11 名前:1/6[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 22:15:41.12 ID:S+2wyKKb0 [3/16]
  • 寝ているツンデレの浴衣がはだけて大変危険な状態になっていたら ~前編~

「やれやれ。みんな寝ちまったか……」
 GWの休みを利用して、高校からの腐れ縁である俺と山田、かなみと友子の四人は、
山田の車でささやかな温泉旅行に出掛けた。風呂に入り、飯を食いながら軽くビールを
飲み、また風呂に浸かり、上がったところで友子が嬉しそうに取り出してきたのが。
「ジャカジャーン!!」
「ちょっ……友子。それ何よ?」
「決まってるじゃない。お酒よ、お酒。ジョニ黒にバランタイン。ナポレオンにカミュ。
ワイルドターキーにジャックダニエル。あとウィスキーがダメなら、いいちこ、海童も
あるし、ジンとかウォッカもあるわよ~」
「随分いっぱい持って来たなお前。こんだけの量、どうしたんだよ」
「……ものすごく重かったよ。友ちゃん……」
「何言ってんのよ。ほとんど車での移動だったじゃない。たかが積上げと積み下ろしだ
けなのに、情けないわね。それでもあたしの下僕?」
「ああ。山田の奴が妙に重い鞄持ってると思ったら、全部これか」
「そうだよ。絶対飲み切れるわけないから、半分でいいって言ったのに」
「こんな量、半分だって飲み切れないわよ。大体私、酒弱いのに~」
「何言ってんのよ、かなみ。こないだの女子会でも散々飲みまくったクセに、今更弱い
とか言わせないわよ」
「そ、それ言ったら殺すから。聞いたあんた達もよ?」
「待て待て待て。まだ二十歳超えたばかりで俺は死にたくないぞ?」
「なら聞くな。それにしたって、持込過ぎじゃないこれ?」
「何言ってんのよ。たくさん種類があった方が楽しいじゃない。だからこそ、残っても
いいように割って飲むお酒しか持ってこなかったんだから」
「だからって限度ってもんがあんでしょうが!! 友子アンタ、あたしたち殺す気なの?」
「そんなもん自己責任よ、自己責任。何も無理に飲ませて酔い潰そうって訳じゃなし、
何よりお酒は楽しく飲まないとね。ほら、山田。ボケッとしてないでジュースとかお水
とかお茶とか、自販機で買って来なさいよね」
「えええっ? 僕一人で?」

12 名前:2/6[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 22:16:07.99 ID:S+2wyKKb0 [4/16]
「文句言わない。お酒とおつまみはあたしが提供してんだからさっさと言って来い!!」
 なんて勢いで始まった飲み会が、もちろん和気藹々と楽しく進むだけのはずもなかった。
「ほら、山田!! 飲みなさいよ。あたしがお酌してあげてるのに飲めないっての?」
「ちょ、ちょっと待って友ちゃん。目が据わってるから。タカシ、はい交代」
「いや、俺ももう無理だっての。今しがた吐いて来たばっかだし」
「あら? だったら飲み直ししとかないとダメじゃん。大体、かなみだってちゃんと飲
んでるのに、男連中だらしなさすぎ」
「そーよ!! たかひららしねーぞ!!」
「呂律回ってねーぞお前。少しは自重しろって」
「あらひはまららいりょーぶらもん!! ちょっろまっれ……見本みへちゃう……」
「アホ、止めろって。つかそれ、ストレート……」
「ぐはぁっ……おいひー……ほら、らかひ。ろめろめ~」
「だからストレートは死ぬと。やめろ肩抱くな顔近付けるな。ていうか、これお前のコ
ップだし、間接キスだぞいいのか?」
「かんへふひっふ~? ほんらもんれれれるらんれ、らかひりゅんろーりゃない。このこのっ!!」
「おぅ……ジーザス……」
 と、まさに戦場のごとき修羅場と化した宴会場を抜け出し、風呂で酔い覚ましをした
俺が帰って来て見たものは、まさに国破れて山河ありと言った状況だった。
「うん。物の見事に生存者がいねえ……」
 男子部屋の敷かれた布団の上に、かなみ、友子、山田は三者三様の姿で寝こけていた。
「ちっ……どうすっか。こいつら……」
 いっそ俺も、脱出せずにあのまま死地に残っていた方が幸せだったのかも知れない。
しかし、このままでは下手をすればみんな風邪を引きかねないし、この部屋には布団が
二組しかない。さすがに女の子には、部屋にお帰り頂こうと、まずは友子の傍による。
「おーい、友子。起きて部屋戻れってば」
 耳元で割りと大きな声で呼びかけると、ヒュンと何かが空を切る音がする。咄嗟の判
断で顔を逸らしたその鼻先を、拳が掠めて通った。
「……やかましー……眠いのあたしは……」
 寝ぼけたままそう言って、丸まってしまう。気持ち良さそうな顔でスピースピーと寝
息を立ててしまい、声を掛けたくらいではもはや起きそうもなかった。

