84 名前:1/6[] 投稿日:2012/03/06(火) 07:14:52.10 ID:EqdlL+ys0 [3/8]
  • せっかく家を早く出たのに結局学校に着いたのがいつもと同じ時間になってしまったツンデレ

『アイテテテテテ!! 何しやがんだクソババア!!』
[アンタねえ。いい加減になさいよ!! 毎日毎日起こしたってちっとも起きやしないで。
この間も先生から連絡受けて、娘さんがちゃんと遅刻しないように注意して下さいって言
われちゃったんだからね。全く、私が恥掻いたわよ]
『そんなもん知るかよ。つか、だからってこんな早く起こす事ねーだろ』
[うるさいっ!! とっととご飯食べて出掛けなさいこのボケナス!!]


『全く……あっさり叩き出されちまった……』
『どーすっかなぁ…… こんな早くガッコ行ってもする事ねーし。何か委員長とか真面目
な連中から変な目で見られそうだしなぁ……』
『どっかで時間潰すっていっても、こんな時間じゃ大して店も――って、おわっ!?』
 ドキドキドキ……
『び、ビックリしたぁ…… 何でこんな時間に別府の野郎が歩いてやがんだよ……』
『アイツだって、あたしほどじゃないけどいっつもギリギリで登校してんじゃねーか……
それが何で今日に限って……』
 ハッ!!
『(つか……何であたし隠れてんだよ…… これじゃあまるで憧れの男子の前でまともに
話も出来ないウブな女学生みたいじゃねーか……)』
『(って、憧れの男子って…… 違う違う違う!! べべべ、別に別府はそんなんじゃねーっ
つの!! って、何であたし、自分に言い訳なんかしてんだよ。バカかあたしは)』
「よう、勝美。お前、こんな所で何やってんだ?」
『どわっ!? あああ、あっさり見つけてんじゃねーよこのバカ!!』
「は? 何だよ。もしかして、隠れてるつもりだったのか?」
『へっ? え、えーっと、その……まあな。朝っぱらから別府の顔とか見ても、その……
気分悪くなるだけだしよ』
「お前、冷たいこと言うなよな。今学期の遅刻回数を競い合ってる仲じゃねーか」

85 名前:2/6[] 投稿日:2012/03/06(火) 07:15:20.96 ID:EqdlL+ys0 [4/8]
『それと気持ち悪くなるってのは別だっての。つーか、今朝はいやに早いじゃんか。寸前
で校門に滑り込むのを生きがいにしてる別府がどうしたんだよ?』
「え? 俺はいつも、月曜は早いんだぜ。まあ、確かに勝美は知らないだろうけどよ」
『そんな訳ねーだろ。むしろ、月曜日が一番遅刻多いくせに』
「ああ。それは、これこれ」
『これって……何だよ。ジャンプじゃんか。これがどうかしたのかよ?』
「ああ。朝いちでコンビニでこれ買ってさ。マック寄ってコーヒー飲みながらジャンプ読
むってのが、俺の習慣だから」
『じゃあ、マンガ読んでて遅刻かよ。救いようがねーな』
「だってさ。山田とか夜中にコンビニで買って読んで来てるから、学校行くまでに読んど
かないと、話に乗り遅れちまうし」
『くっだらねーな。マンガくらいどーでもいいじゃねーか』
「どうでも良くねーよ。もう次の日になったら語り尽くされちゃって今更感がプンプンな
んだよな。だから是が非でも朝のうちに読んどかないと。俺、夜更かしは苦手だし」
『じゃあ、もしかして水曜が遅いのも……』
「もちろん、サンデーとマガジンだ」
『あったまイテー。ホント、男ってくだらない事に一生懸命になるよな』
「いーんだよ。俺は楽しんでるんだから。で、そっちこそ、今朝は随分と早いけど、どう
したんだよ?」
『あたしか? あたしは、えーと……その……たまたま早く目が覚めたんだよ。家にいたっ
てお袋がうるさいだけだし、たまには早く学校行くのもいいかなーって……』
「フーン。そんな事言って、実はおばさんに叩き起こされて放り出されたんじゃねーの?」
『バッ……!! バカ言ってんじゃねーぞコラ。少しは人の話を信用しろよな』
「だって、勝美と早起きってこれほど似つかわしくない取り合わせもないと思ってさ。授
業中だってしょっちゅう寝てるのに」
『うるせーな。それはまた別だ。つか、古文とか英語とか数学とか、あれで眠くならない
方がおかしいだろ。どう考えたって、人間が理解できる代物じゃねーぞ』
「理解出来るから、学校の勉強に入ってるんだろ? そんな事言ってると、また委員長か
らクラスの平均下げたって怒られるぞ」
『アイツはシャレが理解出来ないから嫌いだ。つか、今行くと、委員長と二人っきりか……』

