63 名前:1[sage] 投稿日:2011/05/21(土) 03:14:54.79 ID:s+KHEMiy0 [1/2]
みんなで作業中
突如、揺れを感じた。
「お、地震だ……けっこうデカい?」
「あら? けっこう揺れてますわね」
「リナも気付いたか? ――おい、かなみ、ちなみ……揺れてるけど平気か?」
「揺れてるわね……ホント、無駄に」
「…………切り落としてやる」
「何で地震きてんのに二人とも怒ってんだ? つか、切り落とす?」
「「……なんでもない」」
リナの方を凝視しながら、ぶっきらぼうに答えを寄越してきた。
この姉妹は怒りのツボがイマイチ分からん――――つか、まだ揺れてる。ホントに長い
ぞ、この揺れ。
「いつまでも揺れてんなぁ……なんか気持ち悪い」
「そうですわね」
「そうね。……いつまで揺れてんのよ……覚えてなさい」
「……むぅ……」
「あら? かなみさんにちなみさん、不満そうな表情ですが何か――あ、そういうことで
すの……クスッ」
一瞬だけ胸元を見て、リナが勝ち誇ったように笑った。
「その喧嘩、言い値で買ってあげるわ!」
「…………二対一でも一向に構わない気がする」
それに反応したかなみとちなみが、一斉に飛び掛ろうとしたので、慌てて止めに入る。
「ちょっ、地震の真っ最中に口喧嘩始めてんじゃねぇよ! ――ってうぉっ!?」
すると、さっきまで続いていた揺れが一段と大きくなった。バランスを崩すというより
驚いて声が出てしまったが、いよいよ不安になるような揺れだった。
64 名前:2[sage] 投稿日:2011/05/21(土) 03:15:56.62 ID:s+KHEMiy0 [2/2]
そしてちょっとの間揺れていたが、どうやら落ち着いたらしい。
「ふぅ……けっこう揺れたな。……大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「平気よ」
「……大丈夫」
「落ち着いたわね……――さあ、ちなみ、一緒に切り落とすわよ!」
落ち着いたと思ったら、かなみが物騒なことを言い出した。
しかし、さっき一緒に飛び掛ろうとしていたのに、今度はちなみが動きを見せない。
「ちなみ……? いきなり固まって……どうしたのよ?」
「…………さっきの地震……揺れました」
かなみが声をかけると、ちなみはこの世の恨み辛みを凝縮させたような声を発した。
「……だから……姉さんも……敵」
「え、あの、ちなみ……? 目が怖いわよ……?」
「……あと、金髪も敵」
「あの、さすがに……冗談が過ぎましてよ……?」
「……待てっ……このブルジョワども……!」
「「い、いやぁぁぁぁぁぁっ!?」」
こうして、なぜか怒っているちなみ、なぜか逃げるリナとかなみによるリアル鬼ごっこ
が始まった。
「――って、俺は? 作業は!?」
それからは、置き去りにされた俺一人で、泣く泣く作業を終わらせた。
結局のところよくわからないものの、鬼ごっこをしていた三人は、どうやらさっきの揺
れで人間関係に亀裂が入ったらしい。
最終更新:2011年05月24日 02:37