13 名前:3/6[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 22:16:32.71 ID:S+2wyKKb0 [5/16]
「かといって、寝ている女の子を勝手に抱きかかえて、無理やり部屋に送還する訳にも
いかないしなぁ……」
 それより友子ならこのまま部屋に寝かしといても、むしろ特に問題はないだろう。問
題は掛け布団だ。俺はチラリと横目で山田を見た。
「仕方ねえ。お前ら一緒に寝ろ」
 普段なら山田なんて放っておいて友子に掛けてあげる所だが、何といってもドライバー
はコイツだ。体調崩されると明日の日程に影響するし、かと言って俺の布団を譲る気も
ない以上、これは仕方の無い措置だ。
「どーせ、酔っ払ってたし酒の席での不埒で片が付くだろ。山田はちょっと痛い思いす
るかも知れないけどな」
 そう一人ごちてから、俺は寝ている山田の腕を引っ張って引き摺ると、友子の横に並
べた。枕は友子の頭の下に入れてやる。一枚の掛け布団を上から掛けてやり、作業完了。
「これでよし、と。まあ、明日の朝山田がどうなろうと、知ったこっちゃないけどな」
 合唱して冥福を祈ってやってから、俺は残りの一人に向き直った。
「あとはかなみか……どうすっかな。コイツは……」
 まずは、揺すって起きるかどうか試してみよう。他の手段を考えるのはその後だ。俺
はかなみの肩に手を置き、軽く揺さぶる。
「おーい。かなみ、起きろ。風邪引くぞー」
『ううん……やぁ……ら……やめれ……』
 イタズラされてるのと感じたのか、かなみは不快そうに体を動かしたが起きる気配はない。
「もしもーし、かなみさーん。こりゃダメかな」
 諦めて揺する手を離した途端、今まで横向きだったかなみが体をよじった勢いでその
まま仰向けになる。それを見た俺は、思わず叫んでしまった。
「どわっ!?」
 何故ならば、かなみの浴衣は寝相が悪かったせいか散々に乱れ、胸元も下半身も大き
く露出してしまっていたからだ。
「なっ…… やっ……やっべーだろこれ……」
 心臓がもの凄くドキドキして興奮しているのを自覚せずにはいられなかった。思わず
生唾をゴクリと飲み干す。
「どう考えてもマズイよな。このままじゃあ……」

14 名前:4/6[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 22:16:54.56 ID:S+2wyKKb0 [6/16]
 俺はかなみから視線を逸らして考えを巡らせようとしたが、どうにも無理だった。ど
うしても視線が胸元や太ももに行ってしまう。大きく開いた胸は3分の1以上露出し、
下半身も辛うじて下着が見えないギリギリのラインだ。
「いや。ホントにヤバイ。つか、こいつってこんなに色っぽかったんかよ……」
 これまでも水着姿などは見てるので、適度に肉の付いた形の良い白い脚や、やや小ぶ
りのバストの胸元も拝んでいない訳ではない。しかし、乱れた浴衣から覗くその場所は、
水着とは違う艶かしさがあった。俺は気を落ち着かせようと、深呼吸をする。
「このまま抱きかかえて運ぼうもんなら、完璧に脱げ落ちるな。布団はあと一枚だし……」
 しかも、その一枚をかなみが下に敷いて眠ってしまっているので、一旦どいて貰わな
い事には掛けようにも掛けられない。
「起きろよ、かなみ。おいってば」
 体に触れるとヤバイ部分まで露出してしまいかねないので、俺は声だけでもう一度起
こそうと試みた。しかしやはりかなみは、僅かに身じろぎするだけで、全く起きる気配
が無い。仕方なく、今度はほっぺを突付いてみる。
「おーい。かなみさーん。起きなさいよー」
 柔らかなほっぺたを人差し指でプニプニしてると、感触が心地良くてついついやり過
ぎてしまった。するよかなみがうざったそうに手で払う。
『ううーん……やめ……って……』
 一瞬起きたかと期待するが、そのままゴロンと寝返りを打ち、さっきとは逆向きに横
になる。そして脚を動かすと、浴衣がめくれて太ももから尻の半分くらいまでが横向き
に露出する。
「ちょっ……」
 かなみのこんなあられの無い寝姿を見ることに罪悪感を感じつつも、俺は視線を離す
事が出来なかった。緊張で乾いた唇を舐め、長い葛藤の末に必死の努力で視線を外す。
「どうすんだよ。これじゃあ、おっぱ……胸もパンツも、見えるまで時間の問題だぞ……」
 当の本人は、自分がこれだけ際どい格好をしているなど知りもせずにいい気持ちで寝
入っている。寝顔に視線を移すと、幸せそうな顔に腹が立って、俺は軽くデコピンしてやった。
「のん気に寝てんじゃねーよ。バカ」
 しかし、悪態をついてみたところで始まらない。かなみに背中を向け、まずは目の前
の煩悩製造機から視線を完全に逸らしてから、俺は頭を整理する。