86 名前:3/6[] 投稿日:2012/03/06(火) 07:15:43.78 ID:EqdlL+ys0 [5/8]
「委員長、朝早いからな。8時前には教室入って予習してるんだぜ」
『げー。じゃ、もしかしたら、今行ったらあたしも勉強しろとか説教されんじゃねーのか?』
「勝美の場合は有り得るな。せっかく早く来たんだから、時間は有効に使いなさいとか言われて」
『冗談じゃねーぞ。やっぱ早起きなんて一文の得にもならねー』
「……何だったら、俺と一緒にマック寄ってくか?」
『は……はあっ!? ちょちょちょ、ちょっと待て!! 何であたしが、その……そんな、
お前と一緒にマック行かなくちゃなんねーんだよ!!』
「声でかいって。いや。早く教室行くのが嫌ならさ。コーヒーでも飲んで時間潰すのはど
うかって思って。まあ、一緒にっつっても、俺はジャンプ読むけどさ」
『お前、曲がりなりにも女を一緒に誘っておいて、自分はマンガ読むのかよ』
「いや。何のために早く家出たのかを考えれば、そこは譲れないだろ。それとも、俺に相
手して欲しいか?」
『バ……バカ言え!! 今のは、その……あくまでその、常識論って言うか……べ、別に
あたしはお前なんかと話ししたい訳じゃねーし』
「なら、いいじゃん。で、どうする? それともどっか他で時間潰してくか? それなら
それで、俺は別にいいけど」
『さ、誘ったんならちゃんと責任持てよな。今更どうでもいいような態度取ってんじゃねー』
「いや、まあ……思いつきで誘っただけだし。で、どうする? 来るか?」
『チッ!! 分かったよ。早めに学校行ってもロクな事無さそうだし、付いてってやるよ』


「ほい、勝美。カフェモカとアップルパイ」
『サンキュー。ホントに金いいのかよ?』
「まあ、一応俺から誘ってるしな。予定外の出費させるわけにゃいかないだろ」
『フン。借りだなんて思わねーからな』
「構わないさ。さて、と。それじゃ早速読むかね」
『な、なあ』
「何だよ。戸惑った顔して、どうかしたのか?」
『い、いやその……朝のマックってな。結構、その……混んでんだな。カウンター席しか
空いてなかったし……』

87 名前:4/6[] 投稿日:2012/03/06(火) 07:16:04.43 ID:EqdlL+ys0 [6/8]
「ああ。昼間とは全然雰囲気違うだろ? 周り、社会人ばかりだし」
『う、うん。その……あたしら、なんか場違いみたいじゃね?』
「そんな気にすることないだろ。むしろ俺なんてさ。大人の仲間入りしたみたいな感じが
して、ちょっと悦に入ったりしてるぜ。なんてよ」
『アホくせ。それに、読んでるのジャンプじゃん』
「うっせーよ。気分だよ、気分。ていうか、今時ジャンプなんていいおっさんだって読ん
でんじゃん。つか、お前だって読むだろ?」
『は? あたしは別に買ってなんて読まなねーもん。親父が買ってるから、家に持って帰っ
てきたのを暇潰しに読んでるくらいでさ』
「へぇ。じゃあ、何が好き?」
『何がって、えーっと……銀魂とハンターハンターと、ナルトとバクマンと……ブリーチ
は何かずっと微妙だけど、あとこち亀はお約束だから読むとして……』
「何だ、結構読んでんじゃん。人の事言えねー」
『うっせー、笑うな。つか、あたしはテメーみたいに大人ぶったりしてねーからいいんだよ』
「はいはい。じゃあ、勝美も一緒に読むか?」
『ちぇっ。ホントは家でゆっくり読む方がいいんだけどよ。テメーに横で先に読まれてる
のもムカつくから、付き合ってやんよ』
「じゃあ、もうちょっとこっち寄れよ。そこじゃ読みづらいだろ」
『なっ!? さっ……誘ったのはお前だろ。お……お前の方が、こっち寄れよな……』
「りょーかい。全く、わがままな姫様だな、おい」
『姫様とか人の事呼ぶな。気持ち悪くてこっちが鳥肌立つわ』
「フーン。実は恥ずかしくて照れてるだけだったり……とか?」
『んなわけねーよっ!! いいからさっさと読み始めんぞ。あ、この新連載つまんなそう
だからパスしろ。まったこんな訳分かんない萌えラブコメみたいなの始めやがって。ジャ
ンプは友情努力勝利がありゃいいってのによ』
「お前の方がむしろ偏見の固まりに思えるけどな。まあ、これは俺も興味ないからとりあ
えずいいや。じゃあ、先に銀魂から読むか。ほれ。そっちのページ持って、お前がめくれ
よな。勝美のペースでいいから」
『あ、ああ……』

