12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/02/19(日) 23:00:56.80 ID:ztijbhtq0
もうバレンタインデーは過ぎてしまったけど
久々に男ツンデレ
http://tunder.ktkr.net/up/log/der2517.txt

見たくない人がいそうなので、ロダにしといた





  • 男ツンデレのバレンタイン

「あの、椎水君。これ、バレンタインのチョコなんだけど……受け取ってくれるかな?」
『あん? ああ、まあせっかく用意してくれたんなら……』
「キャーッ!! やった、嬉しいっ!!」

【やれやれ。カナタの奴は高校来てもモテるなー。もげろ。そして死ね】
[なになに? 友哉君嫉妬してんの?]
【そりゃ嫉妬もするさ。他のクラスの女子とか、先輩からも貰ってんだぜ。全く、世の
中はどうしてこうも格差社会なんだ。納得いかねぇ】
[友哉君はチョコ貰ってないの?]
【うるせぇ。聞くなチクショウ】
[はい。じゃあこれ。私から……]
【え? マジでチョコあんの? 山田、偉いぞお前】
[エヘッ…… まあその……お、お友達だから……]
【いや、そっかそっか。お前勘定するの忘れてたぜ。いや、ありがとう。少なくともこ
れでチョコ0男からは脱出出来たぜ】
「あ、友哉君。私からもチョコあるよー。義理だけど」
【義理言うな。まあ、くれるっつーんならありがたく貰っとくけど…… いいのか? そ
ういや別府はカナタの奴にチョコやったのか?】
「私? ううん。あげてないよ」
[うそっ? いいの孝美ちゃん。ここで押しとかないと、ライバル達に先越されちゃう
よ。バレンタインなんて格好のアピールなんだから、頑張んなきゃ]
「いやー。私があげたって、どうせ受け取ってくれないからさ。それにカナタ君。実は
甘い物あんま好きじゃないし」
【マジで? それにしては、冷たくあしらったりせずにちゃんと受け取ってるじゃん。
アイツならストレートに言いそうだけどな】
「そこら辺は学習したらしいよ。無下に断って泣き出しちゃった子とかもいてさ。そう
するとその子の友達とかが一斉に敵に回っちゃったりとか」
[あー、あるよね、そういうの。何か女子って、そういう所で結託したりするの好きだし]
【じゃあ、あのチョコは後で適当に処分されるって事か。にしても、本当に別府はそれ
でいいのか? 普段のお前なら有無を言わさず特攻しそうなものだが】
「……そこの所は、おバカの私でも学習したんですよ…… カナタ君にうざがられるの
は全然いいんだけど、嫌がるカナタ君に無理矢理チョコ渡すなんて最低とか噂立てられ
ちゃうとね……」
[孝美ちゃんも色々と苦労したんだ…… でも、何か考えてはいるんだよね? そのま
ま終わる孝美ちゃんじゃないよね?]
「え? いやー……でもまあ、そんな買いかぶられても、ねえ……」
【何だったら協力するぜ。カナタが嫌がるようだったら、受け取らざるを得ないような
状況に追い込んでやってもいいからさ】
「いやいやいや。だいじょぶだいじょぶ。私のカナタ君は、あんなバレンタインの日に
しか群がらない女の子にそう簡単に靡いたりしないって信じてるもん」
[そうだよね。うん、私も応援するから]
「アハハ。二人とも心配してくれてありがとう。うん、頑張るよ」


