16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/03/09(金) 23:46:56.03 ID:QvQ879Qn0 [3/3]
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/03/10(土) 00:34:37.89 ID:e5tR37X10 [1/2]
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「ようやく見つけたぜ、尊。こんなとこに居たのか……」
『……何しに来た』
「何しにって、一緒に帰ろうと思ってさ。今日は練習ないんだろ、剣道部。なのになんで道場なんかにいるんだよ?」
『……そんなの、練習の為に決まっているだろう。そもそも、お前などには関係ない、一人で帰るがいい』
「前の大会のこと、まだ気にしてんのか」
『うるさいっ! お前などには関係ないと言っている!』
「んなことないさ。これでも俺は、尊が頑張ってるところをずっと見てきたんだからな……だからさ、気にすんなよ。うちが負けたのは別に尊のせいじゃない」
『安っぽい哀れみなど要らん! 負けたのは部長である私のせいだ。私が、皆を正しく導けていたなら、もっと良い結果が……!』
「尊……」
『っ……は、離せ、不埒者!』
「嫌だ。尊が、自分を責めるのをやめない限り離さない」
『そんなこと……無理だ。だって、私が悪いんだからな。私が間違っていたのに、どうして……』
「尊は何も悪くないよ。誰よりも、練習に力を入れてたのは、尊じゃないか」
『結果を、出せなければ無意味だ……』
「無意味な努力なんてないって、俺はそう思うよ。……それでも……結果が出せなくて悔しいなら……自分を責めるんじゃなくて、ただ泣けばいいと思う。尊は今、泣いていいんだよ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/03/10(土) 00:35:17.91 ID:e5tR37X10 [2/2]
『っ……ぅ、ひぐ、ひっく、た、タカシぃ……うわぁぁああんっ』
「よしよし、尊はよく頑張ったよ」
『……その、見苦しいところを見せたな』
「気にすんなって、そんなこと。さ、暗くなる前に早く帰ろう」
『な、なあ、タカシ。一つ、聞きたいことがあるのだが……』
「ん、何だよ?」
『そ、その、だな……ど、どうして私に、こんなに親身に、優しく、してくれるんだ……?』
「そりゃ、まあ……好きな女の子が落ち込んでたら、慰めたくなるもんだろ」
『なっ? お、おい、今なんと言った?!』
「お、雨止んでんじゃん。ラッキー」
『ちょ、ちょっと待て、タカシ! だから、今なんて言ったんだ!? おいっ!』
「(すっかり元気になったみたいだな。良かった良かった)」
『こ、こら、ニヤニヤしてないでなんと言ったか教えろぉ!』
最終更新:2012年03月12日 15:20