124 名前:1/3[] 投稿日:2012/05/03(木) 14:14:59.45 ID:M3JGh/cW0 [4/6]
『タカシー、ちょっと良い?』
「ほう、どんな事だね、ボクっ娘よ」
『むう……その呼び方は止めろって言ってるだろー。ボクには梓って言う可愛い名前があるんだよ!』
「うははー、お前こそ愛称で呼ばれるのに早く慣れたら良いじゃないか」
『嫌だよ! それなのに最近……ボクの事をそう呼ぶ人が増えて来てるし……絶対にタカシの所為だよ!!』
「まぁまぁ、そんな事より話って?」
『う゛ー……GWの後半の休みなんだけど……急にボクの予定してた事がなくなっちゃったんだ』
「やーい、暇人ー」
『タカシには言われたくないよ! ……せっかくの休みにさ、何もしないのは勿体ないじゃない?
 だから、どこかに遊びに行こうかなーって思ってたり……それでね……
 ついでに暇なタカシでも誘ってあげようと思って! そうだなー……遊園地なんかどうかな!』
「あー悪い、先約があるんだよ」
『…………え? 嘘っ――だ、誰と!?』
「誰って? それは――」
『ま、待って! ……やっぱり言わなくて良いよ』
「ん? 別に教えても構わないが?」
『ううん、言わないで…………相手が分かったらボク……嫌な子になっちゃうかもしれないし……』ボソボソ
「小声過ぎて後半が聞き取れないんだが。さっきまでの元気はどうした! ボクっ娘ちゃん!」
『……うっさいなー、もう話は終わったから……じゃあまたね』
「ちょっと待った」
『……なんだよー、ボク忙しいんだけど』
「嘘付け、さっきまでの会話は何だったんだよ。
 そんなにテンションが下がるくらい暇が嫌ならさ――お前も一緒に来るか?」
『…………はい?』

125 名前:2/3[] 投稿日:2012/05/03(木) 14:16:18.50 ID:M3JGh/cW0 [5/6]

――間
『ほへー……なんて言うか、緑がいっぱいだね』
「田舎だからな。前にでっかい山が見えるだろ?」
『うん、それが?』
「あれ、家の祖父さんの山なんだよ。
 で、今日俺が来ないと木を伐採して、Google Earth で『孫LOVE』って見える様にするぞって脅されてた訳」
『へぇー、タカシのお祖父ちゃんっぽいね』
「どういう意味だ、それ――っと、ここだ、着いたぞ」
『……本当にこの家? ボクが思ってたよりも一万倍でかいんだけど』
「おい、それだと犬小屋くらいになるじゃねぇか……鍵は開いてるか……ちゃんと挨拶しろよな」ガラガラ
『タカシじゃあるまいし礼儀は尽くすよ!』
「へいへい、お手並み拝見致しますよ……祖父さん来たぞー」

126 名前:3/3[] 投稿日:2012/05/03(木) 14:18:00.56 ID:M3JGh/cW0 [6/6]
[愛しの孫よ、良くぞ来た! 待ちかねたぞ! ……そちらの娘さんはどちら様?]
『わー、やっぱりタカシのお祖父ちゃんだ』
「おい、納得するな。祖父さん、泊まれる所もう一部屋くらいあるよな?」
[それは大丈夫じゃ、儂が週サイクルで毎日寝る部屋を変えていても、まだ部屋は余っておる]
「……じゃあ大丈夫か。紹介遅れたけどさ、こいつは同級生の梓、よろしく頼むよ」
『え? 今……普通に名前で――』
「ほらっ、呆けてないで挨拶しろって」
『あっ――そ、そうだねっ……タカシのお祖父ちゃん、タカシ君と同じクラスの梓と言います!
 えーっと……ふつつか者ですが、よろしくお願い致します!』
「…………お前、それじゃあまるで――」
[ば、祖母さん、大変じゃ! 儂等の孫が嫁を連れて来よった!]
『へ? …………えぇぇ!! ボ、ボクが嫁!?』
「ま、待て祖父さん、今のは――」
[こうしちゃおれん! 祖母さん、ちょっくら村長さんの所までひとっ走り行って来る――!]ズダダダ
「うわっと! じ、祖父さん待てって――もうあんなに遠くって……本当に老人か?」
[全く、お祖父さんったら本当にあわてん坊なんだから……]
「祖母さん! た、助かった……頼む、祖父さんを止めて――」
[今の時代メールという物があるんですよ、全く]ピピピピピ
「うぉおい!! どこに送信するつもりだ!!」バタバタ

『………………ボクが……タカシの……嫁かぁ……えへへ』
最終更新:2012年05月07日 11:33