15 名前:5/6[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 22:17:19.21 ID:S+2wyKKb0 [7/16]
「こういう時は、何をするかじゃなくて、何が出来るかだよな? 今の状況で布団を被
せるのは無理。無理やり簀巻きにしても止めるものがないから簡単に外されちゃうし、
あいつ寝相が悪いから、変にタオルとかだけだとこれも取っ払われちゃうし……」
 口に出して言ってはみたものの、やはり上手い手段を思いつかない。
「となると、やっぱりどかすしか…… しかし、あの格好じゃなあ……」
 かなみを抱き上げて部屋まで運ぶとなれば、今の格好じゃ間違いなく露出は必死だ。
俺は背中越しにかなみを振り返る。さっきよりも、より際どい格好になっていた。
「あのまま放置してたら、帯だけなんて事にもなりかねんな。あのアホ……」
 視線を戻し、真剣に考える。しかし、どう考えても、結論は一つしかなかった。
「やっぱり、浴衣を直すしかねーな。もったいねーけど、まずそれをしないと先に進まん」
 とはいえ、寝ている人間を起こさずにキチンと着付け直すなんてのは無理だ。しかも
帯を外そうものなら、最後の拘束が解けたとばかりにパンツ一枚の姿が曝け出されてし
まうかもしれない。まとまらない考えを整理する為、俺は口に出して段取りを考える。
「まずは……脚からだな。両脚を揃えて、浴衣を合わせてやれば、当面の危機は回避出
来るだろうし」
 もちろん、この危機とはかなみさん貞操の危機の話だ。
「で、次に上半身を合わせて、最後に帯を解いて締め直してやれば、転がすくらいは出来そうだな」
 応急処置だから下手に動かすとすぐ乱れそうだが、転がしても見えないくらいには直
せそうだ。そうと決めると、俺はかなみの方に向き直る。
「それにしても……綺麗な脚してるよな。格好はだらしないけど……」
 思わず見惚れてしまう自分に気付き、俺はかぶりを振る。
「いかんいかん。まずは仰向けに戻して……と」
 さっきと同じように揺さぶると、自然かなみは嫌そうに寝返りを打って仰向けになる。
大きく開かれた素足が俺の視線を釘付けにする。しかも、もはや角度を変えれば簡単に
中が見えてしまうほどだ。
「クソッ…… 逆から揃えるか……」
 もの凄く覗きたくてたまらない。だけど、それをしてしまうと明日からかなみと面と
向かって話せなくなる気がして、俺はかなみの頭の方に尻を向けてかなみをまたぎ、そ
の場に膝を付く。
「この野郎。俺が紳士で感謝しろよ」

16 名前:6/6[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 22:18:04.67 ID:S+2wyKKb0 [8/16]
 果たしてこれは紳士なのか、それとも単なるヘタレなのか。明治以前なら間違いなく
後者だなと思いつつ、俺はかなみの足首を持って揃えた。大きく広がった浴衣の裾を片
方ずつ、かなみの上に乗せて合わせていく。太ももを隠すのは惜しかったが仕方が無い。
「これでよし……と。とりあえずは、だがな……」
 合わせただけだから、ちょっと姿勢を動かすとすぐにまた開いてしまうだろう。作業
は素早くこなさねば。俺は一度立ち上がると、かなみの上から体をどかし、反転して今
度は向かい合うようにかなみの上にまたがった。
「それじゃあ、失礼しますよ……と」
 胸元を大きく広げた浴衣を合わせるためには、胸に手を伸ばさなければならない。も
ちろん、直接触れるわけではないが、浴衣に手を掛けるだけでも何だか悪い事をしてい
る気分になる。
「それにしても……」
 浴衣を直そうとした俺の視線が、かなみの胸元に吸い込まれる。真っ白な肌に、谷間
から7合目くらいまでの膨らみが、覗いているというよりはもはや堂々とさらけ出されていた。
「コイツって、意外と胸の形、いいんだな……」
 仰向けなので重力に従って当然乳房は横に広がっている。しかし、谷間から左右に、
そこにはしっかりとした膨らみがあった。
「いやいやいや。見てる場合じゃないだろ。しかもかなみに内緒でとか……」
 煩悩を振り払い、浴衣に手を掛けたその時だった。
『ん……?』
 それまで気持ちよく眠っていたはずのかなみが、小さく声を出す。それに俺の手が思
わずビクッと震えた。
「へ……?」
 そのまま体が硬直し、視線がかなみの顔に釘付けになる。すると、かなみの目が僅か
に開き、一度眩しそうに目を閉じて瞬く。そしてもう一度、今度ははっきりと目を開けた。
『……え……?』
 かなみの浴衣に手を掛けたまま、俺とかなみはすぐ間近で、顔を見合わせた。
最終更新:2012年05月15日 00:44