「こんばんわっ!!」
『どわっ!? ビックリしたぜ、もう……何だよいきなり。お前な、いつも来る時はちゃ
んと玄関のチャイム鳴らしてうちの人間が出てから入って来いって、何度言えば分かるんだよ』
「でも、おばさんには孝美ちゃんなら自由に出入りしていいからねって言われておりますが」
『あいかわらず孝美に甘いな。あのクソババア。いい加減こっちだって年頃なんだから、
そういうのもう止めさせろって前も言ったのによ』
「ふむふむ。カナタ君がおばさんをクソババアと。覚えとこう」
『お前、それチクッたらただじゃ済まさないぞ』
「私はカナタ君になら何されてもオッケーなので、望むところです。それよりカナタ君
の方がより酷い目に遭うのではないかと」
『ちっ…… 脅しとは、お前にしては頭が回るじゃんか。何が望みだよ』
「いえいえ別に。今はただ、追い返されなければそれでいいかなと」
『何だ。結構殊勝な望みじゃんか。まあ、ウザッたいけど、どうせ交換条件飲まなかっ
たとしても帰るお前じゃないしな。で、何しに来た?』
「それはもちろん。カナタ君がたくさん貰ったけど、処理に困ってるチョコレートを代
わりに処分しに来ました」
『そっか。何か、帰ったら忘れちまってたけど、バレンタインだったな。今年はそんな
に貰ってねーぞ』
「私が知ってる限りでは、8個貰ったはずだけど?」
『ちゃっかり見てやがんな。ストーカーか、お前は』
「だって、やっぱりカナタ君がいくつチョコ貰ったかってのは気になるじゃん。で、8
個ってのはどうなの? 当たり?」
『正解だよ。特賞としてくれてやる。全部持ってけ』
「よし、やった!! じゃあ、カナタ君が女の子から聞かれた時にちゃんと答えられる
ように、後で感想をメールで送ってあげるからね」
『またあのクソ長ったらしい評論家みたいな感想メール送ってくんのか。いーよ、別に。
そんなもの、適当に答えといても話し合わせるくらいは出来るっての』
「いやいや。やっぱり女の子にとってはバレンタインって大切な日だからね。受け取っ
た以上は、それなりの誠意は示さないと。たとえ食べてなくても、適当はダメだよ」
『うるせーな。人のチョコ漁るような奴に言われたくねー』
「うぐ…… そ、それは甘い物が苦手なカナタ君に代わって食べてあげているだけであっ
て…… そ、そもそもカナタ君と私は一心同体なんだから、私が食べたという事は、カ
ナタ君が食べたも同然って事でしょ?」
『誰と誰が一心同体だって? なら、試してみようか。その体を存分に痛めつけて、そ
の痛みが俺にも返って来るかどうかをな』
「ちょ、ちょっと待った!! 痛いのは禁止だってば。出来れば、その……気持ちいい
方でなら、いくらでも……」
『スカートの裾を持つなドアホウっ!! 全く…… もういいから、とっととチョコ全
部持って帰れ』
「えー? 一緒に気持ち良くなろうよ」
『だからそういう際どい発言はするな。お前の場合、うっかり人前でも言いかねんから
な。もう少しその……自重しろ』
「あれ? もしかしてカナタ君てば、照れてる? 可愛いなあ、も――あいふぇふぇふぇ
ふぇ!! いふぁいふぁい!! ほっへふふぇふほふぃんふぃ!!」
『何言ってるか分からんが、今度人を小馬鹿にするような事言ったら、容赦なく叩きの
めしてから放り出すからな』
「いったぁ…… 今のでも十分容赦ないです……」
『気は済んだか? ならもういいだろ。ほれ』
「シッシッて犬を追い払うみたいにしないでよ。大体、まだもう一つの用事済ませてないし」
『何だよ? まだ何かあるのかよ。なら、さっさと済ませろ』
「そう急かさないでってば。私だって、ちゃんと用意してあるんだから。はい、バレン
タインのプレゼント」
『お前な。俺が甘い物苦手だって知ってて人が貰ったもの漁りに来たクセに、何で俺に
渡そうとするんだよ? 意味分かんないぞ』
「大丈夫。だから私は、チョコの代わりに甘くないお菓子を持って来たから。ほら、開
けて開けて」
『甘くないのって……どんなのだよ……』
 ガサガサ……
「じゃん。ハート型のクラッカーです。こっちがチーズで、これが塩味。で、これがガー
リックね」
『フーン。お前ってさ。料理苦手なくせに、ホント、菓子作りだけは器用だよな』
「それだけが取り柄ですから。さ、どうぞ。食べて食べて」
『うっせーな、もう。食べたらさっさと帰るか?』
「うん。あまり長居しても悪いから、ちゃんと帰るよ」
『じゃあ、まあ一枚ずつ味見すっか。どれ……』
 パキッ!!
「どう? 美味しい?」
『うーん…… まあ、普通?』
「えーっ? カナタ君感動うすーい!! もっとこう素直に、美味しいなら美味しいっ
て言ってくれていいんだよ?」
『素直に、普通だって言ってんだよ。不味かったらもっと遠慮せずに不味いって言うわ』
「カナタ君の辞書に美味しいという言葉はないのか!!」
『少なくとも、お前が作った物には当てはまる物はないな。お? むしろ塩味の方がシ
ンプルで良くね?』
「どれも全部美味しいはずなんだけどなあ…… でも、まあいっか」
『何だ。意外とあっさり引き下がるのな』
「うん。だって、どんなに不味いって言われても、バレンタインデーのお菓子を食べて
くれたのって私のだけだもん。だから、私だけ特別なんだって思ったら、どんな感想で
もいいかなって」
『なっ……!? バ、バカ言ってんじゃねーぞ。そりゃ、お前が付き合い長くて俺が食
えるような甘くない菓子持って来たからだろが。他の子のだって、甘くない菓子だった
ら普通に食うんだから、だからその、お前だけ特別とか勘違いすんなよな!!』
「エヘヘー。カナタ君が私の、だけ、食べてくれた。嬉しいなー」
『ニヤニヤすんなこのバカ!! キモイ!! 死ね!!』
最終更新:2012年02月29日 00:23