88 名前:5/6[] 投稿日:2012/03/06(火) 07:16:26.99 ID:EqdlL+ys0 [7/8]
『(別府と隣合わせで、こんな風に肩寄せ合ってマンガ読んで…… 何か絶対、知らない奴
が見たら高校生同士のカップルに見えるだろうな…… ヤベェ……何か自分で勝手にドキ
ドキして来やがった……)』
「勝美」
『ふぇ……へっ?』
「お前、まだ読んでないの? 手、止まったままだけど」
『あ……わ、わりぃ。ちょっとボーッとしてた……』
『(やっべ……集中しねぇと…… 別府の奴に変に思われちまう……)』
『(つっても、全然頭に入ってこねえ。大体何で別府の奴は楽しそうに読んでやがんだよ。
全然あたしの事意識して無いのかよって……ねーだろうなぁ……ハァ……)』
「いやー。今週は面白かったなあ、銀魂。と、次は……」
『ああ。あたしはそれ、読んでねーからいいや。別府一人で読んでろよ』
「そっか。じゃあ、勝美にも見えるように読んでるから、読みたいマンガになったら声掛
けろよな」
『あ、ああ……』
『(……何でだろ。たかがマンガ読んでるだけなのによ。何でこう、真剣な顔してる男の顔っ
ていいんだろうな……)』
『(あああああっ!! ダメだダメだ!! 見つめてるのバレたら変に思われちまう。視線、
逸らして携帯でも見とかないと……)』
 チラッ……チラッ……
『(だあーっ!! ダメだダメだ!! やっぱり視線が行っちまう!! これだったらいっ
そ、マンガ読んでた方が――)』
『――って、おいっ!!』
 バッ!!
「へ?」
『先、行き過ぎだろ。その、リボーンは一応見てっから、戻せって』
「あ、ああ。分かったけど、その……手……」
『手? 手がどうしたよ?』
「いやその…… そんな、しっかり握らなくても……」

89 名前:6/6[] 投稿日:2012/03/06(火) 07:17:16.05 ID:EqdlL+ys0 [8/8]
『どわっ!? いいい、いやその、い、今のは不可抗力だ!! ワザとじゃねーってか、
だ、誰もテメーの手なんて握りたくて握った訳じゃねーし…… い、いーから早く戻せってば……』
『(はぅぅ…… あ、あたしとした事が、別府の手ぇ押さえちまうなんて…… しかもやべぇ……
体熱いし、ドキドキ止まらねぇし……)』
 ブーン……ブーン……
『何だ? この音……』
「ちょっと待って。携帯が――って、ヤベッ!!」
 ガタッ!!
『お、おい。どうしたんだよ。いきなり立ち上がって』
「もう時間だ。学校行かないと、間に合わねー」
『へ……って、もう遅刻じゃんか!? お前、アラームセットしてたんなら、何でこんな
時間にしてんだよ』
「大丈夫だ。今からダッシュで行けばギリギリ間に合うからさ。先、行ってろよ。ゴミ捨
ててすぐ追いつくから」
『全く、何でこんな朝から走んなきゃいけないんだよ……』
「勝美、急げ。そんなペースじゃ間に合わんぞ」
『って、お前置いてくなって!! ふざけんなコラ待ちやがれ!! ハアッ!! ハアッ!!』


『ゼェゼェ……ゼェゼェ……』
[何だ。佐藤はまた遅刻か。これで何度目だ?]
「せんせー……別府の野郎は……」
[ああ。別府なら、さっきギリギリで教室飛び込んで来たぞ。これで遅刻回数は佐藤が頭
一つリードしたな。まあ、放課後職員室な]
『マジかあの野郎……後でぜってー殺す……覚えてやがれよ……』


終わり
最終更新:2012年03月12日 13:49