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73 名前:ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ :2012/01/18(水) 00:44:25.26 ID:Il1QYwlp0
  • ツンデレと初詣に行ったら
「三が日を過ぎれば、流石に混まないと思っていたけれど……甘かったわね」
 隣を歩く、僕の最愛の恋人――むみさんが、ため息混じりに呟く。
 ……ああ、その姿もとても綺麗だ。美人は何をやっても様になると言うけど、むみさんはまさしくそれを体現している。
 と、それはひとまず脇に置くとして、今日、僕らは市内にある、特に学業にご利益があると有名な神社へとお参りに来ていたのである。と言っても、もう参拝は終えて帰路についているのだけど。
「そうだねぇ、僕もあんなに盛況だとは思わなかったよ。お参りするために凄く待たなきゃいけなかったし……」
「ふん、これもきっと貴方の日頃の行いが悪いせいね。いつもいつも、人のことをからかっているからバチが当たったのよ」
「からかってなんてないと思うけどなあ……ただ、好きな人に好きだって言ってるだけだよ」
 周りに人もいないので、そんなことを言ってみる。
 思った通り、むみさんはその顔をみるみる赤く染めていく。普段から無表情でクールな反面、こうして恥ずかしがってるときとのギャップがたまらないのである。
「なっ、ば、馬鹿っ……だから、そういうのを、からかっていると言うのよ……!」
 前述の通り、顔を真っ赤にしながら睨み付けてくるむみさん。残念ながら、それは僕にとってはご褒美です。
「もし、からかっているように見えるなら、むみさんが可愛いのがいけないんだよ」
 言いながら、さりげなくむみさんの手を握る。いつもは恥ずかしがってすぐに振り払われてしまうけど。
「ふん、言ってなさい、馬鹿…………」
 今日ばかりは周りに人がいないということもあってか、素直に手を繋がせてくれる。
 むみさんは、まるで、手を握られていることなんか全く気づいてない、とでも言うような態度を装っている……のだが、時折チラチラと繋いだ手の方を見たり、そもそもむみさんの方からしっかりと握り返しているから意識してるのは丸分かりなのである。
(ああもう、むみさん可愛いなあっ。ここが外じゃなかったら思いっきり抱き締めてるのに……!)
 そんな悶々とした思いを抱えながら、相変わらず顔が赤いままなむみさんと一緒に歩いていく。

 しばらくして、
「そう言えば、なんだか熱心に祈っていたみたいだったけど、貴方は一体何をお願いしていたの?」
「それは勿論、進路のことと……来年もこうして二人で初詣に来れますようにってお願いしたんだよ」
「……まあ、そんなところだと思ったけれど」
 半ば予想していたのか、取り澄ました態度でそう口にするむみさん。といっても、仄かに頬は赤らんでいたけれど……それは言わないでおこう。

74 名前:ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ :2012/01/18(水) 00:45:18.99 ID:Il1QYwlp0
「それで、むみさんは何をお願いしたの?」
「それは、当然受験が上手くいくことと、あとは……健康ぐらいよ」
「――今、嘘ついたでしょ、むみさん?」
「は、はぁ? 何が嘘だって言うのよ?」
「健康ってのも嘘じゃないんだろうけど……本当は違うことを言いかけたんじゃないかな、と思ってさ」
 根拠はただの直感だったけど、この反応は合っているみたいだ。
 たじろいだむみさんを、繋いだ手で引き寄せて、
「っ、ちょ、ちょっとっ?!」
 もう一方の手で抱き締める。
「は、離しなさいよ、この馬鹿!」
「やだね、むみさんが正直に言ったら離してあげるよ……だから、本当はどんなお願いをしたのか教えてよ、ね?」
 むみさんの耳元に口を寄せ、意地悪くそう囁いた。むみさんは、一瞬びくっと全身を震わせると、諦めたように小さく言葉を紡ぎ出す。
「あ……じよ」
「え?」
「だ、だからっ、貴方と同じだって言ったの!」
 これ以上なく恥ずかしそうに、そしてきっと勇気を振り絞って、そう言ったむみさんに、刹那、僕は言葉を失う。
 一つは、顔を真っ赤にして告白したむみさんがあまりにも可愛かったから。
 そして、もう一つは、結構予想通りだったはずの答えが、僕自身嬉しくて仕方なかったからだ。
 だから、思わず、世界一愛しい彼女をより強く抱き締めてしまう。
「ふぁ……?! ちょ、ちょっと、約束が違うわよ……!」
「ごめん、我慢できなくて……もう少しだけ、こうしてて良いかな?」
 むみさんの顔をまっすぐ見つめて告げるが、むみさんはすぐに顔を背けてしまいう。
「し、仕方ないわね……全く」
 そんな台詞を口にしながらも……自分からも、そっと僕の背中に手を回して優しく抱き締めてくれるむみさんが、どうしようもなく愛しくて。
 僕はよりいっそう強く、むみさんを抱き締めるのだった。
最終更新:2012年01月21日 20:53