37 名前:2/1[] 投稿日:2012/02/11(土) 20:32:00.21 ID:EWTJAscg0 [6/7]
『……タカシ……これ……チョコあげる……義理だから……』
「おー、さんきゅー、ありがとなー」
『タカシ、チョコあげますわ! あぁ、勘違いなさらないで、もちろん義理チョコですわよ。
たまには下僕に褒美を渡すのも、主人の務めだと思いますから!』
「……下僕になった覚えは無いんだが……でも、嬉しいよ、さんきゅー」
『のう、タカシ、チョコは好きか? 偶然にもチョコが手に入ってしまってのう。
儂は洋菓子は好かんのでな、貴様に処理を頼む事とする……だからさっさと受け取れい!』
「おおう、分かったよ。……あいつ、前にチョコ食ってなかったっけ?」
『お前は本当に駄目な後輩だ。だがな、ほんの少しは期待しているんだ。
だから、このチョコでも食べてやる気を見せてみろ!
……あっ……他の部員には、この事は言うなよ!』
「分かりました! あざーっす!」
『はいータカシ、チョコあげるー! えへへー』
「何だ、その不吉な笑みは」
『100倍返しだから、ね!』
「いやいや、1倍返しだろ、ここは」
『それじゃあ、ボクが得しないじゃないかー!』
『あーちくしょう、何で俺は――』
「すげぇな、モテモテだな!」
『……別府か……女にモテてもしょうがねぇだろうが…………そ、そうだ、1個やるよ』
「え? 良いのか? 貰った子に悪くないか?」
「それは良いんだよ、それは。…………じゃ、じゃあな」
38 名前:2/2[] 投稿日:2012/02/11(土) 20:33:39.02 ID:EWTJAscg0 [7/7]
「去年まで1個しか貰えなかったが……今年は大豊作だな。けど全部義理チョコなんだよな――」
『あ、タカシ、やっと見つけたわよー。どこで何やってたのよ、あんたは――って何よ、これ!?』
「はっはっはっ、凄いだろ」
『……どうせ義理チョコでしょ? でも、貰えただけでも良かったわね――あれ? これって……』
「それは神野から貰った奴だな、結構高そうな外装だよなー」
『えぇ……だって、これ……テレビで本命に渡すなら、これって言う特集で紹介されてたもん……』
「へぇー、そうなのか。それを義理チョコとして渡すなんて、流石お嬢様って感じだな」
『…………う、うん……そうだね……』
「で、かなみは俺に何の用だったんだ?」
『えっ! はっ――いやっ――と、特に用事なんて無かったわよ、おほほほー』
「その右手に持ってるのってチョコか?」
『へ? あっ――しまっ――こ、これはっ――ば、爆弾よ!』
「……お前、テロリストなの?」
『…………どうせ今年もタカシは貰えないって思ってたから……慈悲として用意してたまでよ』
「あぁ、そうだったのな。じゃあ、チョコプリーズ」
『何言ってるのよ、今年は沢山貰ってるじゃない』
「かなみって義理チョコなのに、わざわざ手作りしてくれてるだろ?
想いが込められたそれを、他の人から貰ったからいらないなんて言える訳ないだろ? むしろくれ!」
『…………全く仕方ないわね、あげるわよ。あ、でも私がチョコに込めてるのは、殺意だから』
「えぇ! 毎年美味い美味い言ってたのに! 俺は殺意を感じ取って、そう言ってたの! とんだ、ドMだよ!」
「――ってな訳で、食い切れそうにないから。山田、手伝ってくれ」
『 全 力 で 断 る ! ! 』
最終更新:2012年02月16日 01:02