則だってはっ、あはは! て、あ、やあぁっ!!」
もう正直、この時点で下品なんですがフヒヒ……くらいの状態だったんだけど、無理やり布団剥がしてびっくりした。
だって嫁、セクシーランジェリーなんですよ。
T型下腹部用保護着に、網目状脚部保護用具及び吊式固定具。透過式胸部支持器具に、同じく透過式胴部包装膜まで着用してる
んですよ。いや、要するにTバックと網タイツとガーターベルトなんですけど。あとスケスケブラにスケスケキャミソールなんですけど。
余りといえば余りの姿にポカンとしてる俺へ向けて、嫁がガバリと起き上がり全力でまくしたてる。
「お、お前が、私が欲しいとか言うから! ぜ、ぜぜ善処したんだろうが! 何か言え! 黙るな! 喋れ!」
あぁ、そうですか。弁当のメモはコレだったんですね。いや、これは素晴らしいわ。マジで、これこそが善処というものだわ。政治家も
見習え。
そして俺が言った意味は必ずしもこういうことではなく、というか口に出したのは単にその場のノリだった訳なのだが、これはもう駄目
だよね。一線越えちゃってるよね。
俺は赤頭巾ならぬ赤ランジェリーの嫁に、狼よろしく尋ねた。
「……どうして、奥さんは布団に篭ってたの?」
「う、うるさい! ただ、いざ着てみたら、思ったより過激で、は、恥ずかしくなって……というか、痴女だろ、こんな格好!」
なにそれかわいい。俺はベッドに腰掛けて、次の質問をする。
「どうして、奥さんはそんな恥ずかしい下着買っちゃったの?」
「た、たいした意味は無い! たまには、こういうのもとか思って買ってみただけで、お前のためでは決して無いんだっ!」
なにそれいじらしい。俺はさらに嫁ににじり寄ると、顔を目の前に近づけて、最後の質問をする。
「どうして俺の嫁はこんなに可愛いの?」
「そ、それは……」
ここで嫁、言いにくそうに少し溜めると、目を硬くつぶって、震えながら両手をこちらに伸ばしてきた。
「……だ、旦那様に、美味しく、た、食べてもらうため……です」
なにこれやらしい。俺はもう我慢できず、肩口まで真っ赤になった嫁を押し倒した。
「あんっ……ちゃんと、残さないで……な?」
言わずもがな、任せとけ。
最終更新:2012年01月13日